【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

93話 潜入作戦の打ち合わせ

 アイリスのスキルの強化は一段落した。
次はミティだ。

「ミティ。風魔法をレベル2に上げる件はどうする?」

「そうですね。風魔法レベル1のエアバーストをしばらく試してみましたが、なかなか使い勝手が良さそうです」

「うん」

「基本的には、風魔法をレベル2に上げる方向で考えています」

「わかった。今のうちに強化しておくか?」

「いえ。私も、潜入作戦の打ち合わせ後にお願いしようと思います」

「そうか。まあ作戦内容次第では、他の力のほうがいいかもしれないしな」

「おっしゃる通りだと思います」

 ミティのスキルの強化も、これで一段落だ。
後は潜入作戦の打ち合わせ内容次第となる。

 俺のスキルも改めて考えておかないとな。
俺の残りスキルポイントは45。
かなりの強化ができる。

 潜入作戦に向けて、まずは先ほど気配隠匿レベル1を取得した。
まだ具体的な効果はよくわからないが、あって困るものではないのは確かだ。

 他に、潜入作戦で役に立ちそうなスキルは何かないかな。
潜入作戦においては、今日の防衛戦のような、弱めの魔物の群れや巨大ゴーレムと戦う可能性は低いだろう。
範囲魔法の重要性は高くない。
また、威力は高いが精神を集中させる必要がある斬魔剣も、あまり使い所がないかもしれない。
 
 想定すべきは、オーガやハーピィとの戦闘か。
兄貴の話から判断すると、奴らの知能はヒューマンと同程度のようだ。
戦闘能力も、ヒューマンと同程度の可能性は高い。

 つまり、そこらにたくさんいるオーガやハーピィの一般兵は、ヒューマンの一般兵クラスの戦闘能力があると考えるべきだろう。
冒険者ランクで言えば、Dランク、もしくはCランク下位あたりか。

 オーガやハーピィの司令官クラスになれば、もっと強いだろう。
同じくヒューマンで言う司令官クラス、つまりはゾンゲルやテスタロッサあたりと同程度の戦闘能力があっても不思議ではない。
冒険者ランクで言えば、Cランク上位、もしくはBランクあたりか。

 俺の冒険者ランクはD。
ミティの冒険者ランクはE。
アイリスの冒険者ランクはE。
ランク的にはやや荷が重い戦いになるかもしれない。

 まあ、3人ともステータス操作により、戦闘能力は大幅に向上している。
実績がまだ追いついていないだけで、戦闘能力だけで言えば3人ともCランクはあると言っても過言ではない。
オーガやハーピィの司令官クラスと一騎打ちになると少し危ないが、そこらの一般兵に遅れを取ることはないだろう。


●●●


 そうこう考えているうちに、時間になった。
中央のテントに向かう。
中に入る。

 アドルフの兄貴やレオさんの他、見慣れた顔ぶれが揃っていた。
ギルバート、ジルガ、マクセル、ウッディ、ストラスだ。
武闘家ばかりだ。
後は、ゾンゲルとテスタロッサもいる。

 マクセルの子分がいないな。
ちょっと聞いてみるか。

「マクセルさん。あなたの仲間……カイルさんとレベッカさんは?」

「奴らは置いてきた。この潜入作戦には、付いて来れそうもない」

「そうでしたか」

 まあ彼らは、ガルハード杯予選時の俺やミティに負けていたしな。
巨大ゴーレム戦でのマクセルとのコンビネーションは見事だったが、単独での戦闘能力はさほどでもない。

 アドルフの兄貴が口を開く。

「よし、揃ったな。この10人が、敵地に潜入するメンバーだ」

 10人?
この場には12人いるが。

「兄貴。この場には、12人いるようですが」

「ゾンゲルとテスタロッサは潜入作戦には参加しない。情報共有のために同席しているだけだ」

 なるほど、そういうことか。

「まず、危険度と報酬の話をしておこう」

 兄貴が改めて口を開く。

「この作戦の危険度はBランク、といったところだ。危険度の高い作戦だ。その分、報酬については期待してくれていい。王国からは、前金として金貨300枚を受け取っているし、実際に必要となった任務の内容次第で追加請求の交渉も可能だ。和平が実現すれば、金貨数百枚以上の追加請求も可能と俺は思っている」

 サザリアナ王国からの依頼か。
この国としても、オーガやハーピィとはできれば争いたくないということか。
金貨300枚は大きな報酬だ。
単純に10人で割っても、1人あたり金貨30枚。
さらに、成功時には追加報酬も期待できるとのことだ。

