【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

391話 選別試験Cブロック

 ダンジョン攻略メンバーの選別試験が行われているところだ。
 Bブロックの選別試験が終わった。
 次はCブロックだ。
 俺たちミリオンズはDブロックなので、しっかりと観戦させてもらうことにする。

「神よ。僕に力を……。聖剣エクスカリバー!」

 さっそく大技をぶっ放している少女がいる。
 ”白銀の剣士”ソフィアだ。
 ブギー盗掘団の捕縛作戦のときに、俺たちミリオンズとひと悶着あった。

「「「ぎゃあああっ!」」」

 ソフィアが放ったエクスカリバー砲により、男たちが吹き飛ばされる。
 しかしーー。

「あはは。すごい威力だねえ」

 とある少女は、ソフィアの聖剣エクスカリバー砲を無事に回避していたようだ。
 彼女は、ビーストマスターのアルカ。
 ユナの故郷であるウォルフ村の一件でいろいろと関わりになった。

 パチン。
 アルカが指を鳴らす。

「おいで。くまっち、とらっち、きめらっち、うるふっち」

 ポンポンポンポン。
 虚空から魔物が召喚されていく。

 ええと。
 確か、彼女はテイマーであると同時に、召喚魔法の使い手でもある。
 テイマーとして、ユナのように魔物を使役することができる。
 それと同時に、魔力を消費して虚空から魔物を召喚することもできる。

 魔物使いとしては、今のところはユナの上位互換と言ってもいいだろう。

「ビーストマスターのアルカさんか。相当な強敵だね。でも、僕たちは負けない。いくよみんな!」

「「「ああ!」」」

 ソフィアを含めた”光の乙女騎士団”の4人が、アルカに接近していく。
 人数としては4対1だが、従魔も含めると4対5だ。

「あはは。僕たちも簡単には負けないよー」

 僕っ娘同士の対決。
 これはどちらが勝つのかーー。


 そこから少し離れたところでは、男たちが少女に攻撃を仕掛けようとしていた。
 いや、少女というよりは幼女か。
 見た感じ、まだ10歳にもなっていないだろう。

「おうおう、どこから迷い込んできたのか知らねえが、ここはお嬢ちゃんが来るような場所じゃねえぜ」

「他のやつにケガをさせられねえうちに、俺たちが優しく場外に投げ飛ばしてやるよ」

 男たちがそう言う。
 口調は荒いが、言っていることは結構まともだ。
 確かに、あのような幼女がこの選別試験に紛れ込んでいるのは危ない。

 男たちの手が幼女に向かう。
 しかし、その直前に。

「……悪いが、こいつは俺の相棒だ。手出し無用に願おう……」

 大男が男たちの攻撃の手を止めた。
 それにしても、この大男は特徴のある外見をしている。

「くま?」

「クマですね」

「熊だねえ」

「ベアー……」

 俺、ミティ、モニカ、サリエがそうつぶやく。
 あの大男は、熊の特徴を持った外見をしている。

「ああ、彼は熊獣人だね。新大陸の北部ではちらほらと見かけたけど。そういえば、新大陸南部のこの国では見たことがなかったな」

 アイリスがそう言う。
 熊獣人。
 このあたりではめずらしいようだが、地域によっては特にめずらしい種族でもないといったところか。

 熊獣人の大男は攻撃してきた男の手を止めた後、男の防具に手をかけた。
 バキンッ!
 男の防具が、大男の手により削ぎ落とされた。

「なっ!? 俺の防具は、金属製だぞ。どんな力をしてやがる……!」

 男が驚愕の表情でそう言う。

「いや……。聞いたことがあるぞ。こいつは、”解体者”ボネスだ!」

 もう1人の男がそう言う。
 熊獣人の大男は、解体者の二つ名を持つ有名人だったようだ。
 残念ながら俺は知らないが。

「く……。だが、こんな小さな女の子を連れて選別試験に臨むのはなめているとしか思えねえな。この子に手を出してほしくなければ、おとなしくしな」

 男がそう言って、幼女に剣を向ける。
 これは選別試験なのだが、やっていることはチンピラみたいだな。
 まあ、実力で勝てない相手には有効な手ではあるが。

 ダンジョン攻略の際、魔物相手には人質作戦など通じない。
 とはいえ、目的のためなら手段を選ばず臨機応変に対応するその姿勢は、ラスターレイン伯爵家から一定の評価を得てもおかしくはない。

「……ぬ。すまぬ、イリアよ。自分で何とかしてくれ……」

 ボネスがそう言う。

「やれやれ……。妾の手を煩わせないでほしいのじゃ」

 イリアと呼ばれた幼女がそう言う。
 外見は幼いのに、口調は年寄りっぽい。
 俗に言う”のじゃロリ”というやつか。

「おいおい。自分で何とかなんて、できるわけねえじゃねえか。薄情な野郎だぜ」

 人質作戦を決行している張本人がそう言う。
 確かに、幼女がこの状況を打破できるとは思えないが……。

「あ、相棒! そいつから離れろ! そいつは、”烈風”の二つ名を持つ……」

 もう1人の男がそう警告する。
 しかし、少しタイミングが遅かった。

「……弾けろ。エアバースト」

「「ぐおっ!」」

 幼女が発動した風魔法により、2人の男が弾け飛んでいった。
 彼らは海に落下し、リタイアとなった。

「ふん」

 イリアが興味なさげにそう鼻を鳴らす。

 それにしても、ずいぶんと強力なエアバーストだ。
 俺やミティのそれよりも、出力はかなり上だった。

 エアバースト自体は初級の風魔法ではあるが、使い手の腕や込める魔力量などにより出力は増減する。
 達人が使えば、ただのエアバーストが強力な必殺技になり得る。
 今のは◯ラゾーマでは無い……◯ラだ。
 みたいなイメージである。


 イリアやボネスから少し離れたところでは、3人の冒険者パーティが無双している。

「ユキ! そっちに行ったわよ!」

「任せて、ツキ姉さん……」

「止めはこの私、ハナちゃんにお任せ~」

 10代中盤くらいの若い冒険者パーティだ。
 しかも、全員が女性である。

「ぐっ。これが連携で有名な”雪月花”か。やっかいだぜ!」

 彼女たちと戦っている冒険者がそうつぶやく。
 ユキ、ツキ、ハナで雪月花か。
 なかなかオシャレなパーティ名である。


 そんな感じで、Cブロックの選別試験が進んでいく。
 しばらくして、試験は終了となった。

 ソフィアとアルカの戦いは、結局決着がつかなかったようだ。
 個人の戦闘能力ではソフィアのほうが若干上のようだった。
 しかし、くまっちやきめらっちという強力な魔物を従えるアルカ陣営の総合戦闘能力もかなりのものだ。
 くまっちは、ウォルフ村の一件の時点での俺に勝つほどの戦闘能力を持つしな。

 ちなみに、きめらっちに当時ほどの戦闘能力はない。
 あの時は研究施設のドーピングによって一時的に強化されていたのだ。
 ドーピングがなくなった今の試合でも、くまっちと同等の戦闘能力はあるようだったが。
 光の乙女騎士団も大苦戦をしていた。

 ソフィアやアルカの他は、熊獣人の”解体者”ボネス、幼女の”烈風”イリア、そして雪月花の3人などが最後まで立っていた。
 彼女たちは相当な強者でありライバルでもあるが、ダンジョン攻略やファイヤードラゴン戦では頼りになりそうな仲間たちでもある。

 俺たちミリオンズも気合を入れて、次のDブロックの選別試験に臨まなければならない。

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