幸福戦争

薪槻暁

2.5、空白の間隔を埋める

 頭の中で思考しているうちに最重要案件について忘れていることを思い出した。




「一つだけ聞いてもよろしいですか?」




 作戦報告で大々的に説明できなかった事案、あの場ではどうしてもある人物に聞かれてしまうためにと、ここで直接マザーと会談を催すことになったきっかけ。




「テンプル騎士団と思われる集団に遭遇しました」




 彼は目を細め心底興味ありげな表情で、




「ほう……」




と僕の言葉を嗜めた。


 十字の紋様が刻まれた黒色のローブを被る集団ーーテンプル騎士団。ローブを包む姿はレン達が率いる組織と似ていると言われるがレン自身は因果関係等は否定している。だがそれも事実かどうか分からないので機密事項として扱っているのだ。






「それで、彼らと出会ったあとはどうしたんだ?」




 僕は一瞬に思われる出来事を脳内に鮮明かつスローモーションで再生し言葉にした。




「そうか。何も手は出さなかったと」




 彼らの意図が掴めない僕はそれ以上何も言えなかったのだが、彼がその分補填してくれた。




「テンプル騎士団、奴らは国際的なテログループだ」

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