チビでドジな私の従魔士道
5サイズと夢
あれから1年の月日が流れ14歳になった。私もドッジもレインも相変わらずの生活。
1年前レインが来て1ヶ月経った頃、ドッジがなんかこいつデカくなってない?と言われた。確かに。両手二つ分だったレインは、今は両手からはみ出るほどのサイズ。
「こんなに急にデカくなるもんだっけ?てか、こいつ大人なの?子供なの?」
「さ、さぁ…。行動的に子供なんじゃない?」
「なら、こいつ結構デカくなるぜ?」
やばい。まだ産まれて1ヶ月だとは言えない。最近重くなったなとは思ってたけど言われれば確かに大きくなってる。毎日見てたせいかそこまで気付かなかった。
夜部屋で2人っきりになった時にレインに聞いてみた。
「ねぇ。レインはどれぐらい大きくなるの?」
「マロンよりも10倍以上かな」
「へ?じ、、10倍!?」
「そ。お腹空くのわかってくれる?ちなみに1年でそれぐらいになるよ」
待って。1年でもうそのサイズ!?レイン曰く魔獣は早く大きくなる。そうしないと他者に負けるから。特にドラゴンは成長が早いとのこと。
「待って!そんなの家に入れなくなるよ」
「マロンらしいけど心配するとこそこなんだ」
レインがケタケタ笑いながら答える。
「でも心配してるようにはしないから大丈夫だよ」
「そうなの?」
「うん。成長はするけど一定サイズからは見た目変わらないようにするから」
あともう一回りぐらい大きくなったら見た目変わらないようにできるからーとレインは言った。そんな器用な事ができるもんなのかな?と思うけど、レインならなんとなくできそうと話を終えた。
だって、考えても仕方ないもの。
それから1年。確かにレインはひと回り大きくなってから見た目は変わらなかった。
◆
「おーい。お前達。明日街からお偉いさん達来るから、用事がない時はあっちには行かないようにな」
「あ、そうなんだ。わかった」
「はーい」
2年に一回とか1年に一回。街の偉い人が療養しに村の温泉に入りに来る。今回は2年ぶりだなぁ。子供が粗相しないように来るとわかったら子供達に近づかないようにと各世帯の親が子供に言いつける。まぁもうそんな年でもないけどね。
最近この村はとても調子が良いらしい。豊富に取れる食料。畑が猪に荒らされないため野菜や果物の実りも良い。村の人達も父さんも最初は不思議がっていたけど、1年も経てばありがたい恵と受け入れていた。
最近変わった事といえば、母さんに料理を習っている。なぜか?
ドッジの腕が母さん級になってきてるのが悔しいから。この前食卓に何気なく並んでる煮物を美味しい美味しいと食べていたら、ドッジが俺が作ったんだぜ!とドヤ顔で言ってきたのが、さらに悔しい!
今夜も母さんにしごかれ昼の疲れもあって、すぐ眠りについた。
◆
「魔獣なんて汚らわしい…」
「お姉様なんて事を言われるんですか!?魔獣がいなければ私達は今がないのですよ!」
「このために騎士がいるのじゃない」
久々に見た私じゃない誰かの夢。夢人さんだ。ここはお城?
