【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

454話 我、予算は金貨800枚でって言ったよな!

 ラスターレイン伯爵家主催の慰労会にて、料理を堪能しながら参加者たちの忠義度を再確認しているところだ。
 忠義度30台は、シュタイン、ソフィア、マクセル、トミーの4人である。

 他の者を確認していこう。
 忠義度20台の者は、結構いる。
 というか、この場にいるほとんどの者は忠義度20台だ。

 ギルバートとジルガ。
 ジョージとセニア。
 ミサ。
 ストラスたち”疾風迅雷”の面々。
 アルカ。

 イリアとボネス。
 ”雪月花”の3人。
 フレンダ。
 その他の冒険者たち。
 それぞれが忠義度20を達成している。

「ガハハ! タカシ! たくさん食わねば、パワーが出せぬぞ!」

 ギルバートがそう言う。

「へっ。総合力では置いていかれちまったようだが、足技だけは負けねえからな」

 そう言うのは、兎獣人のストラスだ。

「ああ。俺もたくさん食べて、まだまだ精進するつもりだ」

 忠義度20台と言えば、仲のいい友人くらいのポジションである。
 ギルバートやストラスは、まあ友人だと言っていいだろう。

 シュタインの妻であるミサの忠義度の高さは、俺が彼女の記憶障害の治療を行ったことに起因する。
 それでも40に達していないのは、彼女の愛がシュタインに向いている影響かもしれない。

「あはは。にぎやかだねえ」

 アルカはウォルフ村の一件からの付き合いで、今回もリトルクラーケン戦で行動をともにした。
 ちなみにソフィアはブギー盗掘団の一件からの付き合いだ。
 俺と彼女たちとの関係性はそれぞれ似たようなものだと思うが、忠義度に差が生じている。

 これは、アルカの興味がモフモフに注がれている影響だろう。
 彼女はモフモフに夢中で、俺のことはあまり眼中にない。
 ソフィアは俺に対して恋愛的な興味はないようだったが、平和を愛する冒険者仲間としては高く評価してくれている。

「はぐはぐ! たくさん食べて、元を取るわよ!」

「ハナちゃんはもうお腹いっぱいだよ~」

「……ボクはもう少しがんばる……」

 ”雪月花”の3人は、海水浴であんなことをしでかしていた割には、忠義度20台にとどまる。
 やはり、俺の人柄や顔に惚れ込んでいるというよりは、財産目的での行動で間違いない。
 まあ、暗殺や強奪で直接的に奪おうとしたわけではないので、それほど悪質ではないが。

 今後俺のいいところを見せれば、ちゃんとした意味で忠義度を稼いでいけるだろう。
 そういう意味では、彼女たちのミリオンズ入りの可能性はまだ残っている。

「んふふ~。タカシちゃんは、フレンダちゃんに全然なびいてくれないね~。ちょっと興味出てきたかも~」

 ”魅了”のフレンダの忠義度もまあまあだ。
 彼女は生来の顔の良さに加えて、魅了魔法により男性にちやほやされてきたのだろう。
 魔法抵抗力の高い俺は、やや希少な存在だ。

 あとは、その他の多くのCランク冒険者たちも忠義度20台である。

 忠義度が20に達していないのは、この場ではごくわずかだ。
 ウィリアムたち一行と、ベアトリクス第三王女だけである。
 とはいえ、忠義度10は超えているので、敵対的というほどではない。
 他人以上、友人未満ぐらいのポジションだ。

「ふん。”烈風”の勧誘に失敗したのは残念だったが、まあいい。腹ごしらえを済ませたら、次の目的地に向かうぞ」

「はっ! ウィリアム様の向かわれる先が、わたくしめの向かう先です! どこまでも付いていきましょう!」

 俺とウィリアムは、ウォルフ村の一件からの知り合いである。
 彼のパーティメンバーであるニューとイルも同様。
 クロメとシェーラとは、選別試験で初めて会った。

 俺たちミリオンズと彼らは選別試験で同じDブロックに割り振られ、死闘を繰り広げた。
 もちろんガチの殺し合いではない。
 あくまで、冒険者のライバルとして競い合っただけだ。

 同じく特別表彰者のソフィア、マクセル、アルカ、ギルバートあたりもライバルではある。
 しかし彼女たちとは、ライバルであると同時に友人としての関係も一定程度築いている。
 ウィリアム一行との忠義度の差は、そのあたりに起因するのかもしれない。

