【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

863話 採掘場に到着

「さて、着いたぞ。ここが採掘場だ」

 採掘場の前まで来た俺は魔法の絨毯を上空で停止させる。

「うわぁ……。広いな」

 キサラが呟く。
 ここは西の森の奥地だ。
 広大な自然が広がっており、上空から眺めるその景色は見事なものだ。

「ここはハイブリッジ男爵家が管理しているんですね」

「まぁな。1年半ほど前までは、盗掘団が占領していた場所だ。俺を中心とした部隊の活躍により、盗掘団を捕縛したんだ」

「へぇ……。凄いな」

「さすがは男爵様……。そんなあなたに楯突いた私たちが愚かだったのですね……」

 キサラとトパーズがそれぞれ感想を述べる。

「それで、ご主人さまぁ。わたしたちはどこかで待っていればいいんですかぁ?」

「ん? そうだな……。疲れているなら待っていてもいいし、もし興味があるなら付いてくるといい」

 俺はちびっ子三人組に向けてそう言う。
 彼女たちは、ゴブリン戦で九死に一生を得たばかりだ。
 肉体的にも精神的にも疲れて可能性が高い。

「もちろん行きたいですぅ! ご主人さまのご活躍により開発されたこの場所……! 見ることができる機会なんて、滅多にありませんのでぇ!」

「…………(こくこく!)」

「私も興味あります!」

「そうか。ならばせっかくだし、案内してやろう」

 リン、ロロ、ノノン。
 まだ若い三人組だが、将来は有望だ。
 特にリンとロロには先ほど通常の加護を付与したわけだし、将来的に現ミリオンズ並みの活躍ができることは半ば確定しているようなものだ。

 俺とマリアは魔法の絨毯を制御し、地上に下ろす。
 どうやらかなり目立っていたようだ。
 群衆たちが遠巻きにこちらを伺っている。

「あれは……誰だ?」

「知らない顔だ」

「どうやって空を飛んでいたんだ?」

 群衆はザワザワと騒いでいる。
 この採掘場の周辺の開発は徐々に進んでいる。
 ブギー盗掘団から接収した直後は、設備がほとんど整っていない採掘場と、寝泊まりができる程度の簡易的なアジトがあるだけだった。

 その後ニムの土魔法を大いに活用しつつ、盗掘団の元メンバーや人夫などによって施設が整えられていった。
 今は、人夫用の宿泊施設、食堂、道具屋、マッサージ店、一般向けの宿屋なども揃っている。
 またその他にも、とある施設を準備中のはずだ。

「やいやいっ! 怪しい奴めっ!」

「ここは、かのハイブリッジ男爵家が管理する採掘場だぞ!」

「それを知っての行動だろうな!? 何を企んでやがる! ああん!?」

 人混みの中から、人相の悪い三人組が出てきた。
 男たちは背中に巨大な斧を背負っていたり、手に鉄パイプのような棍棒を持っていたりする。
 なかなかの迫力だ。

 ちなみにだが、彼らが俺を知らないのも無理はない。
 俺はあくまで、ラーグの街を拠点に活動しているからだ。
 そもそもラーグの街の住民でさえ、『領主の名前は知っていても顔は知らない』という者は存在する。
 ましてや、ここは最近ようやく小さな街としての体裁が整い始めたばかりだ。

「ふむ……。お前たちは衛兵ではないようだな。ここの治安を自主的に守ってくれているのか?」

 俺は質問する。
 すると、男のひとりがニヤリとした。

「ああ、そうさ! この地はまだまだ発展する! 腕力しか取り柄のなかった俺たちも、この採掘場なら稼ぐことができる! 今じゃこんな立派な装備を手に入れた! これなら狩りもできる!!」

 男は誇らしげに自分の着ている鎧を見せる。
 それは、ハイブリッジ男爵家の紋章が入った上等な鎧であった。
 これはミティ――いや、ロロの作品かな?
 鎧の片隅に、ロロの名前が彫ってあるのが見える。

 あれは、市場の相場を崩さないように程々の価格程度に抑えて流通させている装備品だ。
 俺はロロに視線を向ける。

「彼はこの鎧を気に入ってくれているようだぞ。良かったなぁ。これもロロが頑張っていた成果だ」

「…………(ふんす!)」

 俺の言葉を聞いたロロは得意げな表情を浮かべる。
 それとは対称的に、男はポカンとした表情をしている。

「な、何を言ってやがるんだ? そんな子どもにこれほどの鎧が作れるわけがないだろ?」

「そうとも限らん。本人のやる気や才能。手取り足取り教えてくれる師匠。整った鍛冶施設に上質な鉱石が揃えば、たとえ子どもだろうと見事な鎧を作ることは可能だ」

「そんな馬鹿なことあるかよ……。そもそも、お前がいったい何を分かっているって言うんだ!」

 男が怒鳴り散らしてくる。
 しかし、その表情にはどこか困惑の色が混ざっていた。
 俺の正体を計りかねているようだ。

 まぁ、ただの不審者にしては態度がでかくて落ち着いているわけだしな。
 別に問答無用で斬りかかってきたわけでもないし、もったいぶって意地悪する必要もないか。
 ここらで名乗って――

「タカシ殿! もう来られてましたか!」

 俺が自己紹介をしようとした瞬間、少し離れたところから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「ハッハ! タカシの坊主は、いつも急に来るからなぁ!!」

「お出迎えが遅くなり、申し訳ありません。大頭領さま」

 こちらも聞き覚えのある声だ。

「おう。お出迎えご苦労。ブギー頭領、ジョー副頭領、そしてケフィ統括よ」

 俺は彼らの方を向き、そう声を掛けたのだった。

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