サムライだけど淫魔なので無双します ~淫魔王の血を引く少年は、剣と淫力で美少女達を屈服させる~
第17話 スリード、無双なり
「ひひひ、あれから三年か。美味そうな体になったじゃねえか。どうだあ? 少しは男の味をおぼえたかあ?」
「最ッ低」
「ほら、どうした。中に入れよ。俺が飲み物くらいおごってやるぜ。ただし、俺の部下三十名の『特濃ミルク』をな。お友達にも味わわせてやるよ」
ブランゾワのゲスな発言に、スリード達は眉をひそめた。ここまで露骨に下卑たことを言ってくる奴には、そうそう出会ったことがない。
「三年前から頭の悪さは成長してないんじゃない? 馬ッ鹿みたい――」
アルマは冷ややかに言い放って、そっぽを向いた。
「あ 何か言ったか!!」
衝撃で空気が震動した。
次の瞬間、ブランゾワはアルマの目の前に立っていた。おそるべき移動速度である。
「!」
「三年前に逃げ出した分のツケ、たっぷり払ってもらうぜ――お前の体でな!!」
ブランゾワは強引にアルマの体を抱き寄せると、スカートをめくった。パンツが露わになる。その上から、力任せにお尻を揉もうとしてくるのに対し、アルマは必死で抵抗する。
「ちょっと! やめて!」
「へへへ、三年前は小便くせえガキだったが、今はなかなか抱き甲斐のある体してるじゃねえか。もったいないぜえ、使わねえとよ」
侮辱的な発言をし、ブランゾワはアルマの唇に、自分の唇を重ねようとする。
「ん! いや! 放してえ!」
嫌悪感で目を閉じ、アルマは涙を滲ませた。
その時である。
「いい加減にしろ」
ブランゾワの背後から、声が飛んできた。
「ああ 俺に向かって偉そうな口を――!」
皆まで言う前に、振り向いたブランゾワの顔面に、拳骨が叩き込まれた。
「ぐべっ!!」
奥歯にまで伝わる衝撃を受け、ブランゾワは吹き飛び、地面に倒れ伏した。我が身に何が起きたのか、まだ理解できていないのか、口内からボトボトと砂の上に垂れ落ちる血を、ぼんやりと眺めている。
やがて、ブランゾワは顔を上げた。
スリードが真っ向に立ち、厳しい目でブランゾワのことを見下ろしている。それから、集まり始めた周囲の野次馬達を見回した。
「見物人も集まってきたし、始めよ」
「てめえ……」
「女の子を手荒に扱ったんだ、容赦はしないよ」
「……面白え」
ゆらり、とブランゾワは立ち上がる。口から垂れる血を、袖で拭い取った。
「てめえと、俺と……どちらが上か、勝負しようじゃねえか。だが、わかってんのか? そいつはな、ただのシーフじゃねえ。俺の下へ流れ着いた後は、俺のために忠実に働いていた。それがどういう意味かわかるか?」
ブランゾワは殴られてもなお、余裕の笑みを浮かべた。
「俺はこの町を陰から支配している。町の連中に、時には土地を貸し、時には金を貸し、そこから得られる利益の一部を俺に納めさせている。だが、もしもその上納金を納められなかった時は、容赦なく取り立てる。家財から、女から、全てな」
そして、アルマのことを指さした。
「わかってんのか? こいつはな、三年前まで、その手伝いをしていたんだよ! そりゃあもう、見事な手際だったぜ! 相手が泣いて謝ろうが、構わず取り立てを遂行していたなあ! お前が、手荒に扱ったと切れた『女の子』様は、もともとそういうクズなんだよ! ひゃははははは!」
クズ、という言葉が出た瞬間、オリガは鞭を握り締めて身構えた。ニーザも怒りで頬を紅潮させる。ソフィアが「ゲス野郎」と呟く。イリーナに至っては、戦闘は得意でないのに、腰のホルダーからナイフを抜いて、今にも投げかねない様子だ。
「落ち着いて、みんな」
そんな女性達に、スリードは優しく微笑んだ。可愛らしい笑顔に、四人の女性は毒気を抜かれ、つい戦闘体勢を解いてしまった。
「僕が一人でやるよ」
スリードはアルマを片腕で押し、脇へどかせた。心配そうな面持ちで、アルマはスリードを見守っている。
「スリード、無茶は――」
「こんな奴に負けているようだったら、この先の旅も上手くいかないよ」
