【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

191話 メルビン道場への入門 聖闘気 五光一閃

 メルビン道場に入門する際に、メルビン師範と手合わせをすることになった。
モニカ、ニム、俺、ミティは負けてしまった。
まあ、実力を見てもらうことが目的なので、負けても別に問題はないが。

 次はアイリスだ。
エドワード司祭と闘うことになっている。
俺たちミリオンズの中でも、武闘においては彼女がもっとも強い。
武闘における戦闘能力を順位付けるとすれば、ニム<<俺≦ミティ≦モニカ<アイリスといったところだ。

 ニムは、武闘系のスキルを持っていない。
武闘における戦闘能力は、俺たちの中では最も低い。
とはいえ、加護の恩恵と基礎ステータス向上系のスキルにより、身体能力は高い。
また、格闘の基礎はアイリスから教えられている。
平均的な冒険者よりは強いと言ってもいいだろう。
ラーグの街の冒険者ギルドでチンピラに絡まれたときも、返り討ちにしていたしな。

 俺は、格闘術レベル1と闘気術レベル3に加え、基礎ステータス向上系のスキルも取得している。
技量自体は素人に毛が生えたレベルだが、総合力としてはなかなかだろう。
ガルハード杯の予選を突破したこともある。

 ミティは、俺と同じく格闘術レベル1と闘気術レベル3を取得している。
また、加護の恩恵と基礎ステータス向上系のスキルにより、身体能力も高い。
特に腕力だ。
ガルハード杯本戦でも、その豪腕を活かして優勝を果たした。
俺と比べると、スピードでは俺に分がある一方で、パワーではミティに分がある。
総合力としてはミティのほうが少し上回っているぐらいだろう。

 モニカは、格闘術レベル4を取得している。
また、加護の恩恵と基礎ステータス向上系のスキルにより、身体能力も高い。
特に脚力だ。
彼女の強靭な脚から繰り出される技は、かなりの威力を誇る。
ブーケトスで披露した青空歩行という技のように、立体的な動きも得意としている。
ただし、闘気術は未習得だ。
今回のメルビン道場での鍛錬で、習得してもらえればかなりの戦力アップになる。

 そしてアイリス。
彼女は、格闘術レベル4、闘気術レベル4、聖闘気術レベル3を取得している。
もちろん、加護の恩恵と基礎ステータス向上系のスキルにより、身体能力も高い。
特に器用強化を重点的に伸ばしており、技量においては俺たちの中でもダントツだ。
また、俺たちの中で彼女だけが使える聖闘気という技術も強力だ。

 聖闘気は、聖気と闘気を組み合わせる高度な技術だ。
残念ながら、ステータス操作では取得できない。
ステータス操作に頼らずに取得する必要がある。
一度取得できれば、その後はステータス操作で強化していくことができるかもしれない。
アイリスに教わりながら習得を目指しているが、なかなか難しい。

 さて。
そんな、俺たちの中でもダントツの武闘戦闘能力を持つアイリスが、エドワード司祭と対峙する。

「久しぶりですね。アイリス君。元気そうで何よりです」

「エドワード司祭こそ、元気そうだね。聖ミリアリア統一教と聖闘気の普及は順調なの?」

「ええ。おかげさまで順調ですよ。それにしても、アイリス君はまた実力を上げたようですね」

「あ、わかる? かなり強くなったよ。ひょっとしたらエドワード司祭にも勝てるかもしれない」

 アイリスが得意気な顔でそう言う。

「それはそれは。大きく出ましたね」

「エドワード司祭に勝てれば、武闘神官見習いの卒業が見えてくる。それだけじゃなくて、ゆくゆくは聖女認定だって」

「ふふふ。大きな目標を持つことはいいことです。ただし、私はそう簡単に倒されるつもりはありませんよ。少し厳しいかもしれませんが、現実を教えてあげましょう」

「うん。エドワード司祭の力は知ってる。最初から全力でいくよ!」

「かかってきなさい!」

 エドワード司祭は受けの構えだ。
アイリスの様子をうかがっている。
まあ今回はアイリスの実力を見る目的だしな。
最初に彼から仕掛ける必要はない。

 アイリスが闘気を練り始める。
それに対応して、エドワード司祭も闘気を練り始める。
 
「「右手に闘気。左手に聖気」」

 アイリスとエドワード司祭。
2人がそれぞれ闘気を開放する。

「聖闘気、迅雷の型」

「聖闘気、守護の型」

 アイリスが発動したのは、迅雷の型だ。
彼女が持つ聖闘気の型のうちの1つである。
ガルハード杯の余興試合で彼女は俺と闘ったことがある。
そのときに彼女が使っていた型だ。
スピードが格段に向上する。

 エドワード司祭が発動したのは、守護の型だ。
ガルハード杯1回戦のマスクマン戦、2回戦のストラス戦。
それぞれで使っていた型だ。
防御力が格段に向上する。

 スピード対防御か。
見どころのある闘いになりそうだ。

 シュッ。
さっそく、アイリスが動いた。
目にも留まらぬ速度でエドワード司祭に接近する。

「迅・裂空脚!」

「む!」

 アイリスの超スピードに、エドワード司祭は何とか対応する。

「迅・砲撃連拳!」

 アイリスのパンチの連撃だ。
エドワード司祭が落ち着いて防ぐ。
ガードし切れなかった攻撃もあるが、彼の聖闘衣の前にほぼ無効化されているようだ。

「ふふふ。少し威力が足りないのではないですか? 私の聖闘衣を貫くには足りませんね」

「なら! さらにこっちも追加だよ! 聖闘気、豪の型」

 アイリスがそう言う。
スピード重視からパワー重視への切り替えか。

「豪の型ですか。パワーは増しますが、スピードが落ちます。回避してみせましょう」

 エドワードがそう言う。

 鈍重な魔物相手なら、豪の型で問題はない。
しかしエドワード司祭のような手練を相手に豪の型を使うのは、リスクが伴う。
彼が言うように、スピードが落ちるため回避されたり反撃されたりする危険性が増すのだ。

