神の創造世界
第3話 異世界召喚Ⅲ
寮に着くとそこは、まるで高級ホテルのような所であった。
「な、なんじゃこりゃあああああああ!でっけええええ!」みんなが驚く前に光彦が大声を上げた。
ロビーは高価そうな柔らかい絨毯が敷いてあり、天井は高く、輝いた大きなシャンデリアがいくつも吊れ下がっていた。ロビーのとなりには、ラウンジのようなくつろぐスペースも用意されていて、俺たちがこんなところに住んではいけないんじゃないのかと思ってしまうほどだった。
八人それぞれ自分の部屋を探して入っていった。俺の部屋は、612号室だった。渡されたカードキーを手に持ち、キーを通そうと思ったが、ドアには何もなく、ドアの室番号のプレートから「本人確認-カードをかざしてください-」という宙に浮いたタッチパネルが出現した。カードをかざすとそのカードが消えて、「次に、ステータスプレートをかざしてください」と表示された。プレートをかざすと、「本人確認情報登録完了。...本人確認を実行しています。...完了しました。...高野悠希様。...お帰りなさいませ。」と表示され、ドアが自動で開いた。俺がこのセキュリティに感心していると、となりで、もっと感動しているやつがいた。
「うああおおお!すっっげえええ!なんだこのかっこいいのは!」
Eクラス担任になった光彦だった。本当に知力が高いのか疑ってしまうほどのリアクションである。自分が見られているのを気づいた光彦は、
「お!お前となりだったのか!よかったぜぇ!落ちこぼれ同士ちゃんと頑張ろうな!それよりさあ!さっきのセキュリティ機能みたか?まじかっこいいな!おい、なんとか言えよお!じゃあ今日はもう疲れたしゆっくり寝ようぜ!おやすみぃ!じゃあな!」
と言葉を返す間もなく弾丸のように喋って613号室に入ってしまった。
「お、おやすみ。まだ昼だけど。」
おれは、誰もいない廊下で、そう呟いた。
「...な、なんじゃこりゃ。...いやどう見ても、もうこれ広すぎるでしょ。」
部屋にはいると、ホテルとは一風違った部屋の構造になっていた、なんといっても広い。ワンルームを想像していたのだが、5LDKという一人用には思えない部屋だったのである。
「食堂あるのに、ダイニングとキッチンいるか?大浴場あるのに、露天付きのバスルームいるか?あと、部屋5つも使わないんですけど。」
おれはもう考えるのをやめた。この豪華さをいくら実況したところでなにも得ることもないし、豪華ならそれでありがたいし、これはこれでいいのかもと思った。とりあえず、第一魔術師強化訓練校のガイダンスブックというものがあると聞いたリビングのテーブルを見た。そこには、山積みになった教科書とガイダンスブックが置かれていた。ガイダンスブックを手に取りソファーに座ると、隣にスポーツバックと表紙にタイヤの跡が付いた参考書がおいてあった。その上に置き紙があり、「転送前の落とし物です。」と書かれていた。
なるほど、転送前に持っていたものもこの世界に送られてきたのか。コンビニによったことをふと思い出して、バックをあさるとモバイルバッテリーに繋いだ携帯ポットとカップスードルが出てきた。
「よし!あったあった。」
家に帰ったらすぐに食べようと思って、携帯ポットの電源を付けてあったのでもうお湯が沸けていた。緑色に光ったパネルにに触れてスライドさせると、注ぎ口のロックが解除された。お湯を注ぎ終え、キッチンにあった箸を手に取り、麺をかき混ぜた。三分も待つと麺が柔らかすぎるので待たないで食べた方がうまい。
(これは、あくまでも主人公の個人的な意見です。消化が悪いので真似しないでください。)
ほくほくと湯気をたてた麺をすすると、口の中で麺に絡まったスープのしょっぱいのと優しい甘さが口の中で広がり、歯応えのある固めの麺の食感が素晴らしくうまい。
「やっぱ自分で飯作るより、これが一番だな。」
麺も具もスープも残さず間食して一息ついてから、ガイダンスブック広げた。
第一魔術師強化訓練校の心構え。
本校は本国の軍事力に大きく貢献するために、魔術師としての自覚と概念を養う。
魔術師として心身を練磨して旺盛なる気力を養う。
魔術の特性を通じて、礼節を尊ぶ心を養う。
信義を重んじて、真心をもってどんなことにも最善を尽くし、自信の修練に努力を絶やさない心を養う。
本国を愛し人類の平和反映に貢献するために上を定める。