スリードは何を考えたのか、腰の刀を外して、アムラに手渡した。
「ちょっと、スリード! これが無かったら、戦えないんじゃないの?」
「こいつは絶対に素手で倒す」
「あのね、ブランゾワは文句無しに強いんだよ!それを、素手でなんて――」
「なめたこと言いやがって……」
ブランゾワは口内に溜まった血を吐き出した。地面に赤い液体が飛び散る。すぐに、ファイティングポーズに入った。
「ぶっ殺してやる!」
「やれるもんならやってみろ!」
「クソガキィィ!!」
ブランゾワは地面を思い切り蹴り、スリードの懐に飛び込んだ。得意技の、「ブランゾワ・ダイナマイト」。突進の勢いと腰の入ったボディーブローで、相手の内臓に直接響く一撃を与える、恐怖の技だ。
が、スリードには通用しない。
サイドへステップを踏み、かろやかに「ブランゾワ・ダイナマイト」を避けたスリードは、体勢を地面スレスレまで落として、足払いを仕掛けた。
「うぉおうわああ 」
叫び声を上げて、ブランゾワは足をすくわれた。勢いよく倒れ、後頭部を地面に打ちつける。そして、あろうことか、そのまま気絶してしまった。
さっきまで応援の声を上げていたブランゾワの部下達はシン……と静まり返った。
代わりに、日頃から暴力に苦しんできた住民――野次馬達が、大爆笑を始めた。威張っていたブランゾワが、一人の少年に間抜けな形で破れたのだ。今年一番の愉快な出来事だった。
オリガはそんな町の人々を見て、苦笑した。
「あらあら、自分が倒したわけじゃないのに、あんなに喜んじゃって」
「まあ、非力な彼らには、誰かにすがるしかないでしょう。さしずめ、スリードは彼らにとってのヒーロー、といったところではないですか。とりあえず、これでうるさいバカは静かになったから、何か飲みましょう。喉が渇きました」
ソフィアはそう言って、酒場のほうへと歩き出した。
酒場の中にいる、ブランゾワの部下達は、一斉に壁際に下がった。ソフィアが一歩進むごとに、壁を這うようにして出口へと向かう。
「コソコソしないで、堂々と出ていったら?」
ソフィアの不機嫌そうな声音に、恐れをなしたブランゾワの部下達は、蜘蛛の子を散らすように外へと飛び出していった。五、六人が一気に出ようとしたため、ドアの外れた出入り口の枠が、バキバキと破られてしまった。残ったのは、沈痛な面持ちのマスターだけである。
「私の店が……」
マスターにとって、ブランゾワ一味に貸し切っているときの方が、遥かに被害は少ないのであった。
※ ※ ※
一行が酒場に入り、飲み物を飲んでくつろぎ始めてから、およそ十分ほどして、
「大丈夫ですか、お嬢様っ!?」
ザリタが慌てた様子で酒場の中に飛び込んできた。
「ザリタさん、遅いよー」
「申し訳ありません! ここで敵襲に遭うとは思わず、油断しておりました! それで、敵はどこにいるのです 」
「ちょ、ちょっと、冷静に!」
ソフィアが急いでザリタの腕を掴んだ。今にも外に飛び出しかねない勢いだったからだ。
「落ち着いて、ザリタさん。全部お兄さんが解決してくれたから」
そう言って、ニーザが細かく説明をして、ようやくザリタは事態を飲み込んだようだった。
「だから、ザリタさん。お兄さんにお礼を言って」
「……この淫魔に、ですか?」
「もういいよ、その呼び方。失礼だよ」
「失礼を承知で言わせていただきますと、彼はアウスティア王国滅亡に深く関わっているのかもしれないのですよ」
「それはヴェストリアの言い分でしょ。手配書を作ったのも、調査したのもヴェストリアじゃない」
「ところが、調査自体は、実はクーリア教の神官達が行っているんだよね。どの国とも関係ない中立の団体が」
それまで眼鏡をかけて本を読んでいたイリーナが、パタンと本を閉じて、会話に混じってきた。
「アウスティア王国は、十年前、突如大量発生したモンスター群によって滅んだの。老若男女関係なく、生き延びた人間は一人もいないんじゃないか、って言われてる。そんな惨状の中で、アウスティア王家で唯一、死体が見つかっていない王子がいたの。その王子の名が――スリード・アウスティア」
