【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

82話 2回戦:エドワードvsストラス、ギルバートvsマクセル

「2回戦第3試合を始めます! 武闘神官のエドワード選手対、ディオン道場のストラス選手!」

 エドワードとストラスの試合だ。
優勝予想の倍率は、エドワードが9倍に対して、ストラスが7倍。

 エドワードは武闘神官だ。
1回戦では聖闘気という技を使っていた。
闘気術の発展技だ。

 聖闘気にはいくつかの型があり、彼が使用していたのは”守護の型”だった。
別名は聖闘衣というらしい。
防御力が格段に増す技のようだ。
今回の試合でも使用されるかどうか、見どころだ。

 ストラスは神脚の勇者とやらをリスペクトしている選手だ。
足技を得意としている。
鳴神-ナルカミ-という高速移動技は、俺も参考にさせてもらった。
モニカと同じ兎獣人だ。

「両者構えて、……始め!」

 試合が始まった。
ストラスがいきなり仕掛ける。

「鳴神」

 足に闘気を集中させることによる、高速移動技だ。
俺のなんちゃって鳴神よりも段違いに速い。
彼の速さは、アイリスが聖闘気を使用しているときと同じくらいの速さか。

「くっ。わかってはいたが、かなりの速度だな……」

 エドワードが怯む。

「いくぜ! ワン・エイト・マシンガン!」

 ストラスが一瞬の間に無数の蹴りを繰り出す。
1回戦でも使っていた技だ。
技名的にたぶん18発の蹴りだ。

「むうぅっ!」

 エドワードはじっと耐える。

「さらに! 昨日覚えた新技! 裂空脚!」

 アイリスが使っていた技だ。
鋭い回し蹴り。
エドワードは防御の構えを取り、なんとか耐える。

「聖ミリアリア流の技を1日で盗むとは、なんというセンス。やはり、出し惜しみしている余裕はなさそうだな。いきなりだが、全力で行かせてもらおう」
 
 エドワードの雰囲気が変わった。

「右手に闘気。左手に聖気。……聖闘衣だ! いくぞ!」

 エドワードの反撃が始まる。
聖闘衣により、防御力が格段に増している。
攻撃力や敏捷性は少し向上しているぐらいだが、防御力の高さを活かしてぐいぐい攻めている。

「ふふふ。お得意の足技はどうした? 守っているだけでは私には勝てんぞ」
 
 エドワードがストラスを挑発する。

「ちっ。調子に乗るなよ。ワン・エイト・マシンガン!」

 ストラスが一瞬の間に無数の蹴りを繰り出す。

「ふん。別に、足が増えたわけでもあるまい!」

 エドワードがストラスの蹴りを見切り、掴んだ。
そのままステージに叩きつける。

 あの高速の蹴りを見切るとは。
マジかよ。

「ぐっ。まさか見切られるとはな」

 ストラスが立ち上がる。
結構なダメージを負ったようだ。

「こっちも奥の手を使うぜ!」

 ストラスが闘気を足に集中させていく。

「はあああ……!」

 ストラスが闘気を足に集中させ続けている。
かなりの闘気量だ。

「いくぜ! 神技、嵐鳳脚!」

 速い。
目にも止まらぬハイキックだ。

「この技は……?」
「聖闘衣で防御……」
「いや」
「回避を……」
「だめだ」
「避けきれん!」

 エドワードが必死に避けようとする。
ギリギリ避けきれなかったようだ。
頬から血が出ている。

「聖闘衣を貫くとは……。まともにくらったらただでは済まんな」

 エドワードの聖闘衣の様子が変わる。
聖闘衣をほどいた!!

「ぬうううっ」

 衣の変わりに、腕や足に聖闘気を集中させている。
攻撃主体に切りかえる気だ!!

「まだまだやれる! 豪の型だ! いくぞ!」

「負けるかよ!」

 エドワードとストラスの激しい攻防が続く。

 …………。
死闘の末。
最後に立っていたのはエドワードだった。

「そこまで! 勝者エドワード選手!」

 勝ったのはエドワードだが、満身創痍だ。
エドワードの聖闘気は強かったが、ストラスも負けず劣らず強かった。
これでも優勝候補というほどのレベルではないのだから、ガルハード杯のレベルは相当に高い。

「まさか、エドワード司祭があそこまで苦戦するなんて……」

 アイリスも意外そうな顔だ。


●●●


「2回戦第4試合を始めます! メルビン道場のギルバート選手対、雷竜拳のマクセル選手!」

 ギルバートとマクセルの試合だ。
優勝予想の倍率は、ギルバートが4倍に対して、マクセルが2倍。
倍率から考えても、今大会屈指の好カードと言えるだろう。
見どころだ。