最初から堅苦しいことが書かれていた。他にも目を通すとほぼすべて同じ感じの表記で読むのが嫌になった。
とりあえずカリキュラムは配布した教科書を確認して自分で組むことだけはわかった。
学校には、7時20分に始まる職員会議に出席できていれば、大丈夫らしい。
「教科書か...どんなのがかかれてるんだろう。」
魔法技術入門書と書かれた教科書を手に取り、最初のページを開いてみた。
第1章 魔術とは
魔術とは、神との契約を交わし願いを伝えることで自分の活動源力となるMPを消費して実現させることである。また、神との契約で与えられた自分の特殊能力そのもの。
願いの伝え方は決まりがあるが、無数に存在すると言われている。最初に契約を交わした者は、神聖語といわれるもので術式を組んだといわれる。神聖語では言葉が難しいため、この国で使われている日本語でも伝えることができるようになってきた。
魔術には、火、水、氷、風、土、光、闇の7つの属性があり、神との契約を交わすといくつかの属性が与えられる。また、火、水、氷、風、土、光、闇の7つの精霊素というものがあるとも定義付けられている。この精霊素は精霊素と同じ属性の持ち主が操作することが可能。これが特殊能力そのものである。また属性を持たない人は体質的に不可能だと言われている。属性による魔術、特殊能力は、MPを消費せず自分の考えるままに操作が可能ではあるが、使いすぎると最終的に精霊素が尽きてしまいMPが減り始める。
契約で属性を得られなかった人は、神に願いを伝えることで精霊素や属性がなくても魔術を実行することが可能となる。
神に願いを伝えるには、定められた構文を詠唱する必要がある。これを、術式と言う。術式を発動するには、詠唱の最後に神聖語の術式名を詠まない限り発動まで待機状態のままになってしまい、MPも少しずつ消費してしまう。基本的な術式は次の通りだ。
火炎魔法
神よ、我に力を与え、燃え上がる炎を解き放て!【Fire Ball】
水流魔法
神よ、我に力を与え、全てを砕く砲弾を放て!【Water Ball】
以下省略
......
…なぜ魔術に神聖語っていうのを使わんといけないのだろうか?一体誰が考えたんだ。これじゃ神聖術と定義したほうが正しいのでは?
そんな疑問も抱えながら読み進めっていった。
最初に覚えるのは8つの魔法か。すべての魔法の最初の構文には、すべて「神よ、我に力を与え、」から始まっているのは、神がその言葉を拾って魔法が放てるようになるそうだ。プログラムで言う呼び出し的な役割とにてるな。深く突き詰めて行けば面白そうだな。
教科書を何冊か読み漁っていると、もう日が傾いていた。B1食堂があったときいてあるので、広げた教科書を片付けて、部屋を出た。
食堂には、フードコートのようにお店が並んでいて自分の食べたいものが売っているところに並び、無料で注文できるらしい。おれは早速、ラーメンが売ってる店に並び、醤油ラーメンを注文した。異世界のラーメンと言うものはどういう味なのか気になるが、日本のラーメンとなんも変わりなかった。この世界は、ファンタジー感があるところではあるが、文明が少し日本と似ている気がする。魔法に頼られている世界だから、もとの世界並みの文明が築かれているわけではない。文明と言うより、文化といった方があっているだろう。食文化に関しては、日本食や日本で主流な食べ物が多い、共通言語も日本語であるし、この文明を築いたのが日本人なのではないかと疑ってしまうほどだ。
「高野くん?」
そんな考え事をしながらラーメンも食べていると、遠くから聞き覚えのある声がした。顔をあげると宮島 明日香がいた。
「あ、宮島さんじゃないですか。こんばんはです。」
「こんばんは。もう夜ご飯食べてたんだね!はやいなあ。」
明日香が話そう話しかけてる後ろに、緑川 咲良とその後ろに冰彗 雪奈がいた。
「3人で来たんですね。」
「そうなのお。へや出たときにちょうどエレベーターであってね!3人でいこうってことになったの!」
明日香は明るく俺に振る舞ってくれた。こんな元高校中退ニートエンジニアゲーマーにだ。こんなに話しやすい女性と話したのは何年ぶりだろうか。そもそも、ここ数年間でコンビニの店長と電話対応以外普通に話した記憶がない。
「ここの席座っていいよね?」
明日香が俺の向かい側の椅子にてをかけて、確認してきた。
「あ、お構い無く、どうぞ。」