全員の視線が、スリードに集中する。
見られたところで、14歳より前の記憶が無いから、わからない。その王子がたまたま自分と同名だったのかもしれない。しかし、十年前の出来事であれば、記憶が無い以上は、無関係とも断定できない。
「その話、前から知ってたの? イリーナ」
オリガに問われて、イリーナは「もちろん」と頷いた。
「何がもちろんよ。情報通でもないとわからないことじゃない。どうして、アズラックの町で初めてスリード君に会った時、その話をしてくれなかったの?」
「あの時点では、まだ手配書も出回っていませんでしたし、同名だからって決めつけるのはよくないと思ってました。だから黙ってたんです」
「にしても変じゃない。アウスティア王国滅亡は十年前のことでしょ? 仮に、今私達と一緒にいるスリード君が、そのスリード・アウスティア王子だったとして、どうして」
と、オリガは荷物袋の中から手配書を取りだし、テーブルの上に広げた。
「こんなにも、今の年齢のスリード君そっくりの似顔絵を、ヴェストリアの連中は描けたわけ?」
全員、押し黙った。考え出すと、どんどん謎が深まってくる。
そんな中で、スリードは、ウェアライオンのエイミと戦った時の出来事を話すべきかどうか、迷っていた。
あの時、もう少しでエイミが勝てるという状況であったにもかかわらず、彼女は突然淫らな振る舞いを始めてしまった。それは、スリードに強く見つめられた直後から起こったことだった。
今にして思えば、自分が何か特殊な力を発揮したのだとしか思えない。そして、その力とは、淫魔王の血から来るものではないか、とスリードは考えていた。
「お嬢様、これで少なくとも、この男が危険性の極めて高い奴だということがよくわかったでしょう。あまり関わらないように。いいですね」
そうザリタに言われて、ニーザは全然納得していない様子ながらも、「はーい」と返事をした。
「あれ?」
不意に、オリガがキョロキョロと周りを見始めた。
「よく考えたら、さっきからアルマちゃんの姿が見えないけど、どこにいるの?」
「最ッ低」
「ほら、どうした。中に入れよ。俺が飲み物くらいおごってやるぜ。ただし、俺の部下三十名の『特濃ミルク』をな。お友達にも味わわせてやるよ」
ブランゾワのゲスな発言に、スリード達は眉をひそめた。ここまで露骨に下卑たことを言ってくる奴には、そうそう出会ったことがない。
「三年前から頭の悪さは成長してないんじゃない? 馬ッ鹿みたい――」
アルマは冷ややかに言い放って、そっぽを向いた。
「あ 何か言ったか!!」
衝撃で空気が震動した。
次の瞬間、ブランゾワはアルマの目の前に立っていた。おそるべき移動速度である。
「!」
「三年前に逃げ出した分のツケ、たっぷり払ってもらうぜ――お前の体でな!!」
ブランゾワは強引にアルマの体を抱き寄せると、スカートをめくった。パンツが露わになる。その上から、力任せにお尻を揉もうとしてくるのに対し、アルマは必死で抵抗する。
「ちょっと! やめて!」
「へへへ、三年前は小便くせえガキだったが、今はなかなか抱き甲斐のある体してるじゃねえか。もったいないぜえ、使わねえとよ」
侮辱的な発言をし、ブランゾワはアルマの唇に、自分の唇を重ねようとする。
「ん! いや! 放してえ!」
嫌悪感で目を閉じ、アルマは涙を滲ませた。
その時である。
「いい加減にしろ」
ブランゾワの背後から、声が飛んできた。
「ああ 俺に向かって偉そうな口を――!」
皆まで言う前に、振り向いたブランゾワの顔面に、拳骨が叩き込まれた。
「ぐべっ!!」
奥歯にまで伝わる衝撃を受け、ブランゾワは吹き飛び、地面に倒れ伏した。我が身に何が起きたのか、まだ理解できていないのか、口内からボトボトと砂の上に垂れ落ちる血を、ぼんやりと眺めている。
やがて、ブランゾワは顔を上げた。
スリードが真っ向に立ち、厳しい目でブランゾワのことを見下ろしている。それから、集まり始めた周囲の野次馬達を見回した。