白を基調としたとても綺麗な部屋。少し離れた場所で女性の話し声がする。私は赤絨毯の上に跪いてる。見えるのはただただ赤い色。
「———。そんなかしこまらずに顔をあげて下さい」
お姉様と#嗜__たし__#なめていた方の女性から声がかかる。私の声よりも低い声で、かしこまりましたと顔を上げるとドレスに身を包んだ女性が2人座っていた。
1人は扇で顔を隠し、1人はにこやかな笑顔を向けてくれる。
「あなたの働きがなければ私達は今いないでしょう。あなたの働きに心から礼を言います」
「はっ。ありがたき幸せ」
「たかだか魔獣数匹扱えてなにがすごいのか…。お前なんか企みがあるなら言ってみなさい」
「そのような事は…」
夢人さんの心が私にも伝わってくる。認められて嬉しい。反面寂しさと怒り。
「私には企みなどございません」
「どーかしら。従魔士なんて騎士様が動けるようにサポートする役でしょ?高みの見物して給金出るなんて良いご身分ね」
「お姉様!彼はこの戦いで多くのことを成し遂げ、体にもたくさんの傷を負ったのですよ!?」
「お得意の従魔士様の力で、魔獣を盾にすれば良かったものを。頑張りましたという見せつけなのかしら?」
1人がなだめれば1人がバカにしてくる。でも、0じゃない。擁護してくださるこの方の気持ちに答えよう。
映像が変わり別の部屋。今度は自室らしき部屋。コンコンッとノック音。そばに控えていた従魔が開けても問題ないというため扉をそっと開ける。
「先ほどはお姉様が大変失礼しました」
扉を開けた先にいたのは、にこやかな笑顔を向けてくれた女性。あなたのような身分の方が頭を下げていけない!すぐに顔を上げてもらえるようお願いをした。
「私は私はッ…、あなたや魔獣にとても敬意を払っています。お姉様はあんな言い方をするけど何もできないのは私達の方…」
肩を震わせ涙を流す女性に手を差し伸べるべきか悩んでいる夢人さんの心が伝わってくる。グッと堪えるように夢人さんは手を固く握りしめた。
「さぁ、夜も遅いのです。こんなところへいて、変な噂が立てば大変です。大切なお体なのですから」
「私は身分などなければ、あなたと一緒にいたい!あなたが傷つくのも、魔獣が傷つくのも見たくない!どうか…どうか…私を連れ出して」
女性が夢人さんに抱きついてくる。夢人さんはそれでも彼女を抱きしめることなく、肩に触れるとそっと離した。涙で潤んだ青い瞳が夢人さんにどうして?と言っている。
「俺が…いや、今度の戦いは隣国と魔獣同士の戦い。従魔士の力量が試される国の大切な戦いです。それに勝てた時、あなたを貰い受ける許可を王に願い出ても良いでしょうか?」
女性の大きな目からさらに大粒の涙が流れ、えぇ。えぇ。約束ですよ。約束ですからね。
そこで夢から醒めた。ひゃー…。し、刺激が強すぎる。久々に夢人さんに会ってしまった。しかも恋愛話ししてるし。経験のない恥ずかしさに布団を抱きしめ転がる。
この1年の間に、何度か見る夢。夢の中の男性の名前だけ毎回聞き取れないため夢人さんと名付けていた。
あの夢のおかげで魔獣の存在。レインの扱い方がなんとなくわかる部分もあった。あれは私のなに?
「マロンまだ起きないの?お母さん怒ってるけど」
レインが起こしに来る。あちゃ。すぐに服を着替え顔を洗い母さんの元へ向かった。
「14歳になっても寝坊助が直らないねこの子は。今日はお偉いさん来るので忙しいってのに」
「ごめんってば」
お偉いさんが来る日は村の人が総出で出迎える。食事の準備や泊まる場所の掃除。この村には宿がない。お偉いさんが温泉の側に宿泊場を作っているけど、お偉いさん以外泊まりに来る事がない宿泊場は普段閉めている。