すると三人が並んで腰を掛けた。雪奈と咲良はハンバーグ定食を注文して、明日香は、カレーライスを注文したらしい。三人とも結構うまそうに食っていることだ。
「そういえばさあ、パンフレット、全部読んだ?」
明日香の問うと、さっきまで喋らなかった、咲良が口を開いた。
「例のガイダンスブックとか言う資料のことでしたら一通りすべて読み、教科書にも目を通しておきましたよ。」
「すごい!準備がいいね!」
「俺も、一応読んだけど、あまりよくわかんなかったな。」
俺もおずおずと答えた。
「私も!なんていうか、世界観が今までと違い過ぎるからついていけないんだよねえ。」
明日香もよくわからなかったのか。
すると、咲良も口を開いた。
「私も、あの資料は、理解できませんでした。言いたいことは少し程度読めましたが。」
Bに選ばれた咲良でもわからないってことは、相当難しいのか。いや、あのガイダンスブックがおかしいに違いない。
「まあ、カリキュラムは自分で組むってことと、7時20分までに職員室にいればいいってことだけでも、分かってれば良いよな。」
二人ともそうだねとうなずいた。最後に、もうひとつ俺から質問してみた。
「あとさ、ひとつだけ聞きたいことがあるんだけど、あの教科書の量どうやって、持ってけばいいのかな?やっぱり、学校用として、あっちにもあるよね?」
すると、咲良が、あきれた顔をした。
「資料は、全部目を通したんですよね?」
「は、はい。」
「なら知っていると思いますが、【異空間収納】という契約を交わすと誰でも使えるスキルがあります。限界収納数は人それぞれ個人差はありますが、いくらステータスが低いからといっても教科書くらいはすべて入りますよ。詠唱無しで、脳裏で操作するんです。実際にやってみますね。」
咲良が右手を広げたときに教科書が出現し、右手に落ちた。
「凄い、こんなことができるのか。」
俺は唖然として今の現象が意味不明だった。神と術式を接続できていないと魔法はできないはずだが、詠唱なしとは、いったいどういう原理なのだろうか。ここである仮説が浮かんだ。神との契約を交わすと自分の情報や意思は、すでに神と接続済みで、術式という形式の魔法は最初に決まったことばが必要だが、術式以外にも他の魔法があるのではないか。
「何難しい顔してるんですか。まだ説明は、終わってませんよ。その魔法が使えるようになるためには、最初に術式を詠まないといけません。 『我は力を必要とする、あまたある書物の中、弐の付く書架、肆拾伍の書物、術式展開 【Inventory】』が術式です。 あと、最初の構文のあれを忘れてはいけませんよ。」
「あれ、って『神よ』か?」
言葉を放った瞬間に術式が起動し、足元に魔法陣が浮かび上がった。
「その言葉は言ってはいけませんよ!なんで、察してくれないんですか!」
俺は慌てて、「quit!quit!」と適当に言葉に出してみると、光が止み、魔法陣も消えた。
「はあ、焦ったあ。」俺はため息をつくと、咲良も呆れたようにため息を付いた。
「ほんとに、勉強してたんですかね。まあ、とりあえずさっきの構文のメモですが、これ渡しておくので帰ったら習得してくださいよ。」
なんだか、ゲームの追加コンテンツをインストールするのと感覚が似ているな。つまり245番の書物というパッケージが【異空間収納】というスキルデータで、それの取り込みの構文を詠めば手に入るのか。それに、術式を一度発動すると無限にその魔法を操ることができるのもあるというわけだな。仮説もまあまあ合ってたな。
「あ、ありがとうな。大体魔法にもついてよくわかってきた。そのスキルも部屋に帰ったら覚えるとするよ。」
俺が礼をいうと、咲良は、急に早い口調でそっぽを向いた。
「別に礼を言われるまではありません。同僚として最低限の事を教えたまでです。」
「そ、そうか。」
「魔法は夢があっていいと思うけど、以外と大変そうだね。」
咲良の後の明日香の優しい言葉に少し落ち着きを戻せた。
「そうだなあ。俺ももうちょっと頑張んないとだな。じゃあ俺はそろそろ帰るな。」
そう言って席を立った。
「じゃあまた明日ね!お互い頑張ろう!」
「おう!」
部屋に戻りシャワーを浴びて、ソファーに腰を掛けて、一息ついた。食堂で言われたことを思いだし、【異空間収納】のスキルの習得のための詠唱をした。
「神よ、我は力を必要とする、あまたある書物の中、弐の付く書架、肆拾伍の書物、術式展開 【Inventory】」
