【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

393話 選別試験Dブロック ウィリアム一行との戦い

 ダンジョン攻略メンバーの選別試験が行われているところだ。
 開始早々、多数の冒険者に狙われてしまったが、ミリオンズのみんなの活躍により撃破した。
 後続の”魅了”のフレンダという少女に俺は魅了されそうになったが、アイリスの五光一閃によって撃破した。

 俺たちが戦っている間に、多方面でも戦いは繰り広げられていたようだ。
 残るは、俺たちの他に1パーティのみである。

「ふん。少しは骨のあるやつが残っているようだな」

 男がこちらを見据え、そう言う。
 彼の名はウィリアム。
 支配者の二つ名を持つ、強力な冒険者だ。
 ウォルフ村の一件ではミリオンズと敵対気味だったが、最終的には共にキメラを撃破した仲だ。

「またあいつらですか……。今度こそ、私めが勝利を収めてご覧に入れましょう」

 猫獣人の少女……ニューがこちらをにらんでそう言う。
 彼女がライバル視しているのは、ミティだ。
 ウォルフ村で戦ったことがあり、その後のキメラ戦やレッドホットチリ祭りでも張り合っていた。

「私もがんばるぞー! がうっ!」

 牙をむき出しにしてそう吠えるのは……。
 ええっと……。
 ああ、そうそう。
 確か、暴れるディルム子爵を押さえつけていた少女か。
 名前はイルだったように思う。

 あの頃は、一般人程度の身体能力しかない様子だった。
 今の彼女は、なかなかに鍛えられた体つきをしている。
 この数か月で、しっかりと鍛錬を積んだようだ。

 ウィリアム、ニュー、イル。
 さらに、他にも2人の女性のパーティメンバーがいる。
 彼は彼で、着実に仲間を増やしてきたわけか。

「ウィリアムたちが最後の相手だな。強敵ではあるが、8対5なら勝てそうだ」

 まだ新人のマリアとサリエを頭数から除いたとしても、6対5だ。
 こちらがかなり有利である。

「そうですね。多少は手加減してもいいかもしれません」

 ミティがそう言う。
 しかしーー。

「悪いが手の抜き方を、俺は知らない」

 俺は火魔法の詠唱を開始する。
 こういうのは先手必勝なのだ。

「マグナムッ!」

 俺は爆速で移動する。
 フレアドライブのインスタント版のようなイメージの魔法だ。
 速度や攻撃力を抑える代わりに、詠唱時間を短縮しているのである。

 ドゴン!
 俺の拳がウィリアムを襲う。
 だがーー。

「ふん。なかなかの速さだ。良い技を習得しやがったな」

 ウィリアムが手のひらで俺のパンチを受け止め、そう言う。
 俺のマグナムを受け止めるとは。
 かなりの動体視力と反応速度だ。

「このっ……! ウィリアム様に無礼なことを!」

「がうっ!」

 ニューとイルがワンテンポ遅れて、俺の攻撃に反応する。
 俺の拳がウィリアムによって押さえられているうちに、反撃を行おうといったところか。
 少しマズい。

 だがーー。

「もうっ! 1人で突っ走らないでよ」

「ボクも助太刀するよ!」

 モニカとアイリスが加勢に来てくれた。
 モニカは術式纏装”雷天霹靂”。
 アイリスは聖闘気”五聖の型”を発動している。
 ミリオンズ内でも、この2人の機動力は特に優れている。

 さらに少し遅れて、ミティやニムたちも追いついてきた。
 ウィリアム側の残りの2人も戦列に加わり、総力戦の様相である。

「ロック・パンク!」

「ふん、岩の鎧か。なかなかやっかいだが……。クロメ!」

 岩鎧をまとったニムの体当たりを受け、ウィリアムがそう言う。

「はっ! 私にお任せを! ……音よ切り裂け。サウンドブレイド!」

 ウィリアム一行のルーキーの片割れは、クロメという名前のようだ。
 褐色肌の少女である。
 彼女が使うのは音魔法。
 以前、ブギー盗掘団のジョー副頭領も使っていた。

