【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

80話 2回戦:ミッシェルvsリルクヴィスト

「2回戦第1試合を始めます! ファウス道場のミッシェル選手対、ラスターレイン家のリルクヴィスト選手!」

 ミッシェルとリルクヴィストの試合だ。
優勝予想の倍率は、ミッシェルが6倍に対して、リルクヴィストが12倍。

 ミッシェルは10代後半の男性武闘家だ。
俺と1回戦で闘い、接戦の末に彼が勝った。
がっしりとした体格で身体能力が高い。
一度劣勢になっても決して諦めない鋼のメンタルを持つ。
終始落ち着いた試合運びで、俺のスキを見逃さない眼力もある。

 リルクヴィストは20代後半の男性だ。
リーゼロッテと大会前に何か揉めていた。
彼のラスターレイン家は水魔法で有名らしい。

 1回戦の闘いを見た感じだと、魔法だけでなく武闘もかなりできるようだ。
優勝予想の倍率が12倍になっているのは、魔法使いのイメージが強いからではなかろうか。
純粋な実力はもう少し上だろう。

「両者構えて、……始め!」

 試合が始まった。
まずはお互いに牽制しつつ、互角の応酬をしている。

 ミッシェルは落ち着いた佇まいから、的確に攻撃を加えている。
リルクヴィストもミッシェルの攻撃を受け流しつつ、反撃をしている。
どちらかと言えば、ミッシェルが優勢か。

 膠着気味の展開が続く。

「どいつもこいつも……。平民のくせにやるじゃねえか」

 リルクヴィストがそう言う。
平民を少し見下しているタイプの貴族か。

「……武闘会に身分は関係ない。貴様の実力はわかった。貴様が俺に勝つことはできない」

「ふん。まだ俺の実力を見せた覚えはねえぞ。しゃあねえ、少しは本気を出してやるか」

 リルクヴィストの雰囲気が変わった。
何か仕掛ける気か。

「……流水拳奥義、氷槍脚!」

 リルクヴィストが鋭い蹴りを繰り出す。
ミッシェルは正面から受け止め、防御する。

「ぐっ!」

 リルクヴィストの蹴りは、ミッシェルに大ダメージを与えたようだ。

 今さらだが、ミッシェルの弱点はフットワークかもしれないな。
相手が大技を仕掛けてくるとわかっていても、距離を取ったり回避したりといった選択をしていない。
その場で受け止めている。
受け止める技術や身体能力に対する自信があるのだろうが、躱せる攻撃は躱したほうが無難だと思う。

「ふん。なかなかタフじゃねえか。だが、次で終わりだ」

 再び、リルクヴィストが闘気を集中させていく。
同じような攻防が繰り返されるのならば、確かに次で終わりそうだが。
ミッシェルはどう対応するのか。

「……流水拳奥義、氷槍脚!」

 リルクヴィストが鋭い蹴りを繰り出す。
ミッシェルが先ほどと同じように受け止め……ていない!?
カウンターだ!

「お前は蹴りを放つ瞬間……、上半身の防御が疎かになる。もらった!」

 ミッシェルのカウンターがリルクヴィストを襲う。
無防備なところへのカウンターだ。

 リルクヴィストの蹴りとミッシェルのカウンターで相打ち気味になった場合、ダメージはリルクヴィストのほうが大きいだろう。
ミッシェルは始めからカウンター狙いだから、ある程度のダメージは覚悟しているはず。
対するリルクヴィストはやや油断しているだろう。
これは決まったか。

「ふっ。予想通り! 流水拳奥義、ナガレ」

 リルクヴィストがにやりと笑う。
蹴りを中断し、ミッシェルのカウンターをさばいた。
彼のカウンターの勢いをそのまま利用し、ステージに叩きつけた。

 ミッシェルは立ち上がらない。
戦闘不能だ。
 
「ふん。貴様ほどの実力があれば、氷槍脚のスキを見抜くと思っていた。それを利用させてもらったぞ」

「そこまで! 勝者リルクヴィスト選手!」

 リルクヴィストの勝ちか。
2人とも、試合巧者だ。
最後までどちらが勝つかわからなかった。

 リルクヴィストの読みも見事だ。
ミッシェルの実力を認めた上で行動を読み、その上をいく戦術をたてたわけだ。
俺なら、そもそもリルクヴィストの蹴りにスキなんて見つけられなかっただろう。

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