【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

45話 護衛依頼の打ち合わせへ:ニムとのお別れ

 宿屋に着いた。
自室に戻り、ミティと合流する。

「ただいま、ミティ。無事に用事は終わったよ」

「おかえりなさいませ、タカシ様」

「もう少ししたら、冒険者ギルドへ向かう。それまではまだゆっくりしていてくれ。俺も少し休む」

 イスに座り、一息つく。
今日はやるべきことがたくさんあった。
 
 新しい武具の感触を確かめること。
火魔法レベル5の試し撃ち。
火魔法レベル5の様子次第で、MP関連のスキルを取得し、再度試し撃ち。
MP関連のスキル取得を保留した場合、その分のスキルポイントで風魔法を取得し、試し撃ち。
風魔法を取得した場合、ミティに風魔法の指導。
アイテムバッグをミティに渡し、それの試運転。
ラーグ奴隷商会に行き、いくらかの借金の返済。
 
 何とかこれらを全て終わらせることができた。
もう今日の仕事はこれでおしまいと言いたいところだ。
しかし、残念ながら最も重要な案件がまだ残っている。
護衛依頼の顔合わせだ。

 今日は、ゾルフ砦へ出発する前日である。
夕方に、隊商の代表者や他の護衛者との顔合わせがあると聞いている。
初の護衛依頼だ。
どういう段取りで進んでいくのか、しっかりと把握していきたい。

 その後、しばらくは宿の自室で休んだ。
そろそろ出発するか。

「ミティ。そろそろ冒険者ギルドに向かうよ。準備してくれ」

「わかりました」

 まあ準備と言っても特にやることもないが。

 武器と防具はどうしようか。
普通に考えれば、戦闘をするわけではないので武器と防具は必要ない。
しかし今回は、護衛依頼の顔合わせだ。

 どういった武器や防具を使っているのか、実物があった方が互いの理解が深まる。
そのような考えから、武器や防具を持っていくのが一般的である可能性もある。

 まあ念のため持っていくか。
狩りの帰りにそのまま顔合わせに来る人もいるだろう。
武器や防具を持っていくのが特別に不自然ということはあるまい。
他の人の様子次第では、アイテムボックスに収納してしまうという手もある。

 冒険者ギルドに向かって歩き出す。

 途中で、ニムに出会った。
例の犬獣人の少女だ。

 いつものように、リンゴを売っている。
もうすっかり顔なじみだ。
この子ともしばらくお別れだな。

「リンゴを全部売ってもらえるか」

 そう言って銀貨を3枚渡す。
リンゴ全部で10個ほどある。
リンゴ10個ならば、本来は銀貨1枚でもお釣りがくる。
銀貨3枚は払い過ぎだ。

「え、ええと。リンゴ1個が鉄貨3枚で……。10個だと……。え、ええと。あわあわ」

 暗算ができなくてこんがらがっているようだ。

「いや、お釣りはいいよ。取っておいてくれ」

 少しでも彼女たち一家の家計の足しになればいい。
まだ借金を完済できていないとはいえ、収入のペース的には多少の余裕はある。
銀貨3枚ぐらいは何とでもなる。
本当は金貨を渡してもいいのだが、下手に大金を渡して彼女がチンピラにでも狙われたら危険だ。

「あ、ありがとうございます。いつも助かってます」

「実は、明日からしばらくこの街からはなれるんだ。いずれは戻ってくるつもりではあるんだけど」

 俺がいない間に、彼女が金銭的な苦境に陥らないか心配だ。
まあおそらくは無用な心配なのだろうが。

 俺がこの街に来る前から、彼女たち一家はここで生活してきていたのだ。
別に俺1人がいなくなったところで、家計が行き詰まるなんてことにはならないだろう。
しかし心配なものは心配なのだ。
自意識過剰で偽善的かもしれないが、少しでも彼女の生活を楽にしてあげたい。

「そ、そうなんですか……」

 俺がしばらくいなくなると聞いて、心なしか彼女もしょんぼりしているように見えなくもない。
可愛い犬耳が垂れてしまっている。

「帰ってきたら、またリンゴを買うから。それまで元気でな」

「は、はい。がんばってきてください」

 そう言って、ニムと別れる。
冒険者ギルドに向けて歩きだす。

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