【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

361話 タカシ&ミティ vs ゴブリンキング

 ゴブリンの巣を襲撃しているところだ。
ユナの火魔法により、多くのゴブリンを討伐することができた。

 しかし、巣に1匹だけ生き残りがいた。
ゴブリンキングである。
ミドルベアやジャイアントゴーレム以上に危険な魔物らしい。

 そして、巣の異常を感じ取ったゴブリンたちも戻ってきた。
数は20匹程度。

 このゴブリンたちの相手はアイリスやモニカたちに任せる。
俺とミティは、ゴブリンキングの相手をすることになる。
俺たちはアイリスたちから離れ、ゴブリンキングのほうに向かう。

「よし。まだ距離があるうちに、俺の火魔法でさらに攻撃しておこう」
「わかりました。私も、投擲で追撃しますね」

 俺の言葉を受けて、ミティがそう言う。
俺は火魔法の詠唱を開始する。

「炎あれ。我が求むるは豪火球。三百本桜!」

 俺の三大火魔法のひとつ、三百本桜である。
日頃の鍛錬、基礎ステータスの向上、そしてミティにつくってもらった紅剣ドレッドルート。
これらにより、とうとう300個ものファイアーボールを同時に発動できるようになったのである。

 ドドドドド!
ドドドドドドド!
ドドドドドドドドド!

 300個のファイアーボールがゴブリンキングを襲う。
1個1個の威力はさほどでもないが、300個もあれば驚異だろう。

 ゴブリンキングは回避や防御を試みているが、もちろん全てを防ぎ切ることなどできはしない。
ファイアーボールの狙い目は、適度に散らしてランダム性を持たせているからだ。
さらに、ミティも投石で攻撃してくれている。

 ゴブリンキングの周りが煙で覆われる。

「やったか!?」

 俺はそう言う。
しかしーー。

「タカシ様! まだです!」

 ミティがそう叫ぶ。

「ごああああぁっ!」

 ゴブリンキングが煙の中から姿を表した。
やつがこちらに駆け寄ってくる。

 ダメージは確実に蓄積されてはいるが、まだまだ元気だな。
接近されてしまったし、ここからは近接戦だ。

「よし。ミティがつくってくれたこの紅剣ドレッドルートの力を見せてやるか」
「私も援護します!」

 俺とミティで、ゴブリンキングと戦っていく。
やつはダメージも蓄積されているので、さほど動きは鋭くない。

 一方で、俺とミティは近接戦闘においてもかなりの戦闘能力を誇る。
俺は剣術レベル4を持っているし、ミティは槌術レベル5を持っている。
また、それぞれステータス強化系のスキルなども伸ばしている。
多少強力な魔物だろうと、もはや俺たちの敵ではない。

「せいっ!」
「ふん!」

 俺の剣とミティのハンマーにより、ゴブリンキングに着実にダメージを与えていく。

「がああっ!」

 ゴブリンキングが力任せに攻撃を繰り出してくる。
しかし、もちろんそんな攻撃をまともに受ける俺たちではない。
軽く躱す。

 俺たちの優勢だ。
このまま地道に削っていけば安定して倒せるだろう。
しかし、アイリスやモニカたちの様子も気になるところだ。
できれば早めに討伐を済ませたい。

「さて、そろそろとどめといくか。ミティ、少しだけ時間を稼いでくれ」
「わかりました!」

 俺は紅剣ドレッドルートを両手で構え、大技のために力をためる。
この剣はそれほど重くないので片手でも持てるが、もちろん両手のほうが威力が増す。

 知ってるか?
剣ってのは、片手で振るより両手で振った方が強えェんだ。

「斬魔一刀流……魔皇炎斬!」
「ごあっ!」

 俺の斬撃を受けて、ゴブリンキングの胸に大きな切り傷が入る。
魔皇炎斬は、火炎斬や獄炎斬よりさらに上の技だ。
やつがこちらをにらみ、何とか反撃を試みようとする。
だがーー。

