【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

74話 1回戦:サイゾウvsストラス、ギルバートvsカタリーナ、マクセルvsラゴラス

「第6試合を始めます! 東の島国出身のサイゾウ選手対、ディオン道場のストラス選手!」

 サイゾウとストラスの試合だ。
優勝予想の倍率は、サイゾウが10倍に対して、ストラスが7倍。

 サイゾウは忍者っぽい感じの人だ。
忍術が見れるかもしれない。

 ストラスは神脚の勇者とやらをリスペクトしている選手だ。
足技を得意としているらしい。
モニカと同じ兎獣人だ。

「両者構えて、……始め!」

 試合が始まった。
まずはお互いに牽制しつつ、互角の応酬をしている。
ストラスの方が移動速度は上だ。

 最初に仕掛けたのはストラスだ。

「ワン・エイト・マシンガン!」

 ストラスが一瞬の間に無数の蹴りを繰り出す。
技名的に18発の蹴りだと思うが、俺の肉眼では捉えきれない。

「ぬぅ……」

 サイゾウはストラスの蹴りを視認できているようだ。
何発かはくらったが、全体として大きなダメージはなさそうだ。

 ストラスは、脚力を活かした闘いをしている。
高い機動力と、足技による連打性の高い攻撃。
対してサイゾウは決め手に欠けている印象だ。

 数分間の攻防の後、サイゾウが体勢を崩した。

「スキありだ!」

ストラスが大きめのモーションでキックを繰り出す。
キックがサイゾウにクリーンヒットした。
ストラスがにやりと笑う。

「とった!」

 ん……?
確かにストラスのキックがサイゾウに当たったように見えたが。
これは……。

「残像だ」

「え? ぐはっ……」

 サイゾウがいつのまにか躱していたようだ。
超速で動いたのか。
それとも変わり身の術みたいな技術があるのだろうか。
そういえば彼の名前は忍者っぽいしな。
たまたまか?

 ストラスは吹き飛ばされ、大きなダメージを負った。
何とか立ち上がり、戦闘続行の構えだ。

「む? まだ粘るか。なかなかの耐久力だな」

「ちっ。油断したぜ。貴様、力を隠していやがったな」

「奥の手は隠すものだ。それに、力を隠しているのはお主もだろう?」

「ふん。気づいていやがったか。しょうがねえ、見せてやるよ」

 ストラスの闘気が足に集中していく。

「いくぜ! 鳴神-ナルカミ-!」

 ストラスの姿が消えた。
いや、高速で移動しているだけか。
かなりのスピードだ。

 あの足さばきは……。
なるほど。
参考にできるかもしれない。
覚えておこう。

「こ……このスピードは……!」

「今度こそ終わりだ!」

 ストラスがサイゾウにキックを繰り出す。
今回は間違いなくヒットした。

 サイゾウが吹き飛び、ダウンする。
審判がかけより、様子を伺っている。

「そこまで! 勝者ストラス選手!」

 審判がストラスの勝ちを宣言し、試合は終わった。


●●●


「第7試合を始めます! メルビン道場のギルバート選手対、モロゾフ道場のカタリーナ選手!」

 ギルバートとカタリーナの試合だ。
優勝予想の倍率は、ギルバートが4倍に対して、カタリーナが11倍。

 ギルバートはムキムキの筋肉を活かした闘いを得意とする。
キックや搦め手よりは、パンチが主体だ。
肉体も頑強で耐久力がある。

 カタリーナは30代くらいの女性選手だ。
筋肉はそれなりだが、ムキムキというほどではない。
技巧派の選手だろう。

「両者構えて、……始め!」

 試合が始まった。
まずはお互いに様子を伺っている。

「直接闘うのは2年振りくらいだな。カタリーナさんよお」

「うふふ。ギルバート坊やは、最近調子いいみたいね? 数年前までは私に歯が立たなかったのにねえ」

「坊やはやめろ。成長した俺を見せてやる。いくぜ!」

 本格的に戦闘が始まった。

 ギルバートが身体能力を活かしてゴリ押ししている。
カタリーナはうまく躱したりいなしたりしているが、徐々にダメージが蓄積されていく。

 10分以上が経過したころ。
ギルバートのパンチがカタリーナにクリーンヒットし、勝負がついた。

「そこまで! 勝者ギルバート選手!」

 審判がギルバートの勝ちを宣言し、試合は終わった。

「ガハハ! 我の勝ちだな!」

「強くなったわね。坊や……、いえ。ギルバート」

 何かちょっといい雰囲気だ。
ステージの上でいちゃつくのはやめたまえ。


●●●


「第8試合を始めます! 雷竜拳のマクセル選手対、竜人のラゴラス選手!」

 マクセルとラゴラスの試合だ。
優勝予想の倍率は、マクセルが2倍に対して、ラゴラスが5倍。
倍率から考えて、強豪の選手同士の闘いとなる。
1回戦で最もレベルの高い試合になりそうだ。

 マクセルは10代後半くらいの青年だ。
引き締まった体をしている。
闘気術の達人らしい。

 彼は前回のゾルフ杯準優勝者だ。
ギルバートがライバル視している。
賭けの倍率から判断しても、間違いなく最強クラスだろう。

 ラゴラスは、竜人の男性だ。
Cランクパーティ竜の片翼の副リーダー。
堅物の武人っぽい雰囲気を感じる。

「両者構えて、……始め!」

 試合が始まった。
まずはお互いに様子を伺っている。

「ふん。少しは骨のあるやつがいるかと期待していたのだがな」

 ラゴラスが憮然とした表情で言う。

「なんだい? 僕じゃ不服かい?」

「お前みたいな若造が優勝候補扱いされているようではな。この大会もレベルが知れるというもの」

「ずいぶんと自信があるようだね。楽しみだな」

 ラゴラスはマクセルを侮っているようだ。
マクセルは前回のゾルフ杯準優勝という実績があるというのに。
実績よりも自分の目を信じるタイプか。

 マクセルは侮られていることを全然気にしていない様子だ。
むしろ、楽しげに笑っている。
気楽な感じだ。

「せめてもの情けだ。一撃で終わらせてやろう」

 ラゴラスが闘気を集中させていく。
いきなり大技の構えだ。

「だっ」

 ラゴラスが掛け声とともにマクセルに接近する。
かなりの速度だ。

「竜闘掌!」

 ラゴラスが掌底を繰り出す。
マクセルが体を逸らす。
ラゴラスの攻撃を紙一重で躱す。

「ほいっと」

 マクセルのカウンター。
ハイキックがラゴラスにヒットした。

 ラゴラスがステージの端まで吹き飛んだ。
…………?
起き上がってこない。
まさかこの一撃で終了か?

 審判がかけより、状況を伺う。

「そこまで! 勝者マクセル選手!」

 一撃で終わっちゃったよ。
ラゴラスも強そうだったんだけどな。

「なんか気合入ってたみたいだけど。勝っちゃってごめんな。俺も賞金欲しいしさ」

 マクセルは涼しい顔をしている。
楽勝といったところか。
彼の実力は出場選手の中でも頭一つ抜けていそうだ。

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