「うっ! ちょ、ちょこざいな!」

 ニムが若干のダメージを受け、そう言う。
 ニムのロックアーマーは、音魔法とやや相性が悪そうか。
 固い岩の鎧も、音ならば貫通することができる。

 そんな感じで、戦いは激しさを増していく。

「イル! シェーラ! ”あれ”を使え!」

「はっ! 承知しました」

「いきますわよ!」

 ルーキーのもう1人は、シェーラという名前か。
 ウィリアムの指示を受け、イルとシェーラが魔力を高めている。
 2人が息を合わせ、詠唱を開始する。

「「揺蕩う水の精霊よ。我が求めに応じ、大波をつくりだせ。ウォーターウェイブ!」」

 俺の知らない水魔法だ。
 だれかが水魔法創造で開発したオリジナルの水魔法か。
 イルやシェーラ自身が開発した可能性もなくはない。

 ゴゴゴ!
 ゴゴゴゴゴ!
 海から、ひときわ大きな波が押し寄せてきている。
 この円形のステージが飲み込まれてしまいそうな大きさだ。

 ウィリアム陣営は、彼を中心に固まっている。
 何らかの方法で、この大波を耐えきるつもりなのだろう。

「くっ。厄介な」

 俺たちミリオンズはどうするか。
 大波が来るまでにウィリアムたちを撃破するか、何かしらの方法で大波を耐えきるかだが……。

「……従順なる土の兵士よ。我が求めに生まれ出よ。クリエイト・ゴーレム!」

 ニムが中型のゴーレムを生成している。

「み、みなさん、これを使ってください! 中を空洞にしているので、水に浮くはずです!」

 なるほど。
 浮き輪代わりのような感じか。

「ありがとう。さすがはニムだ」

「助かる。これがあれば、何とかなりそうだね」

 俺とアイリスはそう言う。
 それぞれ、中型のゴーレムとともに大波に備える。

 そんな中ーー。

「ふふん。乗るしかないわね。このビッグウェーブに」

 ユナがゴーレムをサーフボードのように操り、軽快にサーフィンをしている。
 彼女の脚力はさほどでもないが、身のこなしの軽やかさやバランス感覚においてはトップクラスだ。
 波乗り程度は朝飯前ということか。

「えへへ。マリアも、空を飛べるからだいじょうぶだよ!」

 マリアはハーピィ。
 生まれ持っての飛行能力に加えて、重力魔法もある。
 彼女の前では、大波程度は脅威でも何でもない。

「私もだいじょうぶ。青空歩行」

 モニカが並外れた脚力を活かして、空中でジャンプし続けている。
 以前の彼女は空中で一度だけのジャンプが可能だったが、今の彼女は多段ジャンプが可能だ。
 体力や筋力の限界があるので、1分以上の維持はまだ厳しいだろうが。

 ゴゴゴゴゴゴゴ!
 とうとう、大波がこちらまで迫ってきた。

 あとは、俺たちが耐えきれるかどうかだ。
 ニムのゴーレム のおかげで溺れることはない。
 しかし、物理ダメージは受けてしまうだろう。

 俺、アイリス、ニム、サリエは大波に備えて身構える。
 そんな中、ミティが大波に立ち向かおうとしている。

「侵掠すること火の如し。ビッグ……」

 まさか拳で、大波に対抗する気か?

「バン!!!」

 バシャーン!
 大波が……割れた。
 とてつもない一撃だ。

 大波の威力は大幅に減退した。
 だが、まだ余波は残っている。
 余波が俺たちを襲う。

「ぐぼ……」

 結構キツイ。
 だが、なんとか耐えて反撃をしなければならない。

 みんなはだいじょうぶだろうか?

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