 アイリスは、リスクを覚悟で聖闘気の型を切り替えたということか。
……いや、待て。
あれは……。

「豪・裂空脚!」

「ぐうっ!?」

 アイリスの回し蹴りがエドワード司祭にヒットする。
彼女のスピードは落ちていない。
スピードを維持したまま、威力が上がっている。
エドワード司祭に確かなダメージを与えたようだ。

「まさか……。その年で複数の型を同時発動させるとは。かなりの才能と努力です」

「へへーん」

 アイリスがドヤ顔を披露する。
かつての彼女は、聖闘気の型を切り替えて闘っていた。
今の彼女は、複数の型を同時に発動できるようだ。

「調子に乗らないこと。確かに急成長は認めますが、世界はまだまだ広いですよ」

「なら! まずはエドワード司祭に勝って認めてもらう! いくよ!」

 アイリスが攻撃の構えをとる。
闘気を惜しみなく開放し、脚と腕を重点的に強化している。
短期決戦の心づもりのようだ。

 アイリスがエドワード司祭に駆け寄る。

「迅・砲撃連拳!」

「うう……」

 アイリスのパンチの連打がエドワード司祭を襲う。
彼が苦痛にうめく。

「豪・裂空脚!」

「ほブ!!」

 アイリスの強烈な回し蹴り。
エドワード司祭に確かなダメージを与えている。
そのはずだ。

「これでとどめ! はあああぁ! 豪・砲撃連拳!」

 アイリスの怒涛のパンチの連打だ。

「うおおおおおお! ああああああぁっ!」

 彼女が力の限り連打している。

「ああああああぁっ!」

 アイリスがさらにラッシュをかける。
少しやり過ぎのような気もする。

 聖闘気をまとった彼女の攻撃は高威力だ。
いかにエドワード司祭の防御が優れていようが、耐えきることは厳しい。
そのはずだ。

「はあ、はあ……」

 アイリスが体力と闘気を使い果たしたようだ。
息が上がっている。
体力強化をレベル2まで伸ばしている彼女の息がここまで上がるとは。
相当な運動量だ。

 対するエドワード司祭は……。
なんと、まだ立っている。

「はあ、はあ……。そ、そんな……。ボクの渾身の連撃が効かないなんて」

「いえ。効いていないわけではありませんよ。すばらしい攻撃でした」

 エドワード司祭がそう言う。
あまり効いているようには見えないが。

「アイリス君。お礼に、いいものを見せてあげましょう」

 エドワード司祭の聖闘気が高まっていく。
何やら大技を使うようだ。
見逃さないようにしないと。
俺は、彼を注意深く見……

「五光一閃!!!」

「!!!」

 速い。
気がついたら、アイリスがふっとばされていた。
彼女もほとんど反応できていなかったはず。
かなりの速度だ。

「う……」

 アイリスは戦闘不能となり、床に倒れる。

「これが、世界の広さです。心配は要りません。アイリス君の努力と才能なら、10年もしないうちにこの領域まで来れるでしょう」

 エドワード司祭がそう締めくくる。

「アイリス!」

 俺は駆け寄り、彼女に治療魔法をかける。

「……くそう。ボク、自信があったんだけどな……。まだまだ強くならないと……」

 アイリスがそう悔しがる。

 俺たちミリオンズの中で随一の武闘戦闘能力を持つアイリス。
そんな彼女でも、エドワード司祭には負けてしまった。

「ふう。タカシ君。私にも治療魔法をかけてくれないか? 自分では魔法が届かないところもあってね」

 エドワード司祭がそう言う。

「わかりました。すぐに」

 アイリスの治療が終わったので、エドワード司祭にも治療魔法をかける。

「ありがとう、タカシ君。それにしても、アイリス君の成長は想像以上でした。思わず、見せるつもりのなかった秘奥義まで見せてしまいました」

「でも、負けちゃったし……」

 アイリスがそうションボリする。

「いえ。アイリス君にはまだまだ伸びしろは残っています。迅雷の型と豪の型に加えて、他の型も練習してみましょう。ゆくゆくは、五光一閃も使えるようになるかもしれませんよ」

 エドワード司祭がアイリスにそう言う。

「わかったよ! じゃあ、さっそく鍛錬していこう。いろいろと教えてね!」

 アイリスが立ち直り、そう言う。
切り替えが早い。

「ま、待ってください。今日は無理です。アイリス君が想定以上に強くて、体力と闘気が残っていません。続きは明日以降にしましょう」

「えー。じゃあ、メルビン師範に頼むよ」

「わ、儂も無理じゃ! 今日は勘弁してくれ!」

 エドワード司祭に続き、メルビン師範もそう言う。
確かに、彼らは疲れているようだ。

 エドワード司祭は、アイリスとの熱戦があった。

 メルビン師範は、ニム、モニカ、俺、ミティの4連戦があった。
俺たちはそれなりに強い。
体力と闘気をたくさん消耗したことだろう。

「ちぇー。仕方ないかー」

「仕方ないよ、アイリス。……では、明日また伺います。よろしくお願いしますね」

 俺はそう言う。
俺たちは素直にメルビン道場を後にする。
明日からの鍛錬を楽しみにしつつ、その日は宿屋でゆっくりと休息した。

「【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く