チビでドジな私の従魔士道

ノベルバユーザー487211

プロローグ

心半ばで倒れた。守り戦い疲れ果て、守ってやれなかった後悔と無理をさせた事を謝る。すまなかった…。
次こそは、お前達と幸せになりたい。いや、なろう。男は共に戦い戦死した仲間に必死に手を伸ばす。

それに応えるように仲間も優しい目を彼に向ける。お互い体を労わるように触れ合い目を閉じた。





「ほぅ…。お前は今のやり方は気に食わないと言うのか。」 

背の高い金髪の男は鋭い眼光で私を見下ろし冷たい声で話す。

「気に食わないとは一言も言っていません!間違っていると言っているだけです!」
「それが気に食わないと言うのではないか?」

鋭い眼光は変わらず、ハッと小馬鹿にしたように言ってくる男。私はその目線に真っ直ぐ立ち向かう。

「面白い。お前のやり方で言うことを聞くと言うのであればやってみろ。ただし、出来なかった時にはわかってるんだろうな?」
「わかってるとは…?」
「その体に頭がついていないということがだよ」

今更後に引けない。それにこんな可哀想な状態放っておけない。大丈夫。私なら大丈夫。自分に言い聞かせる。
別の男がある者の首についていた首輪をガチャリと外した。外した瞬間雄叫びをあげる生き物。

「私を見て。大丈夫。誰もあなたを傷つけたりしないわ」

ウゥゥゥー…と明らかに威嚇をしてくる生き物。

「大丈夫。ほら、私を見て。大丈夫よ」

何度か話しかける私の声に、生き物は段々と威嚇をやめ警戒を解くような姿勢を見せた。おぉっ!と周りが声を上げる。

「して、それで使えねば意味がない。動かせるんだろうな?」
「勿論です。ただ、この子には意思があります。気持ちがあります。嫌がる事は無理強いはできません!」
「それは使えないのと一緒ではないか。時間の無駄もいいところだ。おい、そこの者。剣を持ってこい」

金髪男の言葉にツーッと背中に汗が流れるのを感じた。生き物は私を守るように金髪男と私の間に入ってきて、金髪男に威嚇を見せる。

「大丈夫よ。心配してくれたのね」
「なるほど。心を開いたものを守ろうとするか。おもしろい」

何かを考えるようにニヤリと笑う金髪男。気分が変わったと剣を放り投げ、カランカランッ…と剣が転がり壁にぶつかった。

「命令だけしか聞かない駒より命令以外を判断し動く駒の方が使い勝手が良いじゃないか」

この男は何を言っているの!?

「この子達は駒じゃない!お前の好きになんか絶対させない!」
「たかが小娘1人がなにができる?」
「たかがじゃない。私は従魔士。この子達と心を合わせ通じるもの。絶対に守ってみせる」
「好きにしろ。出来ればの話だがな」

私が生きる世界。
次こそは私のしたいようにやってやる。
ここ、ラターニアに悲しい雨は降らせない!


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