【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

224話 ウォルフ村に到着 ドレッドとジークとの再会

 ラーグの街を出発して2週間が経過した。

「ふふん。もうすぐ着くわね。長い旅路お疲れ様」

「そうだな。少し疲れたよ」

 俺はそう言う。
まあ、俺は馬車の後方でひたすら揺られていただけだが。
御者を順番に務めてくれていたユナ、アイリス、モニカ、ニムのほうがもっと疲れているだろう。

 村が見えてきた。
あれがウォルフ村だろう。
隠れ里というだけあって、山奥にある小さな村のようだ。
ここに村があると知っていなければ、なかなか見つからないような場所にある。

 村に近づいていく。
村の周囲は柵で囲ってある。
御者席のユナが門番の男に話しかける。

「ふふん。帰ってきたわよ。入れてもらえるかしら」

「おっ。ユナちゃんじゃないか。無事に帰ってこれたんだな。早々に呼び戻して悪かったね」

「別に構わないわ。何だか大変なことになっているみたいだし」

「そうなんだよ。詳細は、ドレッド君たちに聞いたほうが確実だ。今は村長宅にいると思うよ」

「ふふん。わかったわ。じゃあ、通させてもらうわね」

 ユナはそう言って、馬車を進めようとする。

「あ、ちょっと待った。後ろの席の人たちはだれだい? 信頼できるのか?」

「彼らはCランクの冒険者パーティ”ミリオンズ”よ。信頼できる人たちだわ」

「そうか。ユナちゃんがそう言うのであれば、信頼できるのだろう。わかった。通ってくれ」

 無事に門を通過する。
馬車に乗ったまま、村の中を進んでいく。
小規模な村だ。
総人口は100人もいないだろう。

「ふふん。見たところ、まだ村に大きな異変はないみたいね。ひと安心だわ」

「そうだねー。何だか、殺気立っている人が多いような気もするけど」

 アイリスがそう言う。
確かに、少しピリピリした空気を感じる。

 ……おっ。
ミッションが無事に達成扱いになっている。


ミッション
ウォルフ村を訪れよう。
報酬:スキルポイント20


 報酬を受け取っておく。
以前保留にしていた分と合わせて、大幅な強化ができる。
この村の状況を確認して、いくらかは早めに振っておいたほうがいいだろう。
戦闘系のスキルをしっかりと使いこなすには、練習が必要だしな。

 空きスペースに馬車を停める。
馬車から降りて、村の中をユナに付いて進んでいく。

 少し大きめの家が見えてきた。
あれが村長宅だろう。
家の前では、見覚えのある2人組が立っていた。
その2人が話しかけてくる。

「おう。ユナじゃねェか! 無事に帰ってきたんだな」

「…………元気だったか?」

 ドレッドとジークだ。
ユナとともに”赤き大牙”というパーティを組んでいた男たちである。

 ドレッドは、マッスルなおっさんだ。
年齢は30歳くらい。
背が高く、腕が太い。
戦闘時には大剣を使う。

 ジークは、前髪で顔を隠した男だ。
年齢は20代半ば。
全身をがっしりと金属鎧で覆っている。
戦闘時には剣と盾を使う。

「ふふん。私は元気だったわよ。それに……」

「お久しぶりです。ドレッドさん、ジークさん」

「おう。タカシじゃねェか。ユナをこの村まで送ってくれたのか。遠路はるばる、ありがとうな」

「…………感謝する」

 ミリオンズと赤き大牙の面々で、お互いにあいさつを交わす。
ドレッドとジークも元気そうだ。

「ふふん。それにしても、大変なことになっているみたいね」

「おう。そのことか。……隣のウェンティア王国のディルム子爵が、約束を破りやがったんだよ。やっとの思いで金貨3000枚を用意したってのによ。利子として、金貨500枚追加だと!」