「ぶへー。食った食った」

「お姫様が発していい言葉じゃないな……」

「いちいちうるさいぞ! ハイブリッジ騎士爵!」

 ベアトリクス第三王女が俺をにらむ。
 彼女の忠義度が低いのは残念なところだ。
 彼女は”剣姫”の二つ名を持つ実力者。
 顔もいいし、高貴な身分でコネに期待できる。
 俺としては仲良くところだったのだが。

 まあ彼女は王族なので、忠義を誓う側ではなく誓われる側だ。
 そういう意識の差でも、忠義度に差は生じるだろう。
 ハガ王国の国王であるバルダインも、俺との関わりの深さの割には忠義度が40台にとどまっているしな。

 あとは、アヴァロン迷宮からの帰りの船での一件や、この慰労会での失言の数々がマイナスに働いている可能性も大いにある。
 俺はどうも、彼女と話すときに挑発めいた言動をとりがちである。
 気を付けなければならない。

 そんな感じで、俺はみんなの忠義度を確認していく。
 そうしているうちにも、慰労会は進行している。
 みんな、まだまだ食べ続けている。
 ラスターレイン伯爵家の面々がバタバタしている。

「マ、マズいぜ! イカがすごい勢いでなくなっていく! 他の料理もあんまりねえぜ!」

「その通りですね。高ランク冒険者の食欲を侮っていたようです」

 リルクヴィストとリカルロイゼがそう言う。
 ギルバート、ミティ、ウィリアム、アルカあたりを筆頭に、大食らいが多い。

「あらあら。客人を前に、料理を切らすとは貴族の名折れです」

「ううっ。リトルクラーケン頼みで乗り切れると思ったのですが……」

 マルセラとシャルレーヌがそう言う。
 確かに、リトルクラーケンの料理だけで相当な量があった。
 あれがなくなるとは、想定外だろう。

「追加で料理を手配しろ! 当初予算の金貨800枚を限界まで使え! なんとしてでも料理を確保せよ!」

 リールバッハがそう指示を出す。
 金貨800枚。
 相当な大金である。
 日本円にして、800万円ぐらいのイメージだ。

 今この場には、アヴァロン迷宮に挑戦していた冒険者が50名以上いる。
 1人あたりに換算すると、10万円を軽く超える。
 みんながいくら大食らいだからと言って、10万円分の料理を食べればさすがに満足するだろう。

「わかりましたわ。私から、知り合いの料理人に声を掛けてきます」

「わ、私も行きますっ!」

 リーゼロッテとシャルレーヌがそう言って、会場から飛び出していった。
 その後、料理が尽きる前に追加の料理が来て事なきを得たのだがーー。

「ガハハ! もう終わりかと思ったが、まだまだあるではないか!」

「さすがは伯爵家です! たくさん食べますよ。むんっ!」

「ふん。俺ももう少し食っておくか」

「あはは。おいしい料理がたくさんあって満足だよ」

 バクバクバクバク!
 ギルバート、ミティ、ウィリアム、アルカあたりを筆頭にみんなどんどん食べていく。
 遠慮がない。

 そしてしばらくして、さすがの彼らもとうとう満足したようだ。
 お腹を大きく膨らませて、リラックスしている。

「ミティ。たくさん食べられたか?」

「はい! これから生まれてくる子どものためにも、栄養をたくさん摂っておきました!」

 気が早い。
 まだ妊娠の兆候は出ていないのに。
 千にもらった薬の効き目が本物であれば、その可能性も高いのだろうが。

 俺たちがそんな会話をしている横では、ラスターレイン伯爵家の面々が安堵のため息をこぼしている。
 招待客を前に料理を切らすという失態を見せずに済んで、ひと安心といったところか。
 だがーー。

「お父様。こちらが追加料理の請求書となりますわ」

 ピラっ。
 リーゼロッテがリールバッハに1枚の紙切れを渡す。

「なっ! 我、予算は金貨800枚でって言ったよな!」

 彼が驚きに目を見開く。
 どうやら、高額の請求が来ているらしい。

「申し訳ありません。想定以上に皆さんの食べられる量が多く……」

「ぐぬぬ……。料理を切らせるという失態を回避するにはやむを得なかったか。しかし、予算オーバーだ……」

 リールバッハが苦渋の表情でそう言う。

「し、仕方ありません。今後、私たちの食費を切り詰めることにしましょう」

「ああ……。しばらくは、おかず1品だな……」

 リカルロイゼとリルクヴィストがションボリとした顔でそう言う。
 伯爵家とはいえ、予算超過は痛かったようだ。
 そもそも、今回の慰労会の当初予算や、アヴァロン迷宮攻略の報酬金の支払いもあるしな。

 俺たちミリオンズも、ミティやニムを筆頭に、遠慮なくたくさん食べていた。
 正直すまんかった。

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