【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

289話 再会

 モニカたち救援隊が、ブギー盗掘団のアジトに乗り込んだ。
ブギー盗掘団に捕らわれてしまったタカシやマクセルたち先遣隊を助けるためである。

 そして、救援隊とブギー盗掘団の面々が交戦しているところである。

 ブギー盗掘団側は、ブギー頭領、ジョー副頭領、ナディア、パルムス、リッキー、下っ端戦闘員たちだ。
それに、ソフィアたち”光の乙女騎士団”も味方している。

 救援隊側は、モニカ、ニム、ユナ、ストラス、セリナ、カトレア、ディッダ、ウェイクだ。

 モニカの雷天霹靂(らいてんへきれき)により、パルムス、リッキー、ソフィアたちが戦闘不能となっている。
また、各人の活躍により下っ端戦闘員もみるみる数を減らしていく。
そしてニムの容赦のない攻撃により、ジョー副頭領が戦闘不能となった。

 まだまだ戦闘は継続中だ。
モニカは次の標的を探して、ニムたちのほうに合流する。

「ニムちゃん。あっちはあらかた片付いたよ。残りはディッダさんとウェイクさんに任せてきた」
「モニカさん。無事でよかったです。こっちも、片付きつつあるところです」

 ニムがそう言う。
彼女の足元には、ジョー副頭領が倒れている。
残る戦闘員は、ナディアとブギー頭領ぐらいだ。

「へっ。なら、こっちの頭領とやらは俺たちで戦うぜ」
「すぐに勝負はつくなの」
「そうですわね。そちらは任せます」

 ストラス、セリナ、カトレアがそう言う。
彼らは3対1でブギー頭領と戦う心づもりだ。

「じゃあ私たちはこっちを相手にするよ」
「そ、そうですね。もうわたしたちの勝ちは決まったようなものです」
「ふふん。私は援護するわ」

 モニカ、ニム、ユナがナディアと対峙する。
こちらも3対1だ。

「さて、覚悟してね。仮面でよくわからなかったけど、私と同じ兎獣人みたいだね?」

 モニカがナディアに対してそう言う。
彼女の仮面の留め具は、タカシとの戦闘中に一度は壊れた。
戦闘終了後に修復しておいたため、今はまた仮面を付けている。

「あら。元気なお嬢ちゃんね。あっちの男の子といい、こんなところで同族と会うなんて。奇遇ね。……!?」

 ナディアがそう言って、モニカの顔を真正面から見る。
そして、ナディアがモニカの顔を見て何かに驚いた顔をする。

「……!?」
「同族とは言っても、容赦はしないからね。行くよ!」
「ちょっと待って……。あなたは……? うっ。頭が……」

 ナディアが頭を抑える。
モニカはそのスキを逃さず、攻撃を加える。

「ダブルスリー・マシンガン!」
「くっ……!」

 モニカの目にも留まらぬ連撃に、ナディアが防戦一方となる。
そして、ナディアの仮面にモニカの蹴りがヒットする。

 カランカラン。
留め具が外れ、仮面が地面に落ちる。
ナディアの顔があらわになる。

「えっ……。そ、その顔は……」

 モニカが驚きに目を見開く。
そして。

「お、お母さん……? お母さん!」

 モニカがナディアに駆け寄り、抱きつく。

「お、お母さん……? 私が……? 私は記憶を失っているの」
「思い出してよ! 私はモニカ! お母さんの名前はナーティアだよ!」

 モニカがそう叫ぶ。

「う……。モニ……カ……? 私の本当の名前はナーティア……? ううっ! 頭がっ!」

 ナディアがそう言って、頭を抱えうずくまる。
もはや戦闘どころではない。
ニムとユナは遠巻きに見守っている。

 そんなときに、乱入者が現れた。

「ひゃっはー! ポーションを飲んで、元気100倍!」
「ひーはー! まだまだやれるぜ、兄弟! パルムスの兄貴も復活だぜ!」
「うむ。劣勢のようだが、まだまだ踏ん張るぞ」

 下っ端戦闘員コンビ、それにパルムスだ。
下っ端戦闘員コンビはモニカの神鳴によって撃破されたのだが。
タフさには定評があった。

 かろうじて意識を取り戻し、アイテムバッグのポーションで回復した。
また、近くで倒れていたパルムスにポーションを飲ませ、復活させたのである。

 ただし、ポーションの在庫がなくなったので、全員の復活とはならなかった。
復活したのは彼ら3人だけである。
少しだけ余ったポーションは、犬のリッキーに飲ませておいた。
意識は取り戻していたが、戦闘が可能なほどでなかったため、置いてきた。

 パルムスはロックアーマーを発動させた臨戦態勢で、ニムたちのもとへ近づいてくる。

「モ、モニカさんが一度は撃破した人たちですか……。盗掘団のくせに、ポーションを潤沢に持っているのは想定外です」
「ふふん。今度は、すぐには回復できないぐらいのダメージを与えてあげるわ」

