ゲームseason1

神野咲羅

第一章 第一話

それは一通のメールから始まった。

あまりにも唐突だった。

僕の退屈な日常を侵し、平凡な不幸せを奪っていった。






『おめでとうございます。あなたはこの度ゲームに招待されました。
当ゲームには生命に関わる等の重大なリスクはございません。勝者には高額な賞金をご用意しております。つまり、ローリスクハイリターンの素敵なゲームなのです。
但し、このメールを受け取った方は強制参加となります。
説明会及び開会式の日程を送りますので、参加の意思が固まり次第返信をして下さい。期限は本日から三日(七十二時間)以内となります。』


自室でベッドにもたれながらそのメールを黙読した。

平日の夜。もう入浴も夕食も済ませた。くつろいで仕事の疲れを癒す時間。

と言っても、町外れの小さなクリニックで看護師をしている僕は、そこまで疲れてはいない。

実家暮らしなので家事も特にはやらなくていいし、正直暇人なんだ、僕は。

そのせいもあってか、僕は不審過ぎるメールを何度も読み返す。

そして、思考を巡らせる。

これはただの悪戯だろうか?URLなどは貼っていないので、所謂ワンクリック詐欺などの類いではないだろう。仮に詐欺だとしたら、かなりの新手だ。

ローリスクハイリターン……怪しいの極みだが、魅力的な言葉ではある。

でも、それ以上に気になった点がある。

強制参加と言い出しておいて、なぜ参加か否かを問うようなことをする?

僕の頭はメールに占拠されていた。

そして、既に心は奪われていたのかもしれない……。

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