【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

195話 1回戦 アイリスvsババン

 メルビン杯の1回戦の続きだ。
俺は無事に1回戦を突破した。

 次はアイリスの試合だ。
対戦相手は、ババン。
俺はこの名前を聞いたことがない。
少なくともガルハード杯には出場していなかったように思う。

「続きまして、第2試合を始めます! アイリス選手対、ババン選手!」

 司会の人がそう叫ぶ。

 アイリスがコロシアムのステージに上がる。
対戦相手のババンと対峙する。

 彼は30代くらいのおっさんだ。
体格はそれなりにいい。
筋肉もそこそこあるようだ。
ただし、ギルバートやジルガほどではない。

「うぃー。はっはっは! お嬢ちゃんが相手か! ケガをしたくなければ辞退してもいいんだぜ?」

「いや。ボクにそのつもりはないよ。お互いに悔いの残らない試合をしよう」

「おうおう。心構えだけはいっちょ前だな。ケガさせないように手加減するのも大変なんだがな」

 ババンは、アイリスのことを少し侮っているようだ。
まあ、見かけは10代の少女だからな。
なめられるのも仕方がないか。

 とはいえ、彼女のバランスのいい立ち姿を見ただけでも、実力の一端はわかりそうなものだが。
それに、彼女は前回のガルハード杯に出場していたし、防衛戦や潜入作戦でも活躍した。
そんな彼女のことを知らないとは。
彼は最近ゾルフ砦にやってきた人だろうか。

「両者構えて、……始め!」

 試合が始まった。

「さっそくいかせてもらうぜ! くらいな!」

 ババンがアイリスに駆け寄り、パンチを繰り出す。

「よっ」

 アイリスがそれをうまく受け流す。
彼女は器用のステータスが高い。
こういう受け流しの技も得意なのだ。

「ぬっ! やるじゃねえか! 少し本気でいくぜ!」

 ババンが攻撃の速度を上げる。
それなりに強くて速いラッシュだ。
だが。

「ボクには通用しないよ。……せいっ!」

 アイリスが問題なく攻撃をいなす。
スキを突いて、反撃も行う。

 しばらくは同じような展開の攻防が繰り返される。
彼女が優勢だ。
しかし、少し違和感があるな。

「ちぃっ! 小手先の技でいい気になってんじゃねえぞ!」

 ババンがそう言って、アイリスから距離をとる。

「俺様の真の力を見せてやろう! ぬうううっ!」

 ババンが闘気を開放する。
そうだ。
何か違和感があると思ったら、2人とも闘気を使っていなかったのだ。

「へへへ。これが闘気術だ。お嬢ちゃんはまだ使えないんだろう? 勝負ありだな」

 ババンが勝ち誇った顔でそう言う。

「いや。闘気術はボクも使えるけど……。はあっ!」

 アイリスがそう言って、闘気を開放する。

「なにっ!? くっ。力を隠してやがったのか。もう容赦せん! いくぜ!」

 ババンがそう言って、アイリスに攻撃を仕掛ける。
アイリスが攻撃をうまく受け流す。
時おり反撃する。

 両者とも闘気術により出力が上がった以上、先ほどと状況はあまり変わっていない。
こうなってくると地力がものを言う。

「ちぃっ! こうなりゃさらに奥の手だぜ! 」

 ババンが拳と腕に闘気を集中させる。
何をする気だ?

「ぬううぅ! ふんっ!」

 ババンがステージに拳を叩き込む。
岩でできたステージが砕ける。
破片が宙を舞う。

「くらえぃ! 破岩弾ん!!」

 彼がそう言って、宙に浮いた破片をパンチで弾き飛ばしてくる。
こういった形での飛び道具があったとは。
これは武闘の試合だし、少し邪道な気がしないでもないが。

 しかし、こんなことをしてもムダではなかろうか。
アイリスは、技量だけではなくてスピードも優秀だ。
この程度の飛び道具は、簡単に避けられるだろう。

「避けるのは簡単だけど……。せっかくだし、この技をお披露目しようかな」

 アイリスがそう言う。
どうやらあの技を使うようだな。
ババン相手には使う必要はないとは思うが。
実戦の中で使ってみて、慣れておこうという心づもりだろう。

「聖闘気、流水の型」

 アイリスがこの1か月で新たに習得した聖闘気の型を発動する。
迅雷の型は、スピードが向上する。
豪の型は、パワーが向上する。
守護の型は、耐久力が向上する。
そしてこの流水の型は、技量や反応速度が向上するそうだ。

「よっ! はいっ! せいっ!」

 ババンによって弾き飛ばされた岩の破片を、アイリスが華麗に受け止めていく。
はたき落とすわけでもなく、迎え撃って壊すわけでもなく。
きれいに勢いを殺して、足元に積み上げていく。
見事な技量だ。

「これでおしまい! まだやるの?」

 ババンによって飛ばされた岩の破片が、無事に全て片付けられた。
きれいに積み上げられている。

 これで、飛び道具はアイリスには通用しないことがわかっただろう。
一方で、まともに闘ってはアイリスに敵わないことも理解しているはず。

「……降参する。俺の負けだ」

 ババンがギブアップした。
少し地味な幕切れだ。
まあ、ババンにはもう打つ手が残されていなかったし、あのまま闘いを続けても勝ち目はなかっただろうが。

「ババン選手の降参を認めます! 勝者アイリス選手!」

 審判がそうアイリスの勝ちを宣言する。
彼女がステージからこちらに戻ってくる。

「おめでとう! アイリス!」

「おめでとうございます!」

 俺とミティ、それにモニカとニムでアイリスを出迎える。

「ありがとう。まあ1回戦だし、このくらいはねー」

 アイリスがそう言う。
確かに、今回の相手はアイリスからすれば格下だったと思う。
順当勝ちといったところか。

 俺とアイリスは無事に1回戦を勝ち抜いた。
次はミティの試合だ。
彼女の実力なら、そんじょそこらの武闘家には負けないだろう。
安心して見守ることにしよう。

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