【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

437話 金銀財宝を手に入れた!

 俺は宝物庫の結界を突破した。
 後追いでギルバートとジルガも挑戦したが、残念ながら結界に阻まれた。
 彼らはダメージを受けて倒れ込んでいる。

「俺が結界の影響を受けないのは、とある秘術のおかげだ。みんなもマネはするなよ」

 とりあえずそう言っておく。
 別にティーナのことを正直に言ってもいいのだが、なにせ超高性能のゴーレムだ。
 彼女自体に価値がある。
 無闇に広めてしまうと、狙われてしまうかもしれない。

 先ほどマクセルには伝えたが、まあそれぐらいはいいだろう。
 あくまで、無闇に広めるのを避けるだけだ。
 ラスターレイン伯爵家や冒険者ギルドにも、必要あれば伝えるつもりだし。

「おお、さすがはタカシの旦那!」

「皆のもの! 偉大なるタカシ様のご活躍を、その目に焼き付けなさい!」

 トミーとミティがそう言う。
 トミーはともかく……。
 ミティは、俺とティーナの事情を知っているよな?

 先ほども、口を開いてはいないが隣でずっと聞いていたはずだし。
 彼女はスキあれば、俺の評判を上げようとする。
 加護付与のための忠義度稼ぎにも役立つし、ありがたいことではあるのだが。
 少し気恥ずかしい。

 俺はそのまま宝物庫の奥に到着する。
 金銀財宝、剣、魔道具などがある。

「おお……。これは見事な……」

 詳しく見ていきたい。
 しかし、1人で時間をかけて見るのもさみしい。
 とりあえずアイテムルームに収納して、後でみんなと確認するか。

 俺は宝物をどんどん収納していく。
 そんな中、2つほど気になるものがあった。
 これらだけは、この場で少し確認しておこう。

「これは風呂敷か? 一見、何の変哲もないように見えるが……。魔力を感じるな」

 俺は風呂敷を手に取る。
 折りたたまれていたので、広げてみる。
 また広げる。
 さらに広げる。

「おお? 広げれば広げるほど、どんどんでかくなっていく。しかし、もともと折りたたまれていた分を超えているような……」

 魔道具の一種か。
 既に3メートル四方ぐらいまで広げたが、まだまだ広がりそうだ。
 詳しいテストは後でやろう。
 取り急ぎ、この風呂敷を『でかくてビッグな大風呂敷-ジャンボジャンボクロス-』と名付けよう。

 さて。
 もう1つ気になっているものはーー。

「見事な剣だ。しかし、何やら禍々しい……」

 赤い剣だ。
 ドス黒い赤色をしている。
 血の色と言ってもいい。

 ところどころサビている。
 ティーナによれば状態保全の魔法とやらが存在するらしいが、これには施されていなかったのか。
 それとも、さすがに万能ではなかった感じか。

「格の高さを感じる……。鍛え直せば使えるかもしれん。後でミティに相談してみよう」

 ミティの鍛冶術はレベル5。
 たいていの剣は修復できるだろう。
 無事に鍛え直せれば、紅剣ドレッドルートの性能を超える可能性もある。

 やっぱタダものじゃねーな、ここの宝は。
 賞賛に値するぜ。

 その後も、俺は宝物をどんどんアイテムルームに収納していく。
 魔力強化をレベル5にまで伸ばした恩恵により、俺のアイテムルームの収納量は増えている。
 問題なくすべてを収納できた。
 俺は結界を出てみんなのもとに戻る。

「ふふん。やったわね。これで私たちも億万長者よ!」

「わあい! マリア、ケーキをいっぱい食べる!」

 ユナとマリアがそう言う。
 ダンジョン内で得た物品はすべてその者の所有物となるのだ。
 正確に言えば、取得者のパーティのものになる。
 今回は俺が取得したので、これらの宝物はミリオンズのものとなるイメージだ。
 マリアは無邪気に喜んでいるが、ケーキどころの取り分ではないぞ。

「マ、ママたちの生活も、これで完全に安定するでしょう」

「そうだね。私たちの留守中に、何事も起きてなければいいけど……」

 ニムがそう言う。
 彼女たちの両親は、ラーグの街で重婚して4人で暮らしている。
 ニムの両親が、パームスとマム。
 モニカの両親が、ダリウスとナーティアだ。

 彼らには、俺たちからある程度の金銭的な援助をしている。
 また、ラーグの街に残してきたセバスやネスターあたりにも、困った様子があれば手助けするように言っておいた。
 おそらくは問題なく平和に暮らしているはずだ。

 そして今回の収入の一部でも彼らに回してあげれば、生活の安定は盤石なものになる。
 あまり過剰な支援は、かえってプライドを傷つけてしまうかもしれないが……。
 彼らは過剰なプライドを持っていないし、普通に支援する分には問題ないだろう。

