Over the time ~時を見る~
the time of game
テストの範囲が授業で習っていない部分だと公言されたのは帰りのSHRで担任からの言葉だった。
どうやらテスト監督がうっかり間違えて次回の分を配ってしまったらしい。
それはそうと授業の予習なんかしないはずなのにあのテストを解けたのは今でも謎のままだ。それは単なる閃きだったのか?そうなるとこれまでの偉人と肩を並べられるかもしれないな。いやさすがにそれはないか……
今の季節は秋。だからといってこの高校生になにか関係があるかと言えばリアルだとない。だが液晶中の世界で活動する自分には大いに関係する。期間限定のイベント、大会等諸々、ゲームの中は第二の住処とも言えるのだから。
そんな話をテストで気分を害されたらしい斎藤と下校中に盛り上がる。
どうやらテストのことは思い出したくないらしい。それもそう、今回行ったテストはそのまま結果として処理されるらしいからだ。
 
「そういや限定イベの装備品は手に入れたか?」
「いやまだだ。お前はもう入手済みか」
「そりゃそうだ。俺はなんとしてでも上位1000位以内には入るからな」
斎藤は俺よりもかなりこのゲームをやりこんでいる。今さらだが最近嵌まっているこのゲームはインターネット同時型fps。
夜更かししてしまうのはこのゲームのアクセス数が夜中に集中しているからであるのは置いといて……
「なら今日も12:00に対戦するか?」
互いにEXを獲得するために二人で同時に戦闘をするのは今日限りのことじゃない。
「OK」
だから、斎藤も嫌な顔など微塵もないような気でそう言った。
深夜12:00……
灯りもちらちらと消えていく中、ただひとつこの家は未だに灯したままでいる。
『入ったぞ』
「了解」
『いつも通り手は抜かないからな』
「当たり前だ」
                    
携帯で互いに入室したことを確認し、仲間から敵へと移行する。
マップはある大都市のビル廃墟街。埃と塵が巻き上がる匂いが漂う。
その場には無造作に置かれたプレイヤー(自分)が立っている。
 プレイヤー(自分)はゲームスタートの合図音で瞬時に動き、スナイパー中心主義であるので屋上につながるビルへと忍び込み相手の動きを窺う。
「ん?」
対する斎藤は対人ライフルじゃないガトリングを使う。だからこそスナイパーにとって動きづらい彼の装備は格好の獲物だった。
だが、そうじゃない気がした。
テストで感じたあの脳の奥底からわき出る意識が現れた。奴は屋上で待ち構えている。エレベーターから降りた瞬間に滅多打ちにされる情景が浮かび上がったのだ。
咄嗟に違うビルに忍び込み、待ち構えていなそうな反対側のビルの屋上へと向かった。
別の屋上からさっきまでいたビルを覗くと、やはり奴がいた。それも脳裏に浮かんだ姿そっくりだった。
それからというものの、入ろうとして止めてを繰り返し、たまに間違えることはあったが8割り方予想通りだった。
そして、圧勝だった。
対戦が終わり、さっきまで敵だった相手からのコール音が鳴り響く。
『おい! お前チート使ったな!』
「使ってねーよ。そこまでして勝ちたいと思ってないし」
『じゃあなんだ、あの勝ち方は!どう考えても俺の位置が知ってるみたいな感じだったじゃないか!』
「そうだな。お前がいる場所は大体把握出来た。慣れてたからじゃないか?」
『………………』
明らかに納得していないようだった。確かに改めて考えると味わったことのない違和感が浮かびあがった。今までにここまで敵の位置を把握出来たことはなかったのだ。
「何か関係があるのか……?」
『ん?何が?』
「いや、何でもねーよ」
『何だよ』
確実にそうだとは言いきれないのでまだ黙っておこうと思った。
「じゃあ、また明日な」
『おう。明日な』
今日というか昨日は少しだけ非日常な日で終わりを迎えた。
どうやらテスト監督がうっかり間違えて次回の分を配ってしまったらしい。
それはそうと授業の予習なんかしないはずなのにあのテストを解けたのは今でも謎のままだ。それは単なる閃きだったのか?そうなるとこれまでの偉人と肩を並べられるかもしれないな。いやさすがにそれはないか……
今の季節は秋。だからといってこの高校生になにか関係があるかと言えばリアルだとない。だが液晶中の世界で活動する自分には大いに関係する。期間限定のイベント、大会等諸々、ゲームの中は第二の住処とも言えるのだから。
そんな話をテストで気分を害されたらしい斎藤と下校中に盛り上がる。
どうやらテストのことは思い出したくないらしい。それもそう、今回行ったテストはそのまま結果として処理されるらしいからだ。
 
「そういや限定イベの装備品は手に入れたか?」
「いやまだだ。お前はもう入手済みか」
「そりゃそうだ。俺はなんとしてでも上位1000位以内には入るからな」
斎藤は俺よりもかなりこのゲームをやりこんでいる。今さらだが最近嵌まっているこのゲームはインターネット同時型fps。
夜更かししてしまうのはこのゲームのアクセス数が夜中に集中しているからであるのは置いといて……
「なら今日も12:00に対戦するか?」
互いにEXを獲得するために二人で同時に戦闘をするのは今日限りのことじゃない。
「OK」
だから、斎藤も嫌な顔など微塵もないような気でそう言った。
深夜12:00……
灯りもちらちらと消えていく中、ただひとつこの家は未だに灯したままでいる。
『入ったぞ』
「了解」
『いつも通り手は抜かないからな』
「当たり前だ」
                    
携帯で互いに入室したことを確認し、仲間から敵へと移行する。
マップはある大都市のビル廃墟街。埃と塵が巻き上がる匂いが漂う。
その場には無造作に置かれたプレイヤー(自分)が立っている。
 プレイヤー(自分)はゲームスタートの合図音で瞬時に動き、スナイパー中心主義であるので屋上につながるビルへと忍び込み相手の動きを窺う。
「ん?」
対する斎藤は対人ライフルじゃないガトリングを使う。だからこそスナイパーにとって動きづらい彼の装備は格好の獲物だった。
だが、そうじゃない気がした。
テストで感じたあの脳の奥底からわき出る意識が現れた。奴は屋上で待ち構えている。エレベーターから降りた瞬間に滅多打ちにされる情景が浮かび上がったのだ。
咄嗟に違うビルに忍び込み、待ち構えていなそうな反対側のビルの屋上へと向かった。
別の屋上からさっきまでいたビルを覗くと、やはり奴がいた。それも脳裏に浮かんだ姿そっくりだった。
それからというものの、入ろうとして止めてを繰り返し、たまに間違えることはあったが8割り方予想通りだった。
そして、圧勝だった。
対戦が終わり、さっきまで敵だった相手からのコール音が鳴り響く。
『おい! お前チート使ったな!』
「使ってねーよ。そこまでして勝ちたいと思ってないし」
『じゃあなんだ、あの勝ち方は!どう考えても俺の位置が知ってるみたいな感じだったじゃないか!』
「そうだな。お前がいる場所は大体把握出来た。慣れてたからじゃないか?」
『………………』
明らかに納得していないようだった。確かに改めて考えると味わったことのない違和感が浮かびあがった。今までにここまで敵の位置を把握出来たことはなかったのだ。
「何か関係があるのか……?」
『ん?何が?』
「いや、何でもねーよ」
『何だよ』
確実にそうだとは言いきれないのでまだ黙っておこうと思った。
「じゃあ、また明日な」
『おう。明日な』
今日というか昨日は少しだけ非日常な日で終わりを迎えた。
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