すると、自分の足元に魔方陣が出現し、俺のからだの回りに神聖語という文字が浮き出て回っている。文字をよくみると、それは、英語だった。読み取れた表記内容は、次の通りだ。
『Skill Install【異空間収納】 World/Space/%E6%97%A5%E6%9C%AC/ Servers/No.2678965/Data%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%A8%AE2678965/index/skill/index/0/200-299/No.245/>
%E7%95%B0%E7%A9%BA%E9%96%93%E3%81%AB%E3%82%82%E3%81%AE%E3%82%92%E5%8F%8E%E5%AE%B9%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%0D%0A%E9%99%90%E7%95%8C%E5%8F%8E%E7%B4%8D%E6%95%B0%E3%81%AFWIS%E3%81%AB%E3%82%88%E3%81%A3%E3%81%A6%E6%B1%BA%E3%81%BE%E3%82%8B%E3%80%82%0D%0A%0D%0A
_______________________________
System call skill edit;
No.245
name{"Inventory"="異空間収納"};
target( ALL )
discription : {
convert("object" to "data"),
save( object (@"index")"name"+"Quantity"+"description"),
Destination("Server/No.${player.server.name}/001"),
......................................................................................................』
術式展開に使われている言語である神聖語がこの国で独自に作られたと思われるプログラミングのような構文であったのだ。なんだか、jsonに似ているかがしなくもないが…。これは、深く調べてみればチート並みの力が手に入るかもしれない。学校の生徒にも研究させて、クラス編成テストで、Aランクを奪ってやる。
「な、なんじゃこりゃあああああああ!でっけええええ!」みんなが驚く前に光彦が大声を上げた。
ロビーは高価そうな柔らかい絨毯が敷いてあり、天井は高く、輝いた大きなシャンデリアがいくつも吊れ下がっていた。ロビーのとなりには、ラウンジのようなくつろぐスペースも用意されていて、俺たちがこんなところに住んではいけないんじゃないのかと思ってしまうほどだった。
八人それぞれ自分の部屋を探して入っていった。俺の部屋は、612号室だった。渡されたカードキーを手に持ち、キーを通そうと思ったが、ドアには何もなく、ドアの室番号のプレートから「本人確認-カードをかざしてください-」という宙に浮いたタッチパネルが出現した。カードをかざすとそのカードが消えて、「次に、ステータスプレートをかざしてください」と表示された。プレートをかざすと、「本人確認情報登録完了。...本人確認を実行しています。...完了しました。...高野悠希様。...お帰りなさいませ。」と表示され、ドアが自動で開いた。俺がこのセキュリティに感心していると、となりで、もっと感動しているやつがいた。
「うああおおお!すっっげえええ!なんだこのかっこいいのは!」
Eクラス担任になった光彦だった。本当に知力が高いのか疑ってしまうほどのリアクションである。自分が見られているのを気づいた光彦は、
「お!お前となりだったのか!よかったぜぇ!落ちこぼれ同士ちゃんと頑張ろうな!それよりさあ!さっきのセキュリティ機能みたか?まじかっこいいな!おい、なんとか言えよお!じゃあ今日はもう疲れたしゆっくり寝ようぜ!おやすみぃ!じゃあな!」
と言葉を返す間もなく弾丸のように喋って613号室に入ってしまった。
「お、おやすみ。まだ昼だけど。」
おれは、誰もいない廊下で、そう呟いた。
「...な、なんじゃこりゃ。...いやどう見ても、もうこれ広すぎるでしょ。」
