Fランク冒険者なのに、最強すぎませんか❓ 世界最強の魔王は、自分をFランク冒険者だと思い込んでいる⁉️
4-4.エルフ王ダダダ
怒鳴り合う声の正体は、エルフたちと冒険者たちによるものだった。魔界開門をかぎつけた冒険者たちは、やはりと言うべきか、森に集まっていたようだ。
集まっているほとんどが、C級以上の冒険者だろうと思うと心強い。今回はオレの出番はないかもしれない。
しかし――。
そんな冒険者たちと、エルフたちのあいだで口論が起きていた。どうやらエルフのほうは、冒険者の立ち入りを許さないと言っているようだ。
「エルフって、冒険者と仲良くないのか?」
と、オレはピピに小声でたずねた。
「冒険者というよりも、人間とあまり仲が良くないんじゃ。ほれ、人間どもは、木々を切り倒したりするじゃろう。人間はエルフの森の資源を狙っておるからな。戦争というほどにはなっておらんが、互いにあまり良くは思うておらんのじゃろう」
たしかに、森の所有権をめぐって、人間たちのあいだでもよく争いが起きている。
「じゃあ、ピピも?」
内心では、人間が嫌いなのかもしれないと思って尋ねた。
「