【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

340話 マリアのパーティ登録

 冒険者ギルドにて、マリアの冒険者登録を終えたところだ。

「ありがとう。さて、次はマリアの俺たちミリオンズへの加入の処理を頼むぞ」
「承知しました。こちらの用紙にご記入ください」

 ネリーからパーティ登録用の用紙を受け取る。
個人として冒険者に登録する際に記入するのは、ファーストネームと職業だ。
パーティ登録用紙には、ファミリーネーム(名字)の記入欄もある。
あと、パーティ内での役割や、冒険者として活動する目的の記入欄もある。

 マリアが記入を進めていく。
途中で彼女の手が止まる。

「タカシお兄ちゃん。マリアのパーティ内での役割って、何て書けばいいの?」
「うーん。そうだなあ……」

 そこには、戦闘時以外に果たす役割を書くことになる。
俺はリーダー。
ミティはサブリーダー兼鍛冶師。
アイリスは神官。
モニカは料理人だ。
ニムは、当初は戦闘員として登録していたが、今は栽培者に変更している。

「マリアは、空を飛べるのだったな?」
「うん。まだあんまり高く早くは飛べないけど」

 マリアはハーピィだ。
腕に羽は生えているものの、それ以外は人族と大きく変わらない。

 しかし、謎の理屈により彼女たちは空を飛ぶことができる。
あまり激しく羽を羽ばたかせたりもしない。

 おそらくだが、無意識的に重力魔法や風魔法を使用しているのではなかろうか。
マリアはステータス上はそれらの魔法は持っていない。
種族特性として、生まれつきある程度は使えるようになっている可能性がある。

 モニカは兎獣人として生まれつき聴覚に優れているが、聴覚強化のスキル自体は当初持っていなかった。
犬獣人として生まれつき嗅覚に優れているニムについても、同様だ。
種族による特性は、スキルに反映されていない可能性がある。

「それなら、偵察員はどうだろう。空を飛んで、周囲の状況を把握する役割だ」
「わかった! それにする!」

 マリアが元気よく返事をする。

「ちょっと危なくない? 狙い撃ちとかされたら」
「確かにな。慣れるまでは気をつける必要はある」

 アイリスの懸念の声に、俺はそう答える。
遠距離攻撃の手段を持つ魔物はそう多くはないが、一定数は存在する。
それに、同業の冒険者から遠目に魔物と間違われて弓を射られる可能性もなくはない。

 彼女には、気をつけて慎重に偵察してもらう必要がある。
今後、偵察向けのスキルを強化するのもありだ。
気配隠匿、視力強化、回避術などがあれば、空を飛んでの偵察に有用だろう。
風魔法や重力魔法を取得すれば、飛行速度や小回り能力が向上するかもしれない。

 そんな感じで、マリアがパーティへの登録用紙を書き終えた。
念のため、俺も確認する。


 マリア=キャベンドラ=ローディアス
役割:偵察員
職業:火魔法使い
目的:ハーピィ・オーガと人族との友好の確立


 マリアのフルネームは長い。
キャベンドラは母方のナスタシアの姓。
ローディアスは父方のバルダインの姓だ。

 オーガやハーピィにおいても、結婚時には夫婦のどちらかの姓に統一するという風習がある。
彼らの場合、本来であればバルダイン側の姓に統一されるはずだった。

 しかし、バルダインとナスタシアは、それぞれオーガの族長とハーピィの族長だ。
族長の姓が消えることになるハーピィの部族から不満が出る懸念があった。
そのため、彼らは例外的にどちらの姓も消さずに残すことにしたのである。

 旧名は、バルダイン=ローディアスと、ナスタシア=キャベンドラだ。
結婚後は、バルダイン=キャベンドラ=ローディアスと、ナスタシア=キャベンドラ=ローディアスと名乗っている。

「記入が終わった。こちらで登録を頼む」

 記入用紙をネリーに提出する。

 ここで、俺たちミリオンズの最新情報を整理しておこう。


 パーティ名:ミリオンズ
パーティランク:B
総ギルド貢献値:2億400万ガル

 タカシ=ハイブリッジ
役割:リーダー
職業:魔法剣士
ランク:B
二つ名:”紅剣”のタカシ
ギルド貢献値:8000万ガル
目的:富、名声、力

 ミティ=ハイブリッジ(旧姓:バーへイル)
役割:サブリーダー、鍛冶師
職業:槌士
ランク:C
二つ名:”百人力”のミティ
ギルド貢献値:3400万ガル
目的:タカシと生涯をともにすること

 アイリス=ハイブリッジ(旧姓:シルヴェスタ)
役割:神官
職業:武闘家
ランク:C
二つ名:”武闘聖女”アイリス
ギルド貢献値:4100万ガル
目的:立派な武闘神官になれるよう成長すること

 モニカ=ハイブリッジ(旧姓:リシャス)
役割:料理人
職業:武闘家
ランク:C
二つ名:”雷脚”のモニカ
ギルド貢献値:2600万ガル
目的:食の探求、食の都の訪問

 ニム=ラスカル
役割:栽培士
職業:土魔法使い
ランク:C
二つ名:”鉄心”ニム
ギルド貢献値:2300万ガル
目的:お金稼ぎ

 ユナ=フェンガリオン
役割:飼育士
職業:弓士
ランク:C
目的:世界各地を旅すること

 マリア=キャベンドラ=ローディアス
役割:偵察員
職業:火魔法使い
ランク:E
目的:ハーピィ・オーガと人族との友好の確立


 マリアの加入により、ミリオンズは7人パーティとなる。
一般的には、パーティは3~5人で組むことが多い。
ソロ、コンビで活動している者や、6人パーティもそこそこいる。

 しかし、さすがに7人パーティとなるとかなり珍しい。
冒険者ギルドの規則として規制されているわけではない。
単純に、パーティが多すぎると1人あたりの実入りが減るのだ。
それに、魔物狩りのときの個別の功績を算定しにくくなり、報酬面でもめやすくなる。

 だが、俺たちミリオンズはほぼ家族のようなもの。
報酬面でもめるリスクは少ない。
各人のお小遣いはあるものの、基本的にはサイフを同じくしているからだ。
俺は騎士爵としての収入もあるしな。

 それに、そもそもミティやアイリスには物欲が少ない。
俺、モニカ、ユナは常人程度の物欲はあるが、俺たちの稼ぎであれば十分にそれを満たせている。

 ニムは少しお金に厳しいところがあるが、それは彼女がかつて経済的に困窮していたからだ。
今では、ニム本人はもちろん、母マム、父パームス、兄サムあたりも経済的に安定している。
過剰にお金にこだわったりはしない。

 マリアが加わって7人パーティになったところで、大きな問題はないと言える。
むしろ、29年後の世界滅亡の危機に立ち向かっていくためにも、もっとパーティ人数を増やしていくのもありだ。
10人を超えてくるようであれば、必要に応じて一時的にパーティを分割するなどの対応策も考えられるしな。

 そんなことを考えているうちに、ネリーが処理を終えたようだ。

「これにて、マリア様の冒険者登録とパーティへの登録は完了しました。今後のご活躍に、ますます期待していますよ」
「ああ。任せておけ」
「マリアもがんばるっ!」

 これで、マリアが冒険者として活動していく下準備は完了した。
彼女は、ハガ王国で使用していた装備を持ってきている。
さっそく、魔物狩りをすることにしよう。

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