【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

325話 奴隷商館へ

 登用試験の合格者たちと顔合わせをしてから1週間ほどが経過した。
合格者たちとは、もちろんヴィルナ、キリヤ、ヒナ、トリスタ、ロロのことだ。
彼女たちはハイブリッジ家の屋敷に寝泊まりしつつ、日々の職務にあたっている。

 別館の建造も、さっそく打ち合わせを進めている。
アイリス、モニカ、ニムあたりが主導して動いてくれている。
ニムの土魔法により、基礎部分のならしなどの時間が短縮できるかもしれないようだ。

 一方の俺は、奴隷商館にやってきた。
ミティもいっしょだ。
登用試験のときのようにミリオンズのみんなで人材を見極めるのもありだったが、奴隷商館は少しデリケートな場所である。
あんまり大人数でぞろぞろ訪れるのは避けたのだ。

 数人ぐらいの奴隷を購入する可能性があると、みんなには事前に相談・報告済みだ。

 この街の奴隷商館は、大通りから少し外れたところにある。
入口付近に強面も門番がいるため、少し緊張感が漂っている。

 まあ、顔が怖いだけで実際の実力はさほどでもないだろうが。
Dランク冒険者か、せいぜいCランク冒険者相当ぐらいかな。
今の俺にとっては恐れるに足りん。

 この街の奴隷商館の外観は、結構きれいだ。
ファンタジー小説やマンガでイメージする凄惨な環境などではない。
奴隷制度があるとはいえ、このサザリアナ王国はきちんとした法体制を持っているしな。
無法はまかり通らない。

 そんなことを考えつつ、奴隷商館の入り口まで歩みを進める。

「いらっしゃいませタカシ様。どうぞお入りください」

 強面の門番がそう言う。
ミティの購入時やその後の借金返済時にも顔を合わせているので、俺の顔は覚えられている。

 若い店員に引き継がれ、俺は店内を進んでいく。
応接室に案内される。

 俺はミティといっしょにソファに座る。
お茶が出される。

「店長が参りますので、しばしお待ちくださいませ」

 若い店員はそう言って、下がっていった。
しばらくして、店長が部屋に入ってきた。
ミティを購入したときに対応してくれた人だ。

「お待たせしましたタカシ様、ミティ様。ラーグ奴隷商会へようこそ。お久しぶりでございますね」
「ああ。そうだな。最後にここに来たのは、昨年の9月頃だったか? 1年近く前になるわけか」

 俺はそう言う。
昨年の8月頃はいろいろと忙しかった。
モニカのラビット亭の復旧やダリウスの治療、ニムの畑の復旧やマムの治療などを行ったのだ。

 それらがひと段落した9月頃に、借金の一部を返済するためにこの奴隷商館を訪れた。
その後、ミティの故郷ガロル村を訪れ、その隣のボフォイの街で借金の返済処理を行った。
その時点で借金は完済となったため、それ以降はにここを訪れることはなかった。

「それぐらいになります。それにしても、この1年でずいぶんとご活躍されたそうですね。噂はかねがね聞き及んでおります。やはり、私の目は正しかったわけですな」
「まあそういうことになるか。あの頃に金貨を貸し付けてくれたおかげもあり、今の俺がある。感謝している」

 俺がこの世界に来てわずか半月ほどの頃。
俺はミティに心を奪われ、彼女を購入することを決意した。

 しかし、彼女の値段は金貨400枚。
日本円にして400万円ほど。
”不器用なドワーフ”としてやや低めの値段ではあったものの、もちろん当時の俺にそんな金はない。

 ”赤き大牙”、”蒼穹の担い手”、”黒き旋風”たちと合同でホワイトタイガーを討伐したことにより、何とか前金分の金貨80枚は用意できた。
その前金でミティの購入権を確保しつつ、残りの購入代金を稼いでいかなければならないと思っていたところ。
この店長が、俺に金貨320枚を貸し付けてくれたのだ。