管理代ということで村は毎年お金を貰っているため、来る時は総出で出迎える事になっていた。
「ほら、あんたもドッジと一緒に今日は温泉施設の掃除だよ。早く行っておいで。夕方には到着されるんだから」
「ふぁーい」
朝ご飯を急いでお腹に入れる。
「さ、食べた。レイン行こう」
「ダメだよ。レインは今日羊の放牧係に任命されてるんだから」
レインが人の言葉をちゃんと理解し器用にこなす姿に、母さんも父さんもレインに頼み事をする事が多くなった。
『そゆこと』
レインは母さんに作ってもらった弁当を、キュイー♪と嬉しそうに首にかけてもらい家を出て行った。
「最近レイン使いが多くない?」
「仕方が無いさ。働かざるもの食うべからず。あんたより働き者なんだから大したもんだよ。ほらさっさといきな」
「はぁーい」
1年前レインが来て1ヶ月経った頃、ドッジがなんかこいつデカくなってない?と言われた。確かに。両手二つ分だったレインは、今は両手からはみ出るほどのサイズ。
「こんなに急にデカくなるもんだっけ?てか、こいつ大人なの?子供なの?」
「さ、さぁ…。行動的に子供なんじゃない?」
「なら、こいつ結構デカくなるぜ?」
やばい。まだ産まれて1ヶ月だとは言えない。最近重くなったなとは思ってたけど言われれば確かに大きくなってる。毎日見てたせいかそこまで気付かなかった。
夜部屋で2人っきりになった時にレインに聞いてみた。
「ねぇ。レインはどれぐらい大きくなるの?」
「マロンよりも10倍以上かな」
「へ?じ、、10倍!?」
「そ。お腹空くのわかってくれる?ちなみに1年でそれぐらいになるよ」
待って。1年でもうそのサイズ!?レイン曰く魔獣は早く大きくなる。そうしないと他者に負けるから。特にドラゴンは成長が早いとのこと。
「待って!そんなの家に入れなくなるよ」
「マロンらしいけど心配するとこそこなんだ」
レインがケタケタ笑いながら答える。
「でも心配してるようにはしないから大丈夫だよ」
「そうなの?」
「うん。成長はするけど一定サイズからは見た目変わらないようにするから」
あともう一回りぐらい大きくなったら見た目変わらないようにできるからーとレインは言った。そんな器用な事ができるもんなのかな?と思うけど、レインならなんとなくできそうと話を終えた。
だって、考えても仕方ないもの。
それから1年。確かにレインはひと回り大きくなってから見た目は変わらなかった。
◆
「おーい。お前達。明日街からお偉いさん達来るから、用事がない時はあっちには行かないようにな」
「あ、そうなんだ。わかった」
「はーい」
2年に一回とか1年に一回。街の偉い人が療養しに村の温泉に入りに来る。今回は2年ぶりだなぁ。子供が粗相しないように来るとわかったら子供達に近づかないようにと各世帯の親が子供に言いつける。まぁもうそんな年でもないけどね。
最近この村はとても調子が良いらしい。豊富に取れる食料。畑が猪に荒らされないため野菜や果物の実りも良い。村の人達も父さんも最初は不思議がっていたけど、1年も経てばありがたい恵と受け入れていた。
最近変わった事といえば、母さんに料理を習っている。なぜか?
ドッジの腕が母さん級になってきてるのが悔しいから。この前食卓に何気なく並んでる煮物を美味しい美味しいと食べていたら、ドッジが俺が作ったんだぜ!とドヤ顔で言ってきたのが、さらに悔しい!
今夜も母さんにしごかれ昼の疲れもあって、すぐ眠りについた。
◆
「魔獣なんて汚らわしい…」
「お姉様なんて事を言われるんですか!?魔獣がいなければ私達は今がないのですよ!」
「このために騎士がいるのじゃない」
久々に見た私じゃない誰かの夢。夢人さんだ。ここはお城?
