【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

260話 ハガ王国へ バルダインの足の治療に挑戦

 ラーグの街に帰ってきて数日が経過した。
俺たちにはいろいろとやるべきことがある。
1つ1つ片付けていこう。
まずは……。

「アイリス。転移魔法陣を使って、ハガ王国に行かないか?」
「いいけど。どうしたの?」
「バルダイン陛下の足の治療に再挑戦したいと思ってな。以前話しただろう?」

 ハガ王国の国王であるオーガのバルダインは、かつては”疾風”の二つ名を持つ強者だった。
現在は足を痛めている上、加齢による衰えもあり、全盛期ほどの強さはない。
そのおかげもあり、俺は潜入作戦の際に彼に勝つことができた。

 加齢による衰えはどうしようもないが、足は治療できる可能性がある。
足を治療できれば、全盛期ほどではないにせよ、かなりの強さを取り戻すことができるだろう。

 バルダインの忠義度は40を超えている。
忠義度は、女性や子どもであるほど上がりやすい傾向がある。
壮年の男性であるバルダインが忠義度40を超えているのは、特異であると言える。
彼の忠義度は、積極的に稼いでいきたいところだ。

「うん。聞いたね。確かあのときは、タカシが1人で治療を試みたんだったね」
「ああ。俺の上級治療魔法のリカバリーでな。結果としては、少し調子がよくなる程度だったが」

 8か月ほど前にもバルダインの足の治療に挑戦した。
結果は成功とは言えなかった。

「今回は、俺とアイリスの合同でのリカバリーを試してみたい」
「わかった。確かに、今なら治療できる範囲も広がっているだろうしね。試す価値はある」

 そんな感じで、俺とアイリスのハガ王国訪問が決まった。
治療だけなので俺とアイリスだけでいいだろう。
そう思ったが。

「ハガ王国に行くのですか? もちろん私もお供致します!」
「オーガとハーピィの国なんだって? 私も行きたいな。めずらしい料理があるかもしれないし」
「ふふん。それなら私も行こうかしら」
「わ、わたしも行きます!」

 ミティ、モニカ、ユナ、ニムがそう言う。
彼女たちがそう言うのであれば、断る必要もないだろう。

 モニカ、ユナ、ニムはハガ王国を訪れたことがない。 
彼女たちは、マリアとは面識があるが、バルダインやナスタシアとは面識がない。
別に面識がなくて困ることはないだろうが、せっかくだし紹介しておこう。

 今の俺の最大MPとスキル構成であれば、俺を含めて4人までならハガ王国まで転移できるだろう。
みんなでハガ王国を訪れる予定を立てていく。


●●●


 数日後。
みんなでハガ王国にまで転移してきた。
全員が揃ったので、俺とアイリスでバルダインの足の治療に挑戦しよう。

 ミティ、モニカ、ニム、ユナは、ハガ王国内を散歩している。
観光だ。

 俺、アイリス、バルダイン、ナスタシアで王宮の一室にて対面する。

『さて。我の足の治療をしてくれるとのことだが……』
「はい。まずはあらためて紹介させてください。こちらは俺のパーティメンバーのアイリスです」

 俺はアイリスをバルダインとナスタシアに紹介する。
アイリスと彼らは面識がある。
とはいえ、8か月も前のことだ。
忘れていてもおかしくない。

「こんにちは。バルダイン陛下。ナスタシア王妃」
『うむ。久しいな。アイリス嬢。もちろん覚えておるぞ』
『そうね。私も苦戦させられたわ』

 アイリスのあいさつに、バルダインとナスタシアがそう言う。
潜入作戦の際に、”俺・ミティ・アイリス”vs”バルダイン・ナスタシア”で戦ったことがある。
3対2で互角だった。

 途中でバルダインの”鬼王痛恨撃”により建物が崩れ、それぞれ離れ離れとなった。
その後は、俺とバルダインは1対1で戦った。
彼が全盛期より衰えていたこともあり、俺が勝利を収めることができた。

 一方のミティとアイリスは、ナスタシアと2対1で戦った。
戦いは互角だったそうだが、途中でクラッツたち先代六武衆の助太刀があり、ミティとアイリスが勝利を収めることができたそうである。

「それでですね。俺とアイリスで、上級治療魔法の合同魔法を発動できるようになったのです。こちらで一度、陛下の足の治療をさせていただこうかと思います」
『うむ。それはぜひともお願いしたい』
「では、さっそく試しましょう」
『よろしく頼む』

 バルダインがうなづく。

「じゃあ、いくぞ。アイリス」
「うん。いつも通りに息を合わせようね」

 アイリスとともに、治療魔法の詠唱を開始する。
合同魔法は、発動者同士の波長を合わせる必要がある。
集中して、詠唱を続ける。

「「……彼の者に安らかなる癒やしを。リカバリー」」

 大きな癒やしの光がバルダインの足を覆う。
足の大きな傷が癒やされていく。
さらに、少し歪んでいた骨格が矯正されていく。

『お、おお。すばらしい。痛みがとれたぞ!』
『あなた!』

 ガシッ。
バルダインとナスタシアが抱きしめ合い、喜ぶ。

「おめでとうございます。無事に治療できたようで何よりです」
「そうだね。ボクもうれしいよ……です」

 俺とアイリスがそう言う。

『ありがとう。タカシ、アイリス嬢』
『私からもお礼を言わせていただきます。ありがとうございます』

 バルダインとナスタシアが、頭を下げる。

『それにしても、足が軽い。これほど爽快な気分は、久しぶりだ! ひとっ走り行ってこようか』
『私もお供しましょう』

 バルダインとナスタシアが部屋を出ていく。
元気なことだ。
まあ、ずっと不調だった自分の足が完治すれば、テンションも上がるか。

 バルダインの忠義度を確認してみる。
……惜しい。
彼の忠義度は47だ。
加護付与まであと1歩だ。
やはり、壮年の男性であるバルダインの忠義度は上がりにくい。

 まあ、バルダインの足が治って彼の戦闘能力が戻っただけでもよしとしておこう。
俺が困ったときは、”疾風”の二つ名を持つ彼が力になってくれることだろう。
国王である彼が俺の味方となってくれれば、彼の配下である六天衆や六武衆も協力してくれるはず。
頼もしい人たちだ。
もう何も怖くない。

 バルダインの足の治療はこれで完了だ。
次は、マリアの現況を確認しておこう。

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