部屋にはいると、ホテルとは一風違った部屋の構造になっていた、なんといっても広い。ワンルームを想像していたのだが、5LDKという一人用には思えない部屋だったのである。
「食堂あるのに、ダイニングとキッチンいるか?大浴場あるのに、露天付きのバスルームいるか?あと、部屋5つも使わないんですけど。」
おれはもう考えるのをやめた。この豪華さをいくら実況したところでなにも得ることもないし、豪華ならそれでありがたいし、これはこれでいいのかもと思った。とりあえず、第一魔術師強化訓練校のガイダンスブックというものがあると聞いたリビングのテーブルを見た。そこには、山積みになった教科書とガイダンスブックが置かれていた。ガイダンスブックを手に取りソファーに座ると、隣にスポーツバックと表紙にタイヤの跡が付いた参考書がおいてあった。その上に置き紙があり、「転送前の落とし物です。」と書かれていた。
なるほど、転送前に持っていたものもこの世界に送られてきたのか。コンビニによったことをふと思い出して、バックをあさるとモバイルバッテリーに繋いだ携帯ポットとカップスードルが出てきた。
「よし!あったあった。」
家に帰ったらすぐに食べようと思って、携帯ポットの電源を付けてあったのでもうお湯が沸けていた。緑色に光ったパネルにに触れてスライドさせると、注ぎ口のロックが解除された。お湯を注ぎ終え、キッチンにあった箸を手に取り、麺をかき混ぜた。三分も待つと麺が柔らかすぎるので待たないで食べた方がうまい。
(これは、あくまでも主人公の個人的な意見です。消化が悪いので真似しないでください。)
ほくほくと湯気をたてた麺をすすると、口の中で麺に絡まったスープのしょっぱいのと優しい甘さが口の中で広がり、歯応えのある固めの麺の食感が素晴らしくうまい。
「やっぱ自分で飯作るより、これが一番だな。」
麺も具もスープも残さず間食して一息ついてから、ガイダンスブック広げた。
第一魔術師強化訓練校の心構え。
本校は本国の軍事力に大きく貢献するために、魔術師としての自覚と概念を養う。
魔術師として心身を練磨して旺盛なる気力を養う。
魔術の特性を通じて、礼節を尊ぶ心を養う。
信義を重んじて、真心をもってどんなことにも最善を尽くし、自信の修練に努力を絶やさない心を養う。
本国を愛し人類の平和反映に貢献するために上を定める。
最初から堅苦しいことが書かれていた。他にも目を通すとほぼすべて同じ感じの表記で読むのが嫌になった。
とりあえずカリキュラムは配布した教科書を確認して自分で組むことだけはわかった。
学校には、7時20分に始まる職員会議に出席できていれば、大丈夫らしい。
「教科書か...どんなのがかかれてるんだろう。」
魔法技術入門書と書かれた教科書を手に取り、最初のページを開いてみた。
第1章 魔術とは
魔術とは、神との契約を交わし願いを伝えることで自分の活動源力となるMPを消費して実現させることである。また、神との契約で与えられた自分の特殊能力そのもの。
願いの伝え方は決まりがあるが、無数に存在すると言われている。最初に契約を交わした者は、神聖語といわれるもので術式を組んだといわれる。神聖語では言葉が難しいため、この国で使われている日本語でも伝えることができるようになってきた。
魔術には、火、水、氷、風、土、光、闇の7つの属性があり、神との契約を交わすといくつかの属性が与えられる。また、火、水、氷、風、土、光、闇の7つの精霊素というものがあるとも定義付けられている。この精霊素は精霊素と同じ属性の持ち主が操作することが可能。これが特殊能力そのものである。また属性を持たない人は体質的に不可能だと言われている。属性による魔術、特殊能力は、MPを消費せず自分の考えるままに操作が可能ではあるが、使いすぎると最終的に精霊素が尽きてしまいMPが減り始める。
契約で属性を得られなかった人は、神に願いを伝えることで精霊素や属性がなくても魔術を実行することが可能となる。
神に願いを伝えるには、定められた構文を詠唱する必要がある。これを、術式と言う。術式を発動するには、詠唱の最後に神聖語の術式名を詠まない限り発動まで待機状態のままになってしまい、MPも少しずつ消費してしまう。基本的な術式は次の通りだ。
火炎魔法
神よ、我に力を与え、燃え上がる炎を解き放て!【Fire Ball】
水流魔法
神よ、我に力を与え、全てを砕く砲弾を放て!【Water Ball】
以下省略
......
