何で死ぬのに生きてるのですか〜ネズミに転生した最強闇魔法使い、銀髪の少女のペットになる〜

にくまも

21.正義の炎



 俺は子供のころに見た正義のヒーローに憧れた。


 困ってる人を助け、悪をやっつけ感謝されるヒーローに。


 だから困ってる人を見るたびに俺は助けた。無くしものをしている人は一緒に探してあげ、泣いてる子がいたら家まで送ってあげた。


 「わざわざこの子を送ってくれたの? ありがとうね」


 感謝される。


 授業で誰も答えない。


 佐藤先生
 「本当、桐ケ谷君が答えてくれるおかげで授業が進むよ」


 だから俺が答え、感謝をされる。


 ある日に人気が少ない道を歩いているところに落ちているごみを見つけゴミ箱に捨てた。


 だが、感謝されることはなかった。それは俺が見つけても俺を見つける人が誰もいないから――


 脇道で怪我をしている子犬を見つけ家に連れて看病する。


  お父さん
 「犬なんか拾ってきてどうするんだ……」


  お母さん
 「別にいいじゃないお父さん、海斗が優しい子に育ってくれてお母さん嬉しいよ」


 感謝されることはなかった……見知らぬ子犬が生きようが死のうが誰も困らないから――


 あ――そんなのは無駄だ。


 誰にもではない、になるんだ。


 ――子犬は叩き殺した


 ある日にクラスでみんなから悪口を言われていじめられてる子がいた……汚く他人が嫌悪することを人前で平然で行うやつだった。可哀そうに、言われてもやめない彼は間違いなく悪だ。だから殴り倒した。






 この学園は実に良心的で数の暴力を絶対に許さない、いじめがない学園だ。だが、入って早々教室の子たちから小耳にはさんだ。


 困ってる人を助け、悪をやっつけ感謝されるヒーローに。


 だから困ってる人を見るたびに俺は助けた。無くしものをしている人は一緒に探してあげ、泣いてる子がいたら家まで送ってあげた。


 「わざわざこの子を送ってくれたの? ありがとうね」


 感謝される。


 佐藤先生
 「本当、桐ケ谷君が答えてくれるおかげで授業が進むよ」


 授業の時に誰も答えないから答えても先生に感謝をされる。


 だが、人気が少ないところに落ちているごみを見つけて捨てても誰も感謝しない、俺が見つけても俺を見つける人がいないから――だから俺は2度としなかった。


 ある日にクラスでみんなから悪口を言われていじめられてる子がいた……他人が嫌悪することを人前で平然で行うやつだった。可哀そうに、彼は間違いなく悪だ。だから殴り倒した。


 みんなから褒められる。
 当たり前だ、俺は正義のヒーローになりたいんだから。皆から褒められる正義のヒーローに。


 俺には炎の魔法の才能があるって10歳の時に分かった。でも弱かった、とても弱かった。普通かそれ以下だった。


 そんな……これでは正義のヒーローになれない。悪を見つけても助けることができない……だが数日の間を部屋にこもり落ち込んでいると部屋のドアがノックされる。


 お父さん
「実はな、海斗。魔法は熟練すれば体から属性のものが出せるんだよ。海斗の場合は火だ」


 見かねたお父さんからそんなことを教えてもらった。お父さんはボディーガードの仕事をしていたが、実は魔術ボディガードだったことを判明した日に教えてくれた。俺は元が少ないならばせめて使いこなせるようになりたいと俺は必死に頼み込んで玉の魔法だけ教えてもらえることができた。


 それから毎日練習した。ゲームもテレビも見ずに毎日毎日する。魔力が弱い分使いこなそうと練習する。しばらくしたら指から火が出せるようになった。火が出せるようになったときは服が燃え上がり屋敷のスプリンクラーが作動して軽い騒ぎになったけど親からは褒められた。


 それからは徐々に練習して腕まで出せるようになった。


 凄い、炎のヒーローだ……でもこれで満足はしない。操れるようにならなければ、範囲が狭いなら狭いなりで俺は一番強いヒーローになるんだ。


 ――時間が足りない、あと2か月ほどで学園に通う時期が来る。くそ、まだ炎を操れていない。俺はこの程度か? そんなわけないだろ、もっともっと自分の肉体を痛めつけなくては。炎の練習と並行して筋トレも始めた。だが結局操れるようにはならなかった。




 この学園は実に良心的で数の暴力を絶対に許さない、いじめがない素晴らしい学園だ。


 俺はやはり魔力が低いせいでF-4のクラスになったが、それでもクラスでは一番魔力が高い先頭の机だった。だが、入って早々教室の子たちから二人の話を小耳にはさんだ。


 一人は教室で最後尾の席にいる男、彼は常に小言を呟いていて前の人が注意してもやめないどころか小言に死ね死ねを言い始めたのだ。
 そしてもう一人はドブネズミを学園に連れて来ている女だった。ドブネズミなんて皆に嫌われ病気を持っているかもしれない動物を持ってきていて、しかもゲージにも入れていない。一体どうゆう神経してるんだ。


 黒雲が広がる雨の中で地べたを転げまわって体中に泥だらけになった。左肩が焼けただれ、常にえぐられているような激痛が走る。すべては黒須のせいだ……。


 彼は人にぶつかっといて謝りもしないどころか俺のせいにしてきた。彼は明らかに社会にとっての悪でしかない。おまけにナイフまで持ち込んで、正々堂々と戦うことすらできないのか、このクズが……。中院という女の方は運命を受け入れて抵抗すらしなかったていうのに。


 もう彼女は別に助かってもいい。だが黒須、こいつだけは絶対に俺がしてやる。


 体に力を入れ全身を炎で包む。濡れた服が次第に燃え上がり蒸気が上がる。


 ――左肩の痛みが炎のせいでさらに増す。


 だが、それがどうした。そんなのは些細なことだ俺はになるんだから

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