【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

822話 バキッ!!!

「うわあああぁっ! ぐおおおおぉっ!!」

 俺は声を張り上げるが、両手両足を拘束されているので何もできない。

「タカシちゃん。いくら叫んでも無駄だよ。ここは防音対策バッチリだからさぁ」

「さぁ、続きをどうぞ」

「む、無理だ! これ以上は――ぬおっ!?」

 俺の言葉の途中で、イリーナの手が伸びて俺の乳首をつまんだ。

「ふふっ。男なのにここが弱いんだねぇ」

「や、やめろ! 触るなっ!!」

「はいはーい。それじゃあ、次は私ですね。えいっ!」

「ぐあああぁっ!?」

 レティシアまで加わり、左右同時に責められる。
 俺は悲鳴をあげて身を捩るが、二人を振り払うことはできない。

「うへぇ。ちょっと摘んだだけでこんなになるなんて、タカシちゃんってば敏感だね」

「男のくせに情けないですね。ほれほれほれ……」

「ぐおおおぉぉぉっ!!」

 二人の指が俺の乳首を刺激する。
 そのたびに、俺は悲鳴を上げることしかできない。
 体も全力で抵抗しているのだが、両手両足と首が鎖によって拘束されているため、まともに動けないのだ。
 しかも、ご丁寧に『魔封じの枷』まであるからな。
 これでは、いくら膨大な魔力を持つ俺でも脱出は厳しい。

(ミティが好みそうなシチュエーションだな……)

 俺はそんなことをぼんやりと思ってしまう。
 彼女はミリオンズで一番力が強い。
 もちろん俺よりも上だ。
 初体験のときもそうだったが、彼女に力づくで迫られると抵抗は難しい。

(いや、厳密に言えば、ミティの剛腕に対しては魔法で抵抗はできるんだよな。それに比べれば、今の方がより厳しい状況か。魔力が抑え込まれてしまっているのだから)

 魔力は、基本的には魔法の行使に影響するものだ。
 しかし、俺ぐらいの上級者になれば、身体能力の向上に転嫁することもできる。
 魔力が抑え込まれてしまうと、身体能力も下がってしまうことになる。

「くっ! ぬおおおっ!!!」

 力を入れてみるが、やはり鎖が引き千切れたりする様子はない。

「ふふっ。だから無駄だって」

「いくらハイブリッジ男爵でも、『魔封じの枷』があってはどうにもならないでしょう」

 イリーナとレティシアがそう言う。

「うおおおぉっ!!!」

 俺は叫びながら、もう一度全力で抵抗する。
 本当に全力を出しても拘束が引き千切れないのかどうか。
 それを確認しておかないと、安心して先に進めないからな。

「やれやれ。タカシちゃんは諦めが悪いなぁ。だから無駄――」

 バキッ!!!

「――え?」

「はい?」

 俺が全身全霊の力を込めた瞬間、何かが壊れるような音がした。

「えええええええええっ!?」

「こ、これはいったい……」

 イリーナとレティシアが驚きの声をあげる。
 彼女たちが驚くのも無理はなかった。
 俺の右手を拘束していた鎖が、引き千切れてしまっていたからだ。

「そ、そんな……。まさか、こんなことが……」

「し、信じられません……。『魔封じの枷』を装着された状態で、これほどのパワーを出せる人がいるなんて……」

 二人が呆然とした表情で言う。

「ほらな。俺の心配した通りだ。全力を出せば解けてしまうような拘束は、拘束じゃないんだ」

「うわっ! タカシちゃんのドヤ顔ウザッ!」

「くぅ……。やはりハイブリッジ男爵は規格外の存在ですね……」

 イリーナとレティシアが悔しげに言う。

「ほら、何を突っ立っている?」

「へ?」

「俺の右手をもう一度拘束してみろ。今度は千切れないような鎖でな」

「あ、はい……」

 レティシアが俺の指示通りに動き出す。
 拘束プレイには、大きく2種類ある。
 『ガチで身動きが取れない拘束』と『動こうとすれば動けるなんちゃって拘束』だ。

 俺とミティのお楽しみにおいて、俺はミティの剛腕によってまともに抵抗はできない。
 アグレッシブな彼女に良いようにされてしまう。
 だが、隙を突けば何とかならないこともないし、魔法を使えばどうとでもなる。

 そういう意味で、俺とミティのお楽しみは『動こうとすれば動けるなんちゃって拘束』のプレイに類似していると言えなくもない。
 そのような状況においては、ガチの抵抗をしないように留意する必要がある。
 ガチの抵抗をしない範囲で無難に抵抗して、緊迫感を演出するのがコツだ。

 一方で、『ガチで身動きが取れない拘束』をして楽しみのももちろんアリだと思う。
 こちらの場合、全力で抵抗しても本当にどうにもならないので、緊迫感が段違いとなる。
 もちろん、責め手を受け手に信頼感は必要なので、お手軽には楽しめないのが難点なのだが。

「こちらの鎖でよろしいでしょうか?」

 レティシアが新しく用意した鎖は、元々のものより一回り太いものだった。
 これなら、俺が力を入れても千切れることはなさそうだ。

「いいだろう。それで拘束してくれ。――ああ、それと一つ注意事項があるのだが……」

「は、はい」

「責めに少し遠慮が見えていたぞ。俺は被疑者で、レティシアは尋問官だ。だから、もう少し強めでもいいと思う」

「えっと……、具体的にはどうすれば?」

「もっと強くつねったり、引っ張ってくれて構わない。あるいは、鞭で叩いてくれてもいいぞ」

「いや、それはさすがに……」

「遠慮することはない。俺が許可しているのだからな。あと、視線ももっと冷たくしてくれ」

「……分かりました。では――」

 鎖による再拘束が終わり、プレイの再開準備が整った。
 レティシアが顔を引き締める。

「……あのさぁ。タカシちゃん」

「なんだ?」

「このアタシの尋問をプレイ扱いしてない?」

 ギクッ!
 俺は一瞬、動揺してしまう。

「そ、そんなことは無いぞ」

「そうかな? なんか変なこと考えてなかった?」

「気のせいだ」

「ふーん」

 イリーナがジト目で見てくる。

「まあいいか。じゃあ、尋問を再開するよ!」

「はいっ! イリーナ大隊長!」

「ぐおおおおぉっ! ヤメテクレー!!!」

 こうして、地獄のような尋問の時間は過ぎていったのだった。

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