【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

503話 ハイブリッジ家トーナメント開催

 王都の騎士団に所属しているというナオンが屋敷を訪ねてきた。
 さっそく採用しようと思ったのだが、キリヤと口論になってしまった。
 エリート騎士は、やや貧しい暮らしをしていたキリヤとは相性が悪いようだ。
 俺は仕方なく、間に入って彼らをなだめることにした。

「それなら、直接戦って白黒を付けてみるか?」

「「望むところだ(です)!」」

 キリヤとナオンが同時にそう叫ぶ。
 こういうときだけ息が合っているな。

「なら、さっそく始めよう。場所はこの庭でいいか……?」

 俺はそう思案する。
 と、そこにちょうどセバスがやって来た。

「お館様。いかがされましたか?」

「おう。新たにこのナオンという騎士を登用しようかと思ったのだが、その前にキリヤと試合をさせて実力を見ようかと思ってな」

「なんと。そのようなことが」

「うむ。それで、この庭で戦わせても問題ないと思うか?」

「ふむ……。大きな問題はありませんが、あまり推奨はできませんな。戦いの余波で屋敷や菜園にダメージが及ぶ可能性がありますので」

 確かに。
 さすがはセバス。
 よく考えている。

「では、場所を変えるか」

「ええっと……。それでしたら、北の草原にある広場がいいと思います。確か、”北の練習場”でしたか」

 ヴィルナがおずおずとそう口を挟む。
 北の練習場。
 かつて俺がただのDランク冒険者だった頃に、北の草原の一部に名付けた場所である。
 今ではニムの土魔法などにより整備され、よりきちんとした練習場になっている。

 時おり、初級冒険者たちが利用しているのを見かける。
 もとは俺たちミリオンズが整備したものだが、あまり利用権を制限するつもりはない。
 土地自体はミリオンズのものではないしな。
 いや、俺は領主なので厳密に言えば俺の土地なのだが。

「ふむ。確かにあそこがいいだろうな。意見をありがとう、ヴィルナ」

 俺は彼女にそう礼を言う。
 キリヤとヴィルナは幼なじみであり、普段から相当にいい雰囲気だ。
 俺は彼女に手を出すつもりはない。
 しかし、適度に忠義度を稼いでいきたいという思いもある。
 決まったお相手がいる女性相手の忠義度稼ぎは、なかなか神経を使う。
 まあ、それはともかく。

「北の練習場での模擬戦で決着を付けてもらう。キリヤとナオンもそれでいいな?」

「おう」

「構いません」

 2人がそう返答する。
 と、そのとき、また新たに人がやって来た。

「タカシの旦那! こりゃ何の騒ぎですかい?」

「見かけない女騎士がいるわね! 私のハイブリッジ家に何の用かしら?」

 Cランク冒険者のトミーとツキだ。
 後ろには、ハナとユキもいる。
 彼らは、たまにこの屋敷に顔を出すのだ。

「強そうな騎士さんだね~」

「……新しい配下の人……?」

 2人は興味深そうにナオンを見る。

「私はナオン=ネリアだ。王都の騎士団に所属している」

 彼女は毅然とそう自己紹介する。

「ほーん? 騎士団の方ですかい?」

「ああ。何でも、俺の配下として働きたいらしくてな。まずは実力を見せてもらうことにしたのだ」

「おおっと! そりゃ聞き捨てならねえ! 俺もタカシの旦那の配下に加えていただきたいですぜ!」

 トミーがそう主張する。

「私は側室入りね!」

「ハナちゃんは妾でも構わないよ~」

「……ボクは配下になりたい。不安定な冒険者よりもそっちの方が……」

 ツキ、ハナ、ユキがそう言う。
 確かに、ぽっと出の騎士をホイホイ採用していれば、彼女たちも面白くないか。

「わかったわかった。では、お前たちの実力も改めて見せてもらおう」

 これで参加者は6人になった。
 キリヤとナオン。
 トミー、そして雪月花の3人だ。

「せっかくだし、トーナメント形式にするか。優勝者には何でも1つ、望みを叶えてやろう。……もちろん、俺ができる範囲でだが」

「「「おおおおぉっ!!!」」」

 俺の言葉を聞いて、みんなが嬉しそうに身を乗り出す。
 それぞれ、自分の強さに相当自信があるようだ。

「ちょっと待てや。それならあたいも参加するぜ」

「俺も出たいな」

「そうですね。私も参加したいです!」

 クリスティ、ネスター、ヒナがそう言う。
 どこから聞きつけたのか、いつの間にか多くの人が集結していた。

「へ、へえ……。聞きましたか? ミティさん」

「もちろん聞きました。ここは私が優勝して、願いを叶えてもらいます。むんっ!」

 ニムとミティがそう言う。

「ま、負けませんよ。震えて眠ってください。いよいよタカシさんとわたしが結婚して、わたしの時代が始まるのです!」

「まさか私に勝てるつもりですか? 寝ぼけているようですね」

「す、睡眠時間は十分足りています。筋肉だけではわたしの土魔法に勝てないということを、思い知らせてあげましょう」

「むきぃ~っ」

「ふふふふふふ」

 なんだかバチバチと火花が散っているような気がする……。
 普段のミティとニムは、特別に仲良しというほどではないが、険悪というわけでもない。
 優勝賞品を目指して、2人の闘争心に火がついてしまったようだな。

「まあまあ。落ち着け2人とも。ケガがないように気をつけろよ」

 俺はそう言って場を収める。
 特にミティは、ここ最近で体調不良でおとなしくしているときも多かった。
 あまりムチャはできないだろう。

「ええと……。今で11人か。あと5人いれば、ちょうど16人のトーナメントができるな……。セバス、だれか心当たりはないか?」

「そうですなあ……」

 セバスがチラリと視線を向ける。
 彼の視線の先には……。

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