「次に、王国諜報部からの情報と俺自身の経験をもとに、現在のあちらの情勢を推測混じりで話しておく」

 兄貴が説明を続ける。

「もともと、オーガとハーピィは縄張りが別々だった。10年ほど前に、オーガの族長とハーピィの族長が婚姻し、同盟を結んだ。その同盟自体は、王国側はさほど危険視はしていなかった。こちらとの交流も水面下で継続していたしな。俺やレオも、オーガの里を訪れたことがある。むしろ、その同盟にヒューマンも入れてもらおうかと交渉していたぐらいだ」

 仲良くするのはいいことだ。
オーガ、ハーピィ、ヒューマン。
みんなで同盟を結んで平和に暮らそう。

「そう平和ボケしていたところに、今回の攻勢だ。はっきり言って、予兆はなかった。唐突な攻勢だ。何らかの事情や、何者かの陰謀などがないか、王国上層部は危惧している」

 その何らかの事情とやらが、話し合いで解決できるものならば理想的だ。
しかし、そもそも話し合いでどうにかなる問題なら、奴らとしてもそうしていただろう。
事前の相談なく攻めてきているということは、話し合いでどうにかなる事情ではない可能性が高い。
もしくは、何者かの陰謀か。

「王国の国力をもってすれば、攻めてきた者を掃討することはさほど難しくないだろう。だがその場合、オーガやハーピィとヒューマンとの間に、消えない傷が残る。人種レベルでの融和が数百年単位で遅れる懸念がある」

 侵略軍をぶっ殺すだけなら、さほど難しくないのか。
まあ、ゾンゲルやテスタロッサは強いし、兄貴もいる。
王都からの増援や他の高ランク冒険者がゾルフ砦に来れば、さらに戦力が増す。
サザリアナ王国にはまだまだ余力がある。

「そこで今回の潜入作戦だ。奴らの司令官クラスと何とか接触し、裏事情を探る。何か事情や陰謀があるのなら、何とかそれを解決する方法を模索する。単にこちらの戦力を甘く見ての侵略戦争なら、俺たちの力を見せつけてやろう」

 そういうことか。
戦闘能力を見せつけて停戦させるのが目的なら、相手を殺すのはまずい。
つまり、剣や魔法での戦闘はできれば避けたい。
だからこそ、潜入作戦の参加メンバーは、武闘家ばかりの編成としているわけだ。

「奴らの中で注意すべき戦力を挙げておこう。まずは国王夫妻だ。国王はバルダインという名のオーガ。王妃はナスタシアという名のハーピィだ。両者とも、全盛期の戦闘力はかなりのものだったらしい。”豪腕”と”疾風”という二つ名で讃えられていたという」

 豪腕のバルダインと、疾風のナスタシアか。
かなり強そうな感じだ。

「とは言え、現在は年齢もそこそこだし、ある程度は衰えているはずだ。この場にいる者なら、一騎打ちはかなり厳しいが、2人以上で囲めば何とかなるはずだ。まあ相性にもよるが」

 国王とは言っても、それぐらいの強さか。
まあ、強さだけが国王に求められるものでもないだろうしな。

「国王夫妻に次いで大きな権力を握っているのは評議会の連中だが、戦闘能力はないから置いておく。戦闘能力で警戒すべきは、六武衆と呼ばれる、6人の強力な司令官たちだ。俺やレオが訪れたときには、共に訓練したこともあった。当時の俺やレオとは互角。今の実力はわからないが、警戒すべき相手だ」

 六武衆か。
かっこいい名前だ。
当時の兄貴たちと互角。
確かな実力があるようだ。

「国王夫妻や六武衆を破ることができれば、士気を挫くことができるかもしれない。心してかかるように」

 兄貴の説明が終わる。

「何か質問があるやつはいるか?」

 兄貴の問いかけに、マクセルが手を挙げる。

「強さを見せつけるのはわかったよ。でも、第一目的は、話し合いだろ? 言葉は通じるのか?」

 もっともな質問だ。

「その件か。言葉は通じねえが、意思疎通の魔道具がある。魔道具ランクBの高級品だ。後で返してもらうから、なくすなよ」

 兄貴が、参加者に魔道具を配っていく。
俺も受け取る。
アイリスが小声で話しかけてくる。

「(……ボクも持っていたよ。ランクはCのものだったけど)」

「(へえ。そうなんだ)」

「(中央大陸からこっちに来るとき、方言の違いとかで困る可能性もあったからね。慣れてきたら、魔道具も必要なくなったし、エドワード司祭に返したよ)」

 翻訳の魔道具を使用しながら話すことで、その言語に慣れていくことができる。
俺も、異世界言語のチートが突然なくなっても、ミティやアイリスとは日常会話ぐらいならできると思う。
異世界言語のスキルや翻訳の魔道具は、歩行補助器や自転車の補助輪みたいなイメージと考えていい。