 それにより、その場でミティを購入することができた。
彼女が加護付与の条件を満たしてくれたこともあり、俺たちは初級冒険者として順調に成長していくことができた。
あのときに金貨を貸してもらえていなければ、俺たちの成長速度はもっと緩やかになってしまっていたことだろう。

「いえいえ。とんでもございません。タカシ様であれば、私どもの融資などなくとも、いずれは今のように多額の金貨を容易く稼げるようになっていたことでしょうとも」

 彼の言う通り、今の俺は多額の金貨を比較的楽に稼ぐことができる。
ギルド貢献値8000万ガルを誇る強力なBランク冒険者だからだ。
パーティメンバーにもミティやアイリスを始め、強者が揃っている。
加えて、領主権限で動かせる金もあるしな。

「さあ、そろそろ本題に入ろうか。今日は、有望そうな奴隷が埋もれてはいないかと確認に来たのだ」
「左様でございますか。登用試験を大々的に行った件は、もちろん聞き及んでおります。さらなる人材登用、ということですな?」
「その通りだ。奴隷身分だと、自分の意思では登用試験を受けられなかっただろうからな。俺がこの目で確認しに来たのだ」
「かしこまりました。タカシ様の人を見る目は、相当なものだと認識しております。そちらのミティ様も、まさかこの短期間でCランク冒険者となり、特別表彰を受けるとは予想以上でした。もちろん、力が強く優しい娘であることは知っていましたので、タカシ様の助けになるとは思っておりましたが……」

 店長がそう言う。
ミティの急成長は、本人の努力もあるが、俺の加護付与やステータス操作による恩恵も大きい。
この商館にいた頃の彼女を見て、ここまでの急成長を予想することは不可能に近い。

「ああ。彼女はとてもよくがんばってくれた。既に奴隷身分からは解放している。今は俺の愛する妻だ」
「奴隷身分からの解放の件は、ボフォイ支部からの通達により把握しております。遅まきながら、ご結婚おめでとうございます。ミティ様、よかったですね」
「はい! ありがとうございます!」

 店長の言葉を受けて、ミティが誇らしげにそう言う。

「さて。当商館では、有用な奴隷を取り揃えてございます。きっと、タカシ様のお眼鏡にかなう者もおりますでしょう。具体的には、どのような奴隷をお望みでしょうか?」
「そうだな。まずは戦闘能力に秀でた奴隷だ。俺の屋敷の警備兵として働いてもらおう。ゆくゆくは、俺たちミリオンズに同行してもらうこともあるかもしれん」

 俺はそう言う。
とりあえずはヴィルナ、キリヤ、ヒナの同僚となるわけだ。
彼女たちは現状少し負担の大きいシフト体制だ。
あと1人か2人加われば、ずいぶんと楽になるだろう。

「なるほど。戦闘奴隷ですか」
「あとは、知力に秀でた奴隷や、家事能力に秀でた奴隷あたりだな。街の行政機関に送り込んで下働きをさせたり、俺の屋敷のメイドたちの手伝いをしてもらおう」

 行政機関で働くトリスタや、メイド見習いとして働くロロの同僚となるようなイメージだ。
このあたりは戦闘奴隷よりは優先度が低い。
よさそうな者がいれば購入する感じでいいだろう。

「いろいろ要望を伝えたが、特に気にせずたくさんの者を紹介してくれればいい。俺のこの目で見極める」
「承知しました。確かに、タカシ様に直接見極めてもらったほうがよいかもしれませんね。別室にて用意を進めさせますので、しばらくお待ちください」

 店長はそう言って、部屋から出ていった。
他の店員に指示を出しつつ、準備を整えている。

 戦闘能力の高い者。
知力に秀でた者。
家事能力に秀でた者。
そして何より、俺への忠義度が高い者。
このあたりを見極めて、数人程度を購入してみよう。

 また、いわゆる傷病奴隷がいればその者も購入したい。
俺とアイリスの上級治療魔法の合同魔法であれば、たいていのケガは治せるだろうしな。
ケガを治したら、感謝されて忠義度も稼げるだろう。

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