【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

280話 これじゃ資格になりませんか!!?

 盗掘団の捕縛作戦の続きだ。
俺、ミティ、アイリス、マクセル、ギルバート。
少数精鋭の先遣隊として盗掘団のアジトの偵察を行っている。
俺がうっかり鳴子の仕掛けを作動してしまったため、盗掘団と戦闘になった。

 下っ端戦闘員たちは大したことがなかった。
俺たちで軽く蹴散らしていく。
まあ、俺たちは全員が特別表彰者だしな。
そこらの盗掘団など敵ではない。

 残りは、ブギー頭領とジョー副頭領。
それに下っ端戦闘員が数人だ。
激しい戦闘になる……かと思ったが。

「見ろよコイツァ…見事なオリハルコンだ。それに、これが”蒼穹の水晶”とやらか」

 俺はそう言う。
ブギー頭領やジョー副頭領も、予想以上に簡単に撃破することができた。
そこそこ強かったが、俺たちの脅威になるレベルではなかったのだ。

 戦利品として、彼らが隠していた”オリハルコン”と”蒼穹の水晶”を回収しようとしているところだ。

 オリハルコンは、光り輝く鉱石だ。
オリハルコンやミスリルは、ファンタジーものに定番の謎鉱石だな。

 ダイアモンドや鉄などと何が違うのだろう?
俺は鉱石には素人だからわからない。
だが、ブギー頭領の口ぶりからして、それなりに貴重なものであることは確かだろう。

 そして、”蒼穹の水晶”。
青く輝く神秘的な水晶だ。

 ディルム子爵が保管していたという”紅蓮の水晶”と似たような雰囲気がある。
”紅蓮の水晶”は赤く輝く神秘的な水晶だった。

「ハァ…!! お前らに…………。その”蒼穹の水晶”を持つ資格はねェ……!!!」

 ブギー頭領は満身創痍になりながらも、抵抗する意思を失わない。
彼がフラフラと立ち上がる。
何やらこれらのお宝に執着しているようだ。

「資格? これじゃ資格になりませんか!!?」

 ミティがハンマーを構え、ブギー頭領に駆け寄る。
大きなハンマーを軽々と振り回す。

「ビッグチョップ!」
「ぐあっ!」

 ミティのハンマーによる攻撃がブギー頭領にヒットする。
彼が倒れる。

「ハッハッハ!!! あなたたちより、私たちのほうが強い!!! 盗掘者から宝を徴収するために、これ以外にどんな資格が必要なんです!!?」

 ミティがそう言う。
なかなかイカツイ言葉だ。
普段の彼女は温厚で優しいのだが。
俺の叙爵に向けて、少し前のめり気味のようだ。

「くっ! ブギー頭領! 耳を塞いでいてください。……響き渡れ。ソニックボム!」

 ジョー副頭領が、音魔法を発動する。
怪音が発生する。

「うっ!」
「ぐあっ!」

 マクセルとギルバートがそううめき声をあげる。
もちろん、俺やアイリスにも攻撃は届いている。
耐えられないほどではないが、なかなか不快な音だ。
それに、衝撃波としての物理的なダメージも発生している。

 ジョー副頭領は、まだ魔法を発動し続けている。
彼自身にも音魔法によるダメージは入っているようだが、彼が気にする様子はない。
根比べをする気か。

「……の野郎」

 ミティがイラ立ち、魔法の発動者のジョー副頭領に攻撃を加えるために構える。
しかし。

「待て、ミティ。俺に任せろ」

 俺はそう言う。
この臨時パーティのリーダーとして、いいところを見せておかないとな。

「またアレか…。最上級のオリジナル火魔法……!!」

 ブギー頭領がそう言う。
その通り。
最上級火魔法”火魔法創造”で開発した、俺の新技である。
彼らをここまで追い込んだのは、この新技によるところが大きい。

「燃え爆ぜろ。フレア……」

 俺はそう言って、攻撃のために魔力と闘気をためる。
そして。

「ドライブ!」

 俺は爆速で移動する。
自身の後方に火魔法を発動し、推進力に変換しているのである。
加えて、火を体と拳にまとうことで、攻撃力も向上している。

「避けろ! ジョー!」

 ブギー頭領がそう叫ぶ。
しかし。

「がはっ!」

 俺の渾身の右ストレートが、ジョーを襲う。
彼が大きく弾き飛ばされる。

 ドンッ!
彼が木にぶつかって、止まった。
そのまま立ち上がってこない。
まあ彼もなかなかやるようだったし、死にはしないだろう。

「さァ行こうぜ。オリハルコンと蒼穹の水晶を持ってな」
「そうだな。こいつらの捕縛は後発隊に任せようか」

 俺の言葉に、マクセルがそう答える。

「私たちは別の拠点を潰しに行きましょう。手柄は全部私たちのものです!」
「ガハハ! まだまだ暴れるぞ!」
「うん。他の拠点は、さっき逃げた人たちが向かった先にある可能性が高いと思う。みんなで向かおう」

 ミティ、ギルバート、アイリスがそう言う。
やはり、ミティは手柄に向けて前のめり気味だ。
俺のために張り切ってくれるのはありがたいが。
少し心配だ。

「ブギー頭領とやら…!! これに懲りたら、盗掘はやめることだ。何やら大層な夢があるようだが……。犯罪者の夢は決して叶わねェと知るべきだ。ハハッハ!!!」

 そう、俺たちは夢を見ている場合ではないのだ。
30年後の……、いやもう1年が経過したから、29年後か。
世界滅亡の危機を回避しなくてはならないからな。

 役に立ちそうなアイテムは、俺がいただく。
長い目で見れば、それこそが人類のためでもあるのだ。

 俺、ミティ、アイリス、マクセル、ギルバート。
俺たちは意気揚々とその場を後にしようとする。
しかし。

「待て若造…」
「!」

 ブギー頭領が俺たちを呼び止める。
彼がフラフラと立ち上がる。
まだ何かあるのか?

 痛めつけ足りなかったか。
あんまり元気だと、後発隊が来るまでに回復して逃げ出してしまうかもしれない。
もう少しダメージを与えておくか。

「夢を見る度胸もねェヒヨッ子が…冒険者を名乗るんじゃねェ」
「何だと?」

 満身創痍のおっさんが言ってくれる。
その体で、何ができるというのか。
現実を思い知らせてやろう。
紅剣のタカシの名を、その胸に刻め。

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