白を基調としたとても綺麗な部屋。少し離れた場所で女性の話し声がする。私は赤絨毯の上に跪いてる。見えるのはただただ赤い色。
「———。そんなかしこまらずに顔をあげて下さい」
お姉様と#嗜__たし__#なめていた方の女性から声がかかる。私の声よりも低い声で、かしこまりましたと顔を上げるとドレスに身を包んだ女性が2人座っていた。
1人は扇で顔を隠し、1人はにこやかな笑顔を向けてくれる。
「あなたの働きがなければ私達は今いないでしょう。あなたの働きに心から礼を言います」
「はっ。ありがたき幸せ」
「たかだか魔獣数匹扱えてなにがすごいのか…。お前なんか企みがあるなら言ってみなさい」
「そのような事は…」
夢人さんの心が私にも伝わってくる。認められて嬉しい。反面寂しさと怒り。
「私には企みなどございません」
「どーかしら。従魔士なんて騎士様が動けるようにサポートする役でしょ?高みの見物して給金出るなんて良いご身分ね」
「お姉様!彼はこの戦いで多くのことを成し遂げ、体にもたくさんの傷を負ったのですよ!?」
「お得意の従魔士様の力で、魔獣を盾にすれば良かったものを。頑張りましたという見せつけなのかしら?」
1人がなだめれば1人がバカにしてくる。でも、0じゃない。擁護してくださるこの方の気持ちに答えよう。
映像が変わり別の部屋。今度は自室らしき部屋。コンコンッとノック音。そばに控えていた従魔が開けても問題ないというため扉をそっと開ける。
「先ほどはお姉様が大変失礼しました」
扉を開けた先にいたのは、にこやかな笑顔を向けてくれた女性。あなたのような身分の方が頭を下げていけない!すぐに顔を上げてもらえるようお願いをした。
「私は私はッ…、あなたや魔獣にとても敬意を払っています。お姉様はあんな言い方をするけど何もできないのは私達の方…」
肩を震わせ涙を流す女性に手を差し伸べるべきか悩んでいる夢人さんの心が伝わってくる。グッと堪えるように夢人さんは手を固く握りしめた。
「さぁ、夜も遅いのです。こんなところへいて、変な噂が立てば大変です。大切なお体なのですから」
「私は身分などなければ、あなたと一緒にいたい!あなたが傷つくのも、魔獣が傷つくのも見たくない!どうか…どうか…私を連れ出して」
女性が夢人さんに抱きついてくる。夢人さんはそれでも彼女を抱きしめることなく、肩に触れるとそっと離した。涙で潤んだ青い瞳が夢人さんにどうして?と言っている。
「俺が…いや、今度の戦いは隣国と魔獣同士の戦い。従魔士の力量が試される国の大切な戦いです。それに勝てた時、あなたを貰い受ける許可を王に願い出ても良いでしょうか?」
女性の大きな目からさらに大粒の涙が流れ、えぇ。えぇ。約束ですよ。約束ですからね。
そこで夢から醒めた。ひゃー…。し、刺激が強すぎる。久々に夢人さんに会ってしまった。しかも恋愛話ししてるし。経験のない恥ずかしさに布団を抱きしめ転がる。
この1年の間に、何度か見る夢。夢の中の男性の名前だけ毎回聞き取れないため夢人さんと名付けていた。
あの夢のおかげで魔獣の存在。レインの扱い方がなんとなくわかる部分もあった。あれは私のなに?
「マロンまだ起きないの?お母さん怒ってるけど」
レインが起こしに来る。あちゃ。すぐに服を着替え顔を洗い母さんの元へ向かった。
「14歳になっても寝坊助が直らないねこの子は。今日はお偉いさん来るので忙しいってのに」
「ごめんってば」
お偉いさんが来る日は村の人が総出で出迎える。食事の準備や泊まる場所の掃除。この村には宿がない。お偉いさんが温泉の側に宿泊場を作っているけど、お偉いさん以外泊まりに来る事がない宿泊場は普段閉めている。
管理代ということで村は毎年お金を貰っているため、来る時は総出で出迎える事になっていた。
「ほら、あんたもドッジと一緒に今日は温泉施設の掃除だよ。早く行っておいで。夕方には到着されるんだから」
「ふぁーい」
朝ご飯を急いでお腹に入れる。
「さ、食べた。レイン行こう」
「ダメだよ。レインは今日羊の放牧係に任命されてるんだから」
レインが人の言葉をちゃんと理解し器用にこなす姿に、母さんも父さんもレインに頼み事をする事が多くなった。
『そゆこと』
レインは母さんに作ってもらった弁当を、キュイー♪と嬉しそうに首にかけてもらい家を出て行った。
「最近レイン使いが多くない?」
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