「これだけの元手があれば、ラーグの街近郊の開発も捗りそうですね」

「そうですわね。伯爵家長女として、できる助言はさせていただきますわよ」

 サリエとリーゼロッテがそう言う。
 彼女たちは貴族の生まれだ。
 俺の領地の発展に向けて、有用なアドバイスをもらえるだろう。

 ふと、ミティとアイリスが俺のすぐ近くまで来る。
 彼女たちが俺の耳元に口を寄せる。

「(私はそろそろ子どもがほしいです……。タカシ様とのかわいい子どもが……)」

「(ボクもほしいかも……。子どものためにも、お金はあったほうがいいね。困っている人たちを助けたい気持ちもあるけど)」

 ミティとアイリスが小声でそう言う。
 彼女たちと結婚してもう結構な日が経過しているし、子どもができてもおかしくはないな。

「(ああ。これまで以上にがんばるよ)」

 いつもやることはやっているし、避妊もしていない。
 もしかしたら、既に妊娠初期でもおかしくはない。
 そう考えると、あまり危険な活動には連れていかないほうがよかったか?

「ぬ……。それだけの財があれば、拙者の路銀にしても余りある。さらには、織田家の援助も……? しかし、拙者はみりおんずの一員ではござらんし……」

 蓮華が悩ましい顔をしている。

「どうした? 蓮華」

「恥を捨ててお頼み申す! その財のほんの一部でも、拙者にも分けてはくれぬだろうか?」

 蓮華が頭を下げる。
 変な頼みだな。
 
「はあ? 何を言っている」

「だ、駄目でござるか……」

 蓮華が意気消沈した表情で下を向く。
 彼女の言い分は通らない。
 ここはビシッと言ってやろう。

「蓮華は俺たちミリオンズの仲間だろう? 分け前はもちろんくれてやるさ。ほんの一部などではなく、適切な額をな」

「な、なんと!」

「だが、俺たちの仲間として、しばらく俺たちミリオンズと行動をともにしてもらうことになるが。構わないよな?」

「ぬ……。拙者は、剣の聖地そらとりあへ向かうつもりでござったが……。まあ、達人であるたかし殿と行動を共にするのも学びが多そうだからな。構わぬでござる」

 よし!
 どさくさ紛れに、蓮華をミリオンズに加入させることに成功した。
 何だか、金で釣ったような形になったが……。
 細かいことはいいだろう。

 この金銀財宝、剣、魔道具は、蓮華を含めた俺たちミリオンズのものになる。
 とはいえ、さすがにすべてを独占するのもどうか。
 ここはーー。

「聞け! 野郎ども! 宝を手にしたのは俺だが、すべてを独占するつもりはない! ダンジョン攻略に成功したのは、みなの尽力があってこそだからな!」

「うおおおぉ! それはつまり、俺たちにも分け前をくれるってことですかい!?」

「さすがはタカシの旦那だ! 一生付いていきやすぜ!」

 トミーたちが興奮している。
 一般的なルールからすれば、この金銀財宝、剣、魔道具などはすべて俺のものになる。
 しかし、すべてを独り占めはさすがにマズいだろう。
 やっかみがあるかもしれないからだ。
 ラスターレイン伯爵家や冒険者ギルドとも相談して、適切に処理をしておこう。

 別に、一般的なルール通りにすべて俺のものにしても大きな問題はないのだが。
 俺はサザリアナ王国騎士爵にして、Bランク冒険者。
 パーティメンバーも強者ばかり。
 さらに、パーティメンバーにはハルク男爵家次女のサリエ、ラスターレイン伯爵家長女のリーゼロッテ、ハガ王国王女のマリアもいる。
 ソーマ騎士爵とは盟友関係を築いている。
 加えて、今回の件でラスターレイン伯爵家に貸しもできた。
 もはや、俺に対してどうこう口出しできる存在は限られている。

「詳細の取り分は、冒険者ギルドやラスターレイン伯爵家の方々とも相談して決める! おそらく、冒険者ギルド経由で現金としていくらか配分する形になるだろう!」

 俺はそう締めくくる。
 別に、平等精神や道徳心からそう言っているわけではない。
 加護付与のための忠義度を稼ぐためだ。

 ここで気前よくお宝をおすそ分けすれば、忠義度を稼げるかもしれない。
 逆に、すべてを独り占めすれば、要らぬ敵対心や嫉妬心を持たれるかもしれない。
 世界滅亡の危機に立ち向かうための仲間を増やすと同時に、俺の愛する仲間に危害を加えそうな敵対者を無闇に増やさないためにも、ここは気前よくいくべきだろう。

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