 ニムとユナがそう言う。
モニカは、何やら込み入った事情で混乱している。
戦闘どころではない。

 ここは、ニムとユナでなんとかしなければならない。

「ひゃっはー! パルムスの兄貴、今度こそ実力を見せつけてくだせえ!」
「ひーはー! 俺たちは、邪魔にならないようにこっちの赤髪の嬢ちゃんと戦っておきます!」

 下っ端戦闘員コンビは少し離れたところにユナを誘導し、彼女と対峙する。
そして、その場にはニムとパルムスが残された。

「わ、わたしの相手はあなたですか。あなたもロックアーマーを使えるのですね。岩鎧で少しわかりづらいですが、あなたはわたしと同じ犬獣人のようですね」

 ニムはパルムスと対峙する。
彼の顔の大部分はロックアーマーで覆われている。
よく見ると、かろうじて犬耳が生えているのがわかるぐらいの隙間はあるが。

「ああ。いかにもそうだ。まあ、このあたりで犬獣人はさほどめずらしくもないけどな。……ん!?」

 パルムスがニムの顔を正視して、驚いた顔をする。

「ち、小さいからと言って手加減は不要ですよ。お覚悟!」
「……!? ちょっと待った! お前は……? ぐうっ。頭が……」

 パルムスが頭を抱える。
ニムがそのスキを逃さず、接近していく。

「ハードロック・パンク!」
「ぐあっ!」

 ニムの強烈なタックルだ。
固い岩の鎧をまとった状態で、彼女の高い身体能力を活かして勢いよく体当たりをする技である。

 パルムスは弾き飛ばされる。
そして、彼のロックアーマーに亀裂が入った。
ニムのロックアーマーのほうが固いことに加えて、パルムスのロックアーマーの制御は動揺により乱れているためである。

 ピキピキ。
パリーン。
パルムスのロックアーマーが、顔付近を含めて砕ける。
彼の顔があらわになる。

「そ、その顔は……? まさか……」

 ニムが驚きに目を見開く。
そして。

「パパ……? パパ!」

 ニムがパルムスに駆け寄り、抱きつく。
彼女のロックアーマーも解除されている。

「パパだと? 俺にこんな子どもがいたのか……? 俺は記憶を失っているんだ。しかし、どこかなつかしい気はする……」
「わ、わたしはニムだよ。パパの名前はパームス。ママもずっと待ってるんだよ。思い出してよ」

 ニムが泣きじゃくりながらそう言う。

「ぐ……。ニム……? パームス……? ぐうっ!」

 パルムスが頭を抱える。

「ワンワンッ。ワオン……」

 犬のリッキーがやってきた。
モニカの攻撃によってダメージを負っていたが、下っ端戦闘員コンビが余ったポーションを分けてあげたことにより、歩ける程度には回復しているのである。
リッキーがニムをなめる。

「リック……。リックも無事だったんだね。よかった……」

 ニムがリッキーに手を伸ばす。
リッキーは少し緊張した様子を見せながらも、その手を受け入れた。

 こちらも、もはや戦闘どころではない。
そして、その様子を遠巻きに見ている者たちがいた。

「んん? なんだ? 知り合いがいたのか?」
「話を聞いていなかったなの? ストラス君。どうやら離れ離れになっていた親御さんみたいなの。あの犬はペットか何かだと思うの」

 ストラスの問いを受けて、セリナがそう答える。
彼らはブギー頭領を撃破し、ひと息ついたところだ。

「ふふん。何やら訳アリみたいだし、私たちだけじゃ判断に困るわね。とりあえず、タカシたちを解放しましょう」
「賛成だぜえ。こっちも一段落したところだしなあ」
「くっくっく。俺に任せろ」

 ユナ、ディッダ、ウェイクがそう言う。
彼女たちも、無事にそれぞれの戦闘を終えたところだ。

 これで、ブギー盗掘団側で戦闘継続が可能なのはナディアとパルムスのみとなった。
そして、その2人も何やら込み入った事情があるようで、戦闘が中断されている。

 ユナやストラスたちがアジトの奥に向かう。
しばらくの捜索の末、無事にタカシたちを発見することができた。
眠っているが、大きなケガなどはない。
タカシたちを縛っていた縄を切る。

「へっ。あとは、マクセルやタカシたちが起きるのを待つか」
「そうするの。それに、そろそろ後発隊のマリーさんたちが来てもおかしくない頃だと思うの」
「マリーさんやマクセルさん、それにタカシさんの判断を仰ぎたいところですわね」

 ストラス、セリナ、カトレアがそう言う。

 現状、やや混沌とした状況だ。
ブギー頭領、ジョー副頭領、下っ端戦闘員たち、それにソフィアたち”光の乙女騎士団”は撃破した。
一方で、幹部クラスのナディアとパルムスはまだ戦闘可能な状態だ。
しかし、何やらモニカやニムの知り合い(親?)のようで、様子を見ているところだ。

 捕らわれていた先遣隊の面々は無事に解放した。
タカシ、ミティ、アイリス、マクセル、ギルバートの5人だ。
しかし、睡眠魔法の影響によりまだ眠っているので、起きるまで待たなくてはならない。

 タカシたちが起きて、後発隊のマリーたちも到着すれば、今後の方針も明確になるだろう。
彼らは撃破した盗掘団の面々の捕縛作業を進めながら、待つことにした。

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