【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

675話 レティシアやナオミたちとの鍛錬

「せいっ!」

「ぐっ! ……まだまだ!!」

 俺の剣戟を受け止めたレティシアが叫ぶ。
 俺は現在、王都にある騎士団の演習場で1対多数の戦闘訓練をしていた。
 叙爵式まであと少し日にちがあるので、有意義な暇つぶしをしている感じだ。

「はあっ!」

「ふんッ!」

 横薙ぎの斬撃を放つと、レティシアはそれを自身の盾で受け止め、そのまま力任せに押し返してきた。

「ぬおっ!?」

 予想外の反撃に、俺はたたらを踏む。
 その隙を逃さず、彼女は素早く踏み込んで突きを放ってきた。

「なーんてな」

 が、その攻撃が届く前に、俺は体勢を整えて回避する。
 そしてすぐさま彼女の背後に回り込んだ。

「そこですっ!」

 俺の動きを読んでいたのか、そこへナオミが槍を突き込んできた。

「いい突きだ! うまいぞっ!」

 俺はあえて前へ飛び出すことでギリギリのところで回避した。

「もらったぞ! ハイブリッジ騎士爵!!」

「挟み撃ちですっ!」

 レティシアとナオミがそう言う。
 2人がかりでの左右からの攻撃。
 受け手が常人なら、ここで詰みだ。

「甘いぜ」

 俺は地面を強く蹴って高くジャンプする。
 空中で身体を回転させ、同時に鞘に収まったままの刀を振り回して周囲をなぎ払った。

「「きゃああああっ!」」

 悲鳴を上げるレティシアとナオミ。
 彼女たちが身につけている鎧や服には傷ひとつついていないが、それでも衝撃は殺せなかったようで、その場に尻餅をついた。

「そこまでっ!! 勝者、ハイブリッジ卿!!」

 審判役の豪槍くんがそう宣言すると、周囲から歓声が上がった。

「お、お疲れ様でした。ハイブリッジ様。今日も歯が立ちませんでした」

「いやいや、今回は結構危なかったぞ? ナオミちゃんがあのタイミングで挟んできたのは、少しヤバかった。もちろん、それに至るまでのレティシアの動きにも感心させられたけどな」

 模擬戦を終えた俺は、2人と握手を交わしつつ感想を言い合う。

「お世辞はいりませんよ」

「お世辞じゃないんだが……。レティシアやナオミちゃんを始め、騎士団全員が強くなっているぞ」

「ありがとうございます。でも、まだまだです」

 レティシアは謙遜するが、このところの騎士団はメキメキと実力をつけていた。
 騎士たちは日々の訓練に余念がない。
 その上、俺はここ数日で鍛錬に顔を出している。
 主な目当ては女性騎士のレティシアとナオミだが、豪槍くんや他男性の騎士たちも、俺が稽古をつけてやると嬉々として挑んでくるのだ。

 まぁ、騎士団の団員たちにとっては、実力で平民から貴族に成り上がった達人(俺)から指導を受ける絶好の機会だからな。
 その気持ちも分かる。
 俺としても、初日にあえて正体を明かさずにボコボコにしてしまった負い目があるので、なるべく希望に応えようと頑張っているわけだ。

「特に成長著しいのは……ナオミちゃんだな。思い切りがよくなっただけじゃなく、身体能力も増している。まるで別人だ」

「あ、ありがとうございます! ハイブリッジ様のご指導ご鞭撻のおかげですっ!」

 俺の言葉に、ナオミは満面の笑みを浮かべる。
 この子も美人さんなので、その笑顔は破壊力が凄まじい。

「うんうん、そう言ってくれると俺も嬉しいよ。ナオミちゃんは、手の筋肉がいいよな。弾力性のある肌が……」

「ふぇっ!? えっと、そ、そうなんですか?」

 俺は彼女の手を掴んで、指先から腕にかけて撫でるように触っていく。

「ひゃうっ!? ちょ、ちょっと、くすぐったいですっ! んっ! んんぅっ!」

 ナオミが身を捩らせながら可愛らしい声を出す。
 俺はそんな彼女に構わず、そのまま手を握って観察を続けた。

「なるほどな。これは毎日の筋トレのおかげかな? それとも、日頃からのストレッチの成果かもしれないな」

 あとは、加護(微)の影響もあるか?
 騎士団の中で加護(微)に一番乗りをしたのがナオミだ。
 他の者も多くは忠義度20を超えているが、加護(微)の条件である30を超えているのは現時点でナオミだけである。
 レティシアや豪槍くんあたりも結構高まってはきているが。

 叙爵式を終えてヤマト連邦に旅立つまでに、何人かだけでも条件を達成しておきたいな。
 ヤマト連邦に連れていくわけではないし、ハイブリッジ騎士爵領に連れていくわけでもない。
 即座に役立つわけではないが、サザリアナ王国の王都騎士団のメンバーが若干ながらも強化されるのは、長い目で見て悪いことではないだろう。
 俺が今後もサザリアナ王国内で成り上がり、そして世界滅亡の危機に立ち向かっていくにあたり、きっと力になってくれることもあるはずだ。

「は、はいぃ。そうかもしれません。あ、あの、もう離してください。恥ずかしくて死んでしまいます」

 顔を真っ赤にして涙目のナオミ。

「ああ、悪い。つい夢中になってしまった。すまないな」

 俺は謝りつつも、ナオミの手を離さない。

「いえ、あ、あの、ア、アタシなんかの手を握っていただいて、ありがたく光栄ではありますが、やっぱり恥ずかしいです……」

「そうか? でも、綺麗で可愛いぞ?」

「ふぇっ!?」

「それに、柔らかい。どことなくいい香りもするな」

「ふわぁっ!?」

「ナオミちゃんは本当に魅力的だよ」

「はにゅ~……」

 ナオミは身体から完全に力が抜けてしまったのか、へたり込んでしまった。
 少し離れたところで、こちらを羨ましそうに見ているメイド少女がいる。

「むぅ。ずるいです。私だって、お館様に褒められたいのに……」

「ふっ。お前はこっちで鍛錬だぜ、レイン」

「然り。拙者たちとの修行はまだまだ続くぞ、れいん殿」

「うぐぐ。分かりました。今日もよろしくお願いします」

 レイン、キリヤ、蓮華も同じく、この騎士団の訓練場で鍛錬をしている。
 一口に騎士とは言っても、その強さは様々だ。
 蓮華やキリヤほど強い者は中隊長以下にはなかなかいないようだが、それでもレティシアや小隊長三人衆あたりはいい練習相手になる。

 レインはレインで、蓮華やキリヤの指導を受けつつ、平騎士たちとよく模擬戦を行なっている。
 この調子なら、天才美少女メイド剣士として名を馳せる日も近いだろう。
 俺はそんなことを考えつつ、その後も訓練に励んだのだった。

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