【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

640話 ハイブリッジ家配下の紹介 御用達冒険者

 食事会を楽しみながら、ハイブリッジ家の配下を紹介しているところだ。
 執事やメイド、警備兵たちの紹介を終えた。

「さあ、続きましてはハイブリッジ騎士爵家御用達の冒険者の紹介です! まずは、Cランクパーティの雪月花!」

 雪、月、花の3人が前に出る。

「「おお!!」」

「あの若さでCランクか!」

「聞いた話では、ラスターレイン伯爵領にあるアヴァロン迷宮の攻略にも貢献したとか」

「女性のみのパーティでCランクとは珍しい」

 会場内からそんな声が漏れる。
 この世界には闘気や魔力が存在するため、地球に比べて男女の性差は小さい。
 だが、わざわざ危険な冒険者になる女性はさほど多くないのだ。

「3人共、タイプは違えど見目麗しい女性たちですね」

「ハイブリッジ騎士爵は、ああいう女性が好みなのか」

「あの年齢でCランクなのだ。相当に鍛え抜かれた体をしているに違いない」

「噂では、既にハイブリッジ騎士爵の寝室に出入りを許されているとか……」

「つまり、既に関係を持っているということか!?」

「なんと!?」

「羨ましい……!」

「くそっ! 私もハイブリッジ騎士爵になりたいものだ……」

 参加者たちから嫉妬の声が上がる。
 微妙に尾ひれが付いているな。
 雪月花の内、俺の寝室に来たことがあるのは花だけだ。
 しかも、一線は越えていない。
 土壇場で彼女が心変わりしたからだ。
 それにしても、こんな噂がどこから流れてしまったのだろう?

「続きまして、同じくCランク冒険者のトミー! そしてその仲間たちです!」

 ネリーの紹介に伴い、引き締まった体の男たちが前に出る。
 戦闘能力や経験という点で、安定して高いレベルでまとまっているのが彼らだ。
 純粋な戦闘能力だけならキリヤやクリスティが上だが、彼らは冒険者としては経験不足だからな。
 会場からトミーたちに拍手が送られる。

「さらに、将来有望なDランクパーティ『紅蓮の刃』です!」

 次に出てきたのは、かつて俺に絡んできたアランたちだ。
 その表情は緊張気味である。

「ふむ? Dランク冒険者か……」

「悪くはない実力を持つのだろうが……」

「この場でわざわざ紹介するほどでもないような気がするな」

「確かにそうだ」

「しかし、ハイブリッジ騎士爵は、Dランクとはいえ彼らを評価しているようだぞ?」

「何か事情があるのだろうか?」

 参加者たちが首を傾げる。
 冒険者ランクはEからSの6つある。
 Eランクは駆け出しで、誰から見ても半人前と言える。
 Cランクは上から数えれば4つ目ではあるが、構成分布がピラミッド型になっている関係上、Cランクでも上級扱いされるのが一般的だ。

 ではDランクはと言えば、一戦力としては明確に計算できるレベルではあるが、エースには程遠いといった感じである。
 彼らが紹介を疑問に思うのも無理はない。
 そんな微妙な空気の中、アランが紅の剣を高々と掲げた。

「我が名はアラン! ハイブリッジ騎士爵家の名の下に! ここに集いし勇敢なる戦士たちとともに! 必ずやサザリアナ王国に貢献致しましょう!!」

 よく通る声で叫ぶように宣言する。
 かつてはただのチンピラだったのが嘘みたいである。

「威勢だけはいいようだ」

「元気がある若者は見ていて微笑ましい」

「確かに、将来性には期待できるかもしれぬな」

 参加者たちの空気が少しだけ変わった。
 さらに、その中の1人が異変に気づく。

「いや待て……。あの紅の剣は、まさか……」

「……む。そのまさかのようだ。あれは、ハイブリッジ騎士爵の二つ名『紅剣ドレッドルート』と同じ作りのものだ」

「おお!? なんと!?」

「ハイブリッジ騎士爵の第一夫人ミティ殿は、鍛冶の達人だと聞いたことがあるが……」

「なるほど、そういうことか」

「自身の二つ名になった魔剣と同じ物を与えるとは、それだけ期待しているということだな」

 参加者たちの空気が変わった。
 アランに対し、期待を寄せるような視線を送っている。

「また、ここから西部に広がる森の奥地には、新たに開発されている鉱山があります! 鉱夫たちが日々汗を流しています! 本日は代表して、3名の顔をお見せ致します! 順にブギー、ジョー、ケフィでございます!」

 ネリーの紹介に合わせて、屈強な大男が1人、やや痩せているが引き締まった体をしている男が1人、そして背丈が小さめの少女が1人前に出る。

「あれが悪名高きブギー盗掘団の……」

「王都から何度か捕縛隊を出されたが、失敗に終わってきたと……」

「この街が主体となった捕縛作戦は、ハイブリッジ騎士爵が叙爵されることになったきっかけだな」

「犯罪者だろう? いくら開発のためとはいえ、信用していいのか?」

「しかし、実際にハイブリッジ騎士爵の領地は発展している」

 参加者たちからそんな声が上がる。
 俺は悠然と前に出て、3人の前に立つ。

「第一採掘場統括ブギー。御身の前に」

「第二採掘場統括ジョー。御身の前に」

「第三採掘場統括ケフィ。御身の前に」

 彼らは片膝を付き頭を垂れた。

「み、見ろ……。いかにも荒くれ者の男が、ハイブリッジ騎士爵には従っている」

「奴らが捕らえられたのは、彼の活躍があったからと聞いているが……」

「普通なら逆恨みして従うはずがない。ハイブリッジ騎士爵はうまくやっているようだな」

 確かにそうかもしれない。
 俺は加護付与スキルの副次的な恩恵により、各人の好むことや嫌がることをある程度推測できる。
 よほど相性が悪い者でない限り、離反されるようなことはないだろう。

「面を上げよ」

 俺の言葉に従い、3人は顔を上げる。

「まずは、鉱山の開発に尽力してくれていることを感謝しよう。これからも頼む」

「「「はっ!」」」

「それから、貴様らの働きは聞いている。追って褒美を授けよう。楽しみにしていろ」

「「「ありがとうございます!」」」

「うむ」

 俺は鷹揚に肯いてみせる。
 これでハイブリッジ家の配下の紹介は終わりが見えてきた。
 後数人だけ紹介して、披露会を終えることにしよう。

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