…なぜ魔術に神聖語っていうのを使わんといけないのだろうか?一体誰が考えたんだ。これじゃ神聖術と定義したほうが正しいのでは?
そんな疑問も抱えながら読み進めっていった。
最初に覚えるのは8つの魔法か。すべての魔法の最初の構文には、すべて「神よ、我に力を与え、」から始まっているのは、神がその言葉を拾って魔法が放てるようになるそうだ。プログラムで言う呼び出し的な役割とにてるな。深く突き詰めて行けば面白そうだな。
教科書を何冊か読み漁っていると、もう日が傾いていた。B1食堂があったときいてあるので、広げた教科書を片付けて、部屋を出た。
食堂には、フードコートのようにお店が並んでいて自分の食べたいものが売っているところに並び、無料で注文できるらしい。おれは早速、ラーメンが売ってる店に並び、醤油ラーメンを注文した。異世界のラーメンと言うものはどういう味なのか気になるが、日本のラーメンとなんも変わりなかった。この世界は、ファンタジー感があるところではあるが、文明が少し日本と似ている気がする。魔法に頼られている世界だから、もとの世界並みの文明が築かれているわけではない。文明と言うより、文化といった方があっているだろう。食文化に関しては、日本食や日本で主流な食べ物が多い、共通言語も日本語であるし、この文明を築いたのが日本人なのではないかと疑ってしまうほどだ。
「高野くん?」
そんな考え事をしながらラーメンも食べていると、遠くから聞き覚えのある声がした。顔をあげると宮島 明日香がいた。
「あ、宮島さんじゃないですか。こんばんはです。」
「こんばんは。もう夜ご飯食べてたんだね!はやいなあ。」
明日香が話そう話しかけてる後ろに、緑川 咲良とその後ろに冰彗 雪奈がいた。
「3人で来たんですね。」
「そうなのお。へや出たときにちょうどエレベーターであってね!3人でいこうってことになったの!」
明日香は明るく俺に振る舞ってくれた。こんな元高校中退ニートエンジニアゲーマーにだ。こんなに話しやすい女性と話したのは何年ぶりだろうか。そもそも、ここ数年間でコンビニの店長と電話対応以外普通に話した記憶がない。
「ここの席座っていいよね?」
明日香が俺の向かい側の椅子にてをかけて、確認してきた。
「あ、お構い無く、どうぞ。」
すると三人が並んで腰を掛けた。雪奈と咲良はハンバーグ定食を注文して、明日香は、カレーライスを注文したらしい。三人とも結構うまそうに食っていることだ。
「そういえばさあ、パンフレット、全部読んだ?」
明日香の問うと、さっきまで喋らなかった、咲良が口を開いた。
「例のガイダンスブックとか言う資料のことでしたら一通りすべて読み、教科書にも目を通しておきましたよ。」
「すごい!準備がいいね!」
「俺も、一応読んだけど、あまりよくわかんなかったな。」
俺もおずおずと答えた。
「私も!なんていうか、世界観が今までと違い過ぎるからついていけないんだよねえ。」
明日香もよくわからなかったのか。
すると、咲良も口を開いた。
「私も、あの資料は、理解できませんでした。言いたいことは少し程度読めましたが。」
Bに選ばれた咲良でもわからないってことは、相当難しいのか。いや、あのガイダンスブックがおかしいに違いない。
「まあ、カリキュラムは自分で組むってことと、7時20分までに職員室にいればいいってことだけでも、分かってれば良いよな。」
二人ともそうだねとうなずいた。最後に、もうひとつ俺から質問してみた。
「あとさ、ひとつだけ聞きたいことがあるんだけど、あの教科書の量どうやって、持ってけばいいのかな?やっぱり、学校用として、あっちにもあるよね?」
すると、咲良が、あきれた顔をした。
「資料は、全部目を通したんですよね?」
「は、はい。」
「なら知っていると思いますが、【異空間収納】という契約を交わすと誰でも使えるスキルがあります。限界収納数は人それぞれ個人差はありますが、いくらステータスが低いからといっても教科書くらいはすべて入りますよ。詠唱無しで、脳裏で操作するんです。実際にやってみますね。」
咲良が右手を広げたときに教科書が出現し、右手に落ちた。
「凄い、こんなことができるのか。」
俺は唖然として今の現象が意味不明だった。神と術式を接続できていないと魔法はできないはずだが、詠唱なしとは、いったいどういう原理なのだろうか。ここである仮説が浮かんだ。神との契約を交わすと自分の情報や意思は、すでに神と接続済みで、術式という形式の魔法は最初に決まったことばが必要だが、術式以外にも他の魔法があるのではないか。