「ギガント・ホームラン!」
「ぎゃっ!」

 ゴブリンキングの意識が俺に向いたスキに、ミティがハンマーによる強烈な横振りの一撃を入れる。
やつの巨体が、勢いよく弾け飛んでいく。
そして、数十メートル先の廃墟に突っ込んで止まった。

「……おお、まだ立ち上がるか」

 ゴブリンキングがガレキの下から這い出てくる。
また俺たちに向かってくるか……と思ったが、そうはならなかった。

 くるり。
やつが俺たちに背を向ける。
俺たちからもアイリスやモニカたちからも、遠ざかる方向だ。

「どうやら逃げるようですね。私の投石でとどめを刺しましょう。うまく当てられるといいのですが……」

 ミティがそう言う。
ゴブリンキングは害のある魔物だ。
みすみす逃がすわけにはいかない。

 ミティの投擲術はレベル5まで伸ばしている。
しかし、数十メートル以上離れた逃げる相手を確実に捉えるほどのコントロールはまだない。
ここはーー。

「待て、ミティ。俺に任せろ」

 確実に仕留めるなら、ミティの投石よりもいい手段がある。
 俺の言葉を受けて、彼女が1歩下がる。

「燃え爆ぜろ。フレア……」

 俺はそう唱えて、攻撃のために魔力と闘気をためる。
そして。

「ドライブ!」

 俺は爆速で移動する。
自身の後方に火魔法を発動し、推進力に変換する技だ。
加えて、火を体と拳にまとうことで、攻撃力も向上している。

「ぎっ!? ごああああぁっ!」

 ゴブリンキングは俺の想定外に速い接近に、反応が遅れる。
そのまま俺の右ストレートをモロにくらい、再び弾け飛んでいった。

 今度こそ討伐できただろうか。
やつは相当にタフだし、まだギリギリ生きているかもしれない。

 俺は遠くで倒れ込んでいるゴブリンキングの様子をうかがう。
…………。
なんと、まだ生きているようだ。
手足がピクピクと動いている。

 今すぐに逃げ出しそうな感じではないので、近づいて剣で首を切り落とすか。
それが確実だろう。
俺はそんなことを考えつつ、ゴブリンキングのほうに向かい出す。

「タカシ様。とどめは私にお任せを」
「ん? ああ」

 ミティががんばって俺に追いついてきていたようだ。
彼女は、何やらアイテムバッグから巨石を取り出した。

 びゅんっ。
彼女は、その巨石を空高く投げ上げた。
斜め上方向だ。

 ゴブリンキングのいる方向に向かって巨石が飛んでいく。
投擲角度は、地面から60~70度といったところか。
ミティの風魔法により、投擲速度が補強されている様子も見受けられる。
そしてーー。

「メテオドライブ」

 ドゴオオオン!!!
ミティの放った巨石は、見事にゴブリンキングに直撃した。

 ゴブリンキングが巨石に押し潰される。
間違いなく死んでいるだろう。

「お、おお。見事だ」
「いえ。止まっている相手であれば、これぐらいは」

 ミティがそう言う。
逃げ回る相手ならまだしも、止まっている相手であれば遠くでも命中させる自信があるようだ。
彼女のコントロールに対する認識を、改めないとな。
非常に頼りになる。

 ゴブリンキングに近づき、死体を俺のアイテムルームに収納する。
この巨石を受けても、体がグチャグチャになってはいなかった。
なかなかの防御力を持っているな。
今の俺やミティの敵ではないが、1年ほど前の時点で遭遇していればヤバかったかもしれない。

 さて。
アイリスやモニカたちの様子はどうなっているだろうか。

 チラチラと様子をうかがっていた感じでは、特に劣勢というわけでもなさそうだった。
彼女たちが今さらゴブリン程度に遅れを取るとは思えない。
しかし、万が一ということはもちろんあり得る。
俺とミティで、急いで加勢に戻ることにしよう。

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