 ギルバートはムキムキの筋肉を活かした闘いを得意とする。
キックや搦め手よりは、パンチが主体だ。
肉体も頑強で耐久力がある。
1回戦では技巧派のカタリーナを相手に、順当勝ちをおさめた。

 マクセルは10代後半くらいの青年だ。
引き締まった体をしている。
闘気術の達人らしい。

 彼は、前回のゾルフ杯準優勝者だ。
ギルバートがライバル視している。
賭けの倍率から判断しても、間違いなく最強クラスだろう。
1回戦では、倍率5倍の強豪である龍人のラゴラスを一撃で倒した。

「両者構えて、……始め!」

 試合が始まった。

「ガハハ! お前にリベンジするこの時を待っていたぜ!」

「リベンジ? ……ああ、前回ガルハード杯で確か闘ったっけな。少しは強くなったのか? おっさん」

 ライバル視しているのはギルバートだけか。
マクセルはギルバートのことをギリギリ覚えている程度のようだ。

「闘ってみればわかる! いくぞ!」

 闘いが始まった。
まずはお互いに様子見といったところか。

 1回戦でマクセルと闘ったラゴラスは、彼を侮っていきなり大技を仕掛けた。
その結果、ハイキックの一撃で倒されてしまった。

 ギルバートはマクセルの実力がわかっているので、いきなり大技を仕掛けたりはしないのだろう。
さらに小競り合いが続く。

「ガハハ! どうだ! 去年のようにあっさりと倒されたりはせんぞ!」

 前回はあっさり倒されたのかよ。
今回のラゴラスみたいな感じか?

 ギルバートは、今回はいい勝負ができそうだと、自信ありのようだ。
反対に、マクセルは少し興ざめしたかのような表情をしている。

「……確かに、前よりかは強くなっているか。でも、1年でそれだけかよ」

「なんだと! じゃあこれを正面から受け止められるか!?」

 ギルバートが闘気の出力を上げて、マクセルに攻撃を仕掛ける。

「ビッグ……バン!」

「ふん」

 マクセルが正面から腕で受け止める。
ギルバートの渾身の一撃だが、ほとんど効いていない。

「ば、ばかな……」

 ギルバートが驚いている。

「お返しだ」

 マクセルのハイキックがギルバートを襲う。

「がはっ」

 渾身の攻撃がノーダメージなのはさすがに想定外だったのだろう。
ギルバートの防御が一瞬遅れた。
ハイキックがギルバートに直撃し、彼はステージの端までふっ飛ばされた。
起き上がってこない。

「冒険者なんてやってるから、強くならないんだ。冒険者なんてくだらないね」

 マクセルがつまらなそうにつぶやく。
彼は冒険者にあまり良い感情を持っていないようだ。

「そこまで! 勝者マクセル選手!」
 
 マクセルの勝ちか。
倍率的には順当とはいえ。
あのギルバートにあっさりと勝つとは。


 これで今日の試合は終了だ。
ベスト4が出揃った。
名前と倍率はこんな感じだ。

Aブロック3番、リルクヴィスト。12倍
Bブロック1番、ミティ。27倍
Cブロック1番、エドワード。9倍
Dブロック3番、マクセル。2倍

 マクセルは順当勝ちだが、他はやや意外性のある顔ぶれになっている。

 リルクヴィストは技巧派の武闘家だ。
1回戦でウッディを、2回戦でミッシェルを下した。
流水拳という拳法を扱う。
リーゼロッテと因縁がある。

 ミティは素のパワーを闘気術でさらに向上させ、圧倒的なパワーで勝ち上がってきた。
1回戦でマーチンを、2回戦でジルガを下した。
相手がミティをなめていたり、戦法を合わせてくれたりといった恩恵により勝てたところはある。

 正直、ベスト4の中では実力的にやや劣っているかもしれない。
まあ、ここまで勝ち上がってこれただけでも十分だ。
俺は1回戦負けだしな。
ミティには無理のない範囲でがんばってもらおう。

 エドワードは武闘神官だ。
闘気の応用技である聖闘気を使う。
1回戦でマスクマンを、2回戦でストラスを下した。
かなりの強敵だ。

 マクセルは闘気術の達人。
1回戦でラゴラスを、2回戦でギルバートを下した。
両試合ともマクセルにはかなりの余裕があった。
まだまだ実力の底が見えない。
前回のゾルフ杯準優勝者だ。

 この4人で明日は準決勝から決勝戦まで行われる。
見どころだ。

 また、準決勝と決勝戦の間に、2回戦で負けた人同士の試合もある。
これらの試合は、さほど全力では闘われないだろうが、ある程度の参考にはなるだろう。
こちらも楽しみだ。

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