「Aランクのものは俺が持たせてもらう。意思疎通の精度がこちらのほうが上だ」

 Aランクの意思疎通の魔道具は、兄貴が持つようだ。
やはり、兄貴がこの作戦の中心だ。
頼りにしてますぜ、兄貴。

「他に質問があるやつはいないか? ……では、3時間後に出発する。各自、準備と休息を怠るなよ」

 潜入作戦の打ち合わせが終わった。
各自の準備の後、さっそく作戦が開始される予定だ。
テントを出る。
自分たちの休憩場所に戻る。

 ミティ、アイリス、そして俺のステータス操作を済ませておこう。

「ミティ、風魔法の件は予定通りにレベル2に上げるのでいいか?」

「そうですね。お願いします」

 ミティの風魔法をレベル2に上げた。
ミティがさっそく使い勝手の確認を始める。

 風魔法レベル2は”エアリアルスラッシュ”らしい。
切断力のある空気の刃を放つ。
ただし、切断力とはいっても、それほどの威力はないようだ。
木に向かって打ってもらったところ、小さな引っかき傷がついた程度だ。
まあ見えない攻撃は避けにくいし、これはこれで使い所はあるだろう。

「アイリスも、予定通りに気配隠匿、体力強化、治療魔法の強化でいいか?」

「そうだね。よろしく!」

 アイリスは、新たに気配隠匿レベル1と体力強化レベル1を取得し、治療魔法をレベル2に強化した。

 俺のスキルはどうするか。
作戦会議の前からある程度は考えていた。
剣術、回避術、高速詠唱がいいだろう。
さっそくそれらを強化・取得した。
作戦開始前に、ある程度は使い勝手を確かめておこう。

 準備と休憩の後には、いよいよ潜入作戦が始まる。
大きな仕事だ。
気を引き締める必要がある。


レベル15、たかし
種族:ヒューマン
職業:剣士
ランク:D
HP:113(87+26)
MP:143(57+86)
腕力: 83(46+14+23)
脚力: 78(43+13+22)
体力:117(51+15+51)
器用: 64(49+15)
魔力:104(52+52)

武器:アイアンソード
防具:レザーアーマー(上)、スモールシールド

残りスキルポイント15
スキル:
ステータス操作
スキルリセット
加護付与
異世界言語
剣術レベル4
格闘術レベル1
回避術レベル2
気配察知レベル2
気配隠匿レベル1
MP強化レベル3
腕力強化レベル1
脚力強化レベル1
体力強化レベル2
魔力強化レベル2
肉体強化レベル3
闘気術レベル3 「開放、感知、集中」
火魔法レベル5 「ファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアートルネード、ボルカニックフレイム、火魔法創造 “十本桜” “バーンアウト”」
水魔法レベル1 「ウォーターボール」
風魔法レベル1 「エアバースト」
治療魔法レベル1 「キュア」
空間魔法レベル2 「アイテムボックス、アイテムルーム」
高速詠唱レベル1
MP消費量減少レベル2
MP回復速度強化レベル1

称号:
犬狩り
ホワイトタイガー討伐者
ジャイアントゴーレム討伐者


レベル13、ミティ
種族:ドワーフ
職業:槌士
ランク:E
HP: 96(74+22)
MP: 56(43+13)
腕力:241(73+22+146)
脚力: 46(35+11)
体力: 90(50+15+25)
器用: 39(17+5+17)
魔力: 53(41+12)

武器:アイアンハンマー
防具:レザーアーマー
その他:アイテムバッグ

残りスキルポイント10
スキル:
槌術レベル4
格闘術レベル1
投擲術レベル3
体力強化レベル1
腕力強化レベル4
器用強化レベル2
闘気術レベル3 「開放、感知、集中」
風魔法レベル2「エアバースト、エアリアルスラッシュ」
MP回復速度強化レベル1

称号:
タカシの加護を受けし者
ジャイアントゴーレム討伐者


レベル15、アイリス
種族:ヒューマン
職業:武闘家
ランク:E
HP:112(86+26)
MP: 59(45+14)
腕力: 68(52+16)
脚力:103(57+17+29)
体力: 82(45+14+23)
器用: 78(60+18)
魔力: 56(43+13)

武器:ウッドロッド
防具:レザーアーマー

残りスキルポイント5
スキル:
格闘術レベル3
気配察知レベル1
気配隠匿レベル1
脚力強化レベル1
体力強化レベル1
闘気術レベル4
聖闘気術レベル3
聖魔法レベル1「ウィッシュ」
治療魔法レベル2「キュア、ヒール」

称号:
タカシの加護を受けし者
ジャイアントゴーレム討伐者

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