「見物人も集まってきたし、始めよ」
「てめえ……」
「女の子を手荒に扱ったんだ、容赦はしないよ」
「……面白え」
ゆらり、とブランゾワは立ち上がる。口から垂れる血を、袖で拭い取った。
「てめえと、俺と……どちらが上か、勝負しようじゃねえか。だが、わかってんのか? そいつはな、ただのシーフじゃねえ。俺の下へ流れ着いた後は、俺のために忠実に働いていた。それがどういう意味かわかるか?」
ブランゾワは殴られてもなお、余裕の笑みを浮かべた。
「俺はこの町を陰から支配している。町の連中に、時には土地を貸し、時には金を貸し、そこから得られる利益の一部を俺に納めさせている。だが、もしもその上納金を納められなかった時は、容赦なく取り立てる。家財から、女から、全てな」
そして、アルマのことを指さした。
「わかってんのか? こいつはな、三年前まで、その手伝いをしていたんだよ! そりゃあもう、見事な手際だったぜ! 相手が泣いて謝ろうが、構わず取り立てを遂行していたなあ! お前が、手荒に扱ったと切れた『女の子』様は、もともとそういうクズなんだよ! ひゃははははは!」
クズ、という言葉が出た瞬間、オリガは鞭を握り締めて身構えた。ニーザも怒りで頬を紅潮させる。ソフィアが「ゲス野郎」と呟く。イリーナに至っては、戦闘は得意でないのに、腰のホルダーからナイフを抜いて、今にも投げかねない様子だ。
「落ち着いて、みんな」
そんな女性達に、スリードは優しく微笑んだ。可愛らしい笑顔に、四人の女性は毒気を抜かれ、つい戦闘体勢を解いてしまった。
「僕が一人でやるよ」
スリードはアルマを片腕で押し、脇へどかせた。心配そうな面持ちで、アルマはスリードを見守っている。
「スリード、無茶は――」
「こんな奴に負けているようだったら、この先の旅も上手くいかないよ」
スリードは何を考えたのか、腰の刀を外して、アムラに手渡した。
「ちょっと、スリード! これが無かったら、戦えないんじゃないの?」
「こいつは絶対に素手で倒す」
「あのね、ブランゾワは文句無しに強いんだよ!それを、素手でなんて――」
「なめたこと言いやがって……」
ブランゾワは口内に溜まった血を吐き出した。地面に赤い液体が飛び散る。すぐに、ファイティングポーズに入った。
「ぶっ殺してやる!」
「やれるもんならやってみろ!」
「クソガキィィ!!」
ブランゾワは地面を思い切り蹴り、スリードの懐に飛び込んだ。得意技の、「ブランゾワ・ダイナマイト」。突進の勢いと腰の入ったボディーブローで、相手の内臓に直接響く一撃を与える、恐怖の技だ。
が、スリードには通用しない。
サイドへステップを踏み、かろやかに「ブランゾワ・ダイナマイト」を避けたスリードは、体勢を地面スレスレまで落として、足払いを仕掛けた。
「うぉおうわああ 」
叫び声を上げて、ブランゾワは足をすくわれた。勢いよく倒れ、後頭部を地面に打ちつける。そして、あろうことか、そのまま気絶してしまった。
さっきまで応援の声を上げていたブランゾワの部下達はシン……と静まり返った。
代わりに、日頃から暴力に苦しんできた住民――野次馬達が、大爆笑を始めた。威張っていたブランゾワが、一人の少年に間抜けな形で破れたのだ。今年一番の愉快な出来事だった。
オリガはそんな町の人々を見て、苦笑した。
「あらあら、自分が倒したわけじゃないのに、あんなに喜んじゃって」
「まあ、非力な彼らには、誰かにすがるしかないでしょう。さしずめ、スリードは彼らにとってのヒーロー、といったところではないですか。とりあえず、これでうるさいバカは静かになったから、何か飲みましょう。喉が渇きました」
ソフィアはそう言って、酒場のほうへと歩き出した。
酒場の中にいる、ブランゾワの部下達は、一斉に壁際に下がった。ソフィアが一歩進むごとに、壁を這うようにして出口へと向かう。
「コソコソしないで、堂々と出ていったら?」