「…………到底払えぬ」

 ドレッドが怒った顔で、ジークが残念そうな顔でそう言う。

「何とかかき集めて金貨100枚ってところだ。俺とジークで出稼ぎも検討したが……。やつら、実力行使で村のみんなを奴隷として攫うかもしれん。俺とジークは、不用意にこの村を離れるわけにいかん」

「…………然り」

「それで……。ユナはいくらか金策の目処を立ててくれたのか? 急な無茶振りだとはわかっているが……」

「ふふん。そのことだけどね。いいニュースがあるわよ!」

 ユナがそう言う。
ひと呼吸置いて、続ける。

「タカシが、金貨500枚を貸してくれることになったのよ! これで、村の借金もなくなるわね」

「……マジかよ! そりゃ太っ腹だな! 金貨500枚をポンとくれるとはな」

「…………然り」

 ドレッドとジークがうれしそうな顔でそう言う。
喜んでくれるのはこちらとしてもありがたいが、聞き捨てならない言葉があった。

「ちょ、ちょっと待ってください。あげませんよ。貸すだけです!」

 俺は慌ててそう言う。
金貨500枚は相当な大金だ。
俺個人のお金じゃなくて、パーティ資金から捻出しているし。
軽い気持ちであげることはできない。

 まあ、俺たちの力であれば、今後も安定して稼げそうな気はするが。
今後の俺たちの稼ぎ次第では、返済の免除も考えられる。
とはいえ、現時点できっぱりとあげると断言するのはやり過ぎだろう。

「おう。冗談だよ。貸してくれるだけでも十分にありがてェぜ。しかし、いつの間にタカシはそんなに稼げるようになったんだ?」

「ええと。少し前に、パーティでミドルベアやヘルザムという魔物を討伐しまして。その報奨金に加えて、俺が特別表彰制度の対象になったこともあり、まとまった金が手に入ったのです」

 後はサリエの治療を含む治療回りや、日々の冒険者活動でも安定して稼げている。
チートの恩恵を受けまくっている俺たちであれば、稼ぐことはさほど難しいことではない。

「おう。特別表彰制度か。俺も意識はしていたんだがな。タカシに先を越されちまったな。ちなみに二つ名はなんだ?」

「ふふん。聞いて驚きなさい! なんと、”紅剣”のタカシよ!」

 ユナがドヤ顔でそう言う。
なんで君がドヤ顔なんだ。

「おう。紅。つまりは赤か。ちょっとした縁を感じるな」

「縁ですか?」

「ん? ユナから何も聞いていないのか? ここは赤狼族の村だぜ」

「それは聞いていますが」

「ふふん。タカシには、まだ獣化の技は見せていないわよ。私1人のときに使って、制御不能になったら大変だし」

「おう。それもそうか。仕方ねェな」

「…………然り」

 ユナ、ドレッド、ジークがそう言う。
何やら3人にしかわからない話をしている。

「獣化とは?」

「ふふん。近いうちに見せてあげるわ。端的に言えば、一時的に先祖返りする技よ。身体能力が上がる代わりに、体力の消耗が激しくなるわね」

「おう。あとは、外見も少し変わるな。まあ、耳や牙ぐらいだが」

 狼の耳や牙が生えてくるのだろうか。
ユナの狼耳は少し見てみたい気もする。

 そういえば、オーガのバルダインやセリナも、似たような技を使っていたな。
俺はその技を”鬼族鬼化”と名付けていた。

 バルダインは俺との戦闘時に使っていた。
セリナは、ビーチフラッグの時に使っていた。
外見としては角や牙が少し伸びる程度の変化だったが、それと同時に身体能力も向上していた。

 少し前に、”赤狼族は戦闘能力が高い”とユナが言っていた。
また、ゾルフ砦の防衛戦のときには何か奥の手がある口ぶりだった。
おそらく、奥の手はこの獣化のことだろう。
ただし、自身の制御が不安定になるなどのデメリットもあるようだ。

 気軽には使えない技だろうが、いざという時には頼りになりそうだ。
もう何も怖くない。
安心してどんと構えていよう。

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