「何難しい顔してるんですか。まだ説明は、終わってませんよ。その魔法が使えるようになるためには、最初に術式を詠まないといけません。 『我は力を必要とする、あまたある書物の中、弐の付く書架、肆拾伍の書物、術式展開 【Inventory】』が術式です。 あと、最初の構文のあれを忘れてはいけませんよ。」
「あれ、って『神よ』か?」
言葉を放った瞬間に術式が起動し、足元に魔法陣が浮かび上がった。
「その言葉は言ってはいけませんよ!なんで、察してくれないんですか!」
俺は慌てて、「quit!quit!」と適当に言葉に出してみると、光が止み、魔法陣も消えた。
「はあ、焦ったあ。」俺はため息をつくと、咲良も呆れたようにため息を付いた。
「ほんとに、勉強してたんですかね。まあ、とりあえずさっきの構文のメモですが、これ渡しておくので帰ったら習得してくださいよ。」
なんだか、ゲームの追加コンテンツをインストールするのと感覚が似ているな。つまり245番の書物というパッケージが【異空間収納】というスキルデータで、それの取り込みの構文を詠めば手に入るのか。それに、術式を一度発動すると無限にその魔法を操ることができるのもあるというわけだな。仮説もまあまあ合ってたな。
「あ、ありがとうな。大体魔法にもついてよくわかってきた。そのスキルも部屋に帰ったら覚えるとするよ。」
俺が礼をいうと、咲良は、急に早い口調でそっぽを向いた。
「別に礼を言われるまではありません。同僚として最低限の事を教えたまでです。」
「そ、そうか。」
「魔法は夢があっていいと思うけど、以外と大変そうだね。」
咲良の後の明日香の優しい言葉に少し落ち着きを戻せた。
「そうだなあ。俺ももうちょっと頑張んないとだな。じゃあ俺はそろそろ帰るな。」
そう言って席を立った。
「じゃあまた明日ね!お互い頑張ろう!」
「おう!」
部屋に戻りシャワーを浴びて、ソファーに腰を掛けて、一息ついた。食堂で言われたことを思いだし、【異空間収納】のスキルの習得のための詠唱をした。
「神よ、我は力を必要とする、あまたある書物の中、弐の付く書架、肆拾伍の書物、術式展開 【Inventory】」
すると、自分の足元に魔方陣が出現し、俺のからだの回りに神聖語という文字が浮き出て回っている。文字をよくみると、それは、英語だった。読み取れた表記内容は、次の通りだ。
『Skill Install【異空間収納】 World/Space/%E6%97%A5%E6%9C%AC/ Servers/No.2678965/Data%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%A8%AE2678965/index/skill/index/0/200-299/No.245/>
%E7%95%B0%E7%A9%BA%E9%96%93%E3%81%AB%E3%82%82%E3%81%AE%E3%82%92%E5%8F%8E%E5%AE%B9%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%0D%0A%E9%99%90%E7%95%8C%E5%8F%8E%E7%B4%8D%E6%95%B0%E3%81%AFWIS%E3%81%AB%E3%82%88%E3%81%A3%E3%81%A6%E6%B1%BA%E3%81%BE%E3%82%8B%E3%80%82%0D%0A%0D%0A
_______________________________
System call skill edit;
No.245
name{"Inventory"="異空間収納"};
target( ALL )
discription : {
convert("object" to "data"),
save( object (@"index")"name"+"Quantity"+"description"),
Destination("Server/No.${player.server.name}/001"),
......................................................................................................』
術式展開に使われている言語である神聖語がこの国で独自に作られたと思われるプログラミングのような構文であったのだ。なんだか、jsonに似ているかがしなくもないが…。これは、深く調べてみればチート並みの力が手に入るかもしれない。学校の生徒にも研究させて、クラス編成テストで、Aランクを奪ってやる。
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