ソフィアの不機嫌そうな声音に、恐れをなしたブランゾワの部下達は、蜘蛛の子を散らすように外へと飛び出していった。五、六人が一気に出ようとしたため、ドアの外れた出入り口の枠が、バキバキと破られてしまった。残ったのは、沈痛な面持ちのマスターだけである。
「私の店が……」
マスターにとって、ブランゾワ一味に貸し切っているときの方が、遥かに被害は少ないのであった。
※ ※ ※
一行が酒場に入り、飲み物を飲んでくつろぎ始めてから、およそ十分ほどして、
「大丈夫ですか、お嬢様っ!?」
ザリタが慌てた様子で酒場の中に飛び込んできた。
「ザリタさん、遅いよー」
「申し訳ありません! ここで敵襲に遭うとは思わず、油断しておりました! それで、敵はどこにいるのです 」
「ちょ、ちょっと、冷静に!」
ソフィアが急いでザリタの腕を掴んだ。今にも外に飛び出しかねない勢いだったからだ。
「落ち着いて、ザリタさん。全部お兄さんが解決してくれたから」
そう言って、ニーザが細かく説明をして、ようやくザリタは事態を飲み込んだようだった。
「だから、ザリタさん。お兄さんにお礼を言って」
「……この淫魔に、ですか?」
「もういいよ、その呼び方。失礼だよ」
「失礼を承知で言わせていただきますと、彼はアウスティア王国滅亡に深く関わっているのかもしれないのですよ」
「それはヴェストリアの言い分でしょ。手配書を作ったのも、調査したのもヴェストリアじゃない」
「ところが、調査自体は、実はクーリア教の神官達が行っているんだよね。どの国とも関係ない中立の団体が」
それまで眼鏡をかけて本を読んでいたイリーナが、パタンと本を閉じて、会話に混じってきた。
「アウスティア王国は、十年前、突如大量発生したモンスター群によって滅んだの。老若男女関係なく、生き延びた人間は一人もいないんじゃないか、って言われてる。そんな惨状の中で、アウスティア王家で唯一、死体が見つかっていない王子がいたの。その王子の名が――スリード・アウスティア」
全員の視線が、スリードに集中する。
見られたところで、14歳より前の記憶が無いから、わからない。その王子がたまたま自分と同名だったのかもしれない。しかし、十年前の出来事であれば、記憶が無い以上は、無関係とも断定できない。
「その話、前から知ってたの? イリーナ」
オリガに問われて、イリーナは「もちろん」と頷いた。
「何がもちろんよ。情報通でもないとわからないことじゃない。どうして、アズラックの町で初めてスリード君に会った時、その話をしてくれなかったの?」
「あの時点では、まだ手配書も出回っていませんでしたし、同名だからって決めつけるのはよくないと思ってました。だから黙ってたんです」
「にしても変じゃない。アウスティア王国滅亡は十年前のことでしょ? 仮に、今私達と一緒にいるスリード君が、そのスリード・アウスティア王子だったとして、どうして」
と、オリガは荷物袋の中から手配書を取りだし、テーブルの上に広げた。
「こんなにも、今の年齢のスリード君そっくりの似顔絵を、ヴェストリアの連中は描けたわけ?」
全員、押し黙った。考え出すと、どんどん謎が深まってくる。
そんな中で、スリードは、ウェアライオンのエイミと戦った時の出来事を話すべきかどうか、迷っていた。
あの時、もう少しでエイミが勝てるという状況であったにもかかわらず、彼女は突然淫らな振る舞いを始めてしまった。それは、スリードに強く見つめられた直後から起こったことだった。
今にして思えば、自分が何か特殊な力を発揮したのだとしか思えない。そして、その力とは、淫魔王の血から来るものではないか、とスリードは考えていた。
「お嬢様、これで少なくとも、この男が危険性の極めて高い奴だということがよくわかったでしょう。あまり関わらないように。いいですね」
そうザリタに言われて、ニーザは全然納得していない様子ながらも、「はーい」と返事をした。
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