【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

378話 屋形船でのハプニング

 蒼穹の水晶の使い道を相談した翌日になった。
 
「我が盟友、タカシよ。約束していた通り、今日はこの街”リバーサイド”の名物料理を振る舞おうではないか」

 シュタインがそう言う。

「ああ、期待しているぞ。それで、どんな料理なんだ?」

「ふふふ。見てのお楽しみだ。まずは、付いてきたまえ」

 シュタインがそう言って、付いてくるように促す。
 俺たちは彼に従い、歩きだす。

「わくわくしますね。今日はたくさん食べます!」

「ボクもちょっと期待してる。変わった料理が出てくるのかな」

 ミティとアイリスがそう言う。
 モニカやニムたちもそわそわしている。
 そんな感じで、俺たちは歩みを進めていった。


●●●


「さあ。この船に乗りたまえ」

 シュタインがそう言う。
 彼が示す先にはーー。

「ほほう。なかなか立派な船だな」

「なるほど……。これに乗って、移動するわけですね」

 サリエがそう言う。

 街中を移動しつつ、景色や食事を楽しむための船だろう。
 日本で言うところの、屋形船のような形状だ。

 全長は10~20メートルぐらい。
 屋根が付いている。
 その下には、テーブルも用意されている。
 
 俺たちは船に乗り込んでいく。
 先頭は、モニカとニムだ。

「よっ、と」

 モニカが軽快な足取りで船に乗り込む。

「み、みなさん。足元に注意してくださいね」

 ニムはどっしりと非常に安定感のある立ち姿だ。
 彼女は、ミリオンズの中でも屈指の総合身体能力を持つ。

「むっ!? わわっ。……結構揺れますね」

 ミティが姿勢のバランスを取りつつそう言う。

「そうですわね。何かに掴まらないと、転んでしまいそうですわ」

 リーゼロッテがそう言う。

「ミティ。それにリーゼロッテさん。手を……」

 俺はそう言って、彼女たちに手を差し出す。
 俺たちミリオンズの中で、足腰が弱いのはこの2人だ。

 アイリス、モニカ、ニムは強靭な下半身を持つ。
 ユナとマリアは、筋肉はさほどないが身のこなしは軽快だ。

「ありがとうございます!」

「助かりますわ。ありがとうございます」

 ミティとリーゼロッテがそう言って、俺の左手と右手をそれぞれ掴む。
 ミティの夫として、それにリーゼロッテの将来の夫として、いいところを見せられたようだな。

「タカシさん……。わ、私もお願いします」

「サリエ? わかった。ちょっと待っていてくれ」

 いけない。
 サリエも足腰は強くない。
 彼女にもサポートをしないと。

 しかし、俺の両手は塞がっている。
 少し待ってもらうしかない。

「わかりました。……わわっ。ちょっ……!」

 そうこうしているうちに、サリエがバランスを崩す。
 そして、俺のほうに倒れ込んでくる。

「うおっ!」

 普段の俺であれば、もちろん持ちこたえただろう。
 基礎ステータス強化系のスキルをちゃんと伸ばしてきているからな。

 しかし今の俺は、両手でミティとリーゼロッテを支えている。
 その上、そもそも揺れる船上という不安定な足場だ。
 さすがの俺でも、そこにサリエが倒れ込んできたら、受け止めきれない。

 ドターン!
 俺は倒れ込んでくるサリエ、それにミティとリーゼロッテとともに、盛大に倒れた。

 むにゅっ!

「……ん? なんだ、この感触は……?」

 むにゅっ、むにゅっ!
 柔らけえ……。
 どこかで覚えのある感触だが……。

「ひゃうっ!」

「やあんっ!」

 リーゼロッテとサリエがそう嬌声を上げる。
 何がどうなっているんだ?
 視界が何かで塞がっていて見えない。
 何とか体勢を整えないと……。

「ふごっ! 俺の顔の前が何かで塞がっている。どいてくれないか?」

「はうっ! タ、タカシ様の息が……」

 ミティがそう嬌声を上げる。
 なんだなんだ?
 マジで、何がどうなっているんだってばよ?

「ふふん。何をイチャついているのよ!」

「まったくだよ。ほら、ボクの手を取って……」

 ユナとアイリスの声が聞こえる。
 彼女たちが、リーゼロッテ、サリエ、ミティの体勢を順に整えてくれているようだ。
 そしてようやく、俺自身も自由になれた。

「ふう。やれやれ。ひどい目にあった」

 俺はそうつぶやく。

「……もう! それはこっちのセリフですわ!」

「そうですよ! タカシさんは、ちゃんと責任を取ってくださいね!」

 リーゼロッテとサリエが顔を赤くしてそう言う。

「お、おう? 任せろ」

 何が何だかよくわからないが、とりあえず俺はそう返答しておく。
 もしかして今のは、俗に言うラッキースケベだったのか?

 確かに、あの感触はあれの感触だったのかもしれない。
 この柔らかさを覚えておこう。
 いつか、堂々と堪能できる日がくることを信じて。

「……ふむ。タカシの女好きは、やはり相当だな。私では敵わない」

 シュタインが感嘆したような表情でそう言う。
 いや、これはわざとではなくて事故だ。
 女好きは関係ないのだが……。

「ふふ、シュタイン君は、そんなことを競う必要はないよ。そもそも、私の目が届かないうちに新しく7人も奥さんを迎えているでしょ。君も十分に女好きだよ。いくら私の治療のためだったとはいえ」

 シュタインの第一夫人であるミサがそう言う。
 彼女にしてみれば、自分が記憶障害に陥っている間に、夫がたくさんの女をつくったわけだからな。
 かなり複雑な思いを抱いているのだろう。
 シュタインのことを恨んだりはしていない様子だが、たまに目つきが怖いときがある。

 そんな感じのひと悶着はあったものの、俺たちミリオンズ、シュタイン、ミサは無事に屋形船に乗り込んだ。
 船の操舵のために船頭なども乗り込んでいる。
 そして、船が出発する。

 優雅な気分だ。
 こうして見知らぬ街中をゆっくりと船で巡るというのは、かなり趣深い体験だな。

「わーい! マリア、お船に乗るの楽しい!」

 マリアが元気にそう言う。
 他のみんなも、楽しんでいる様子だ。

 船は、街中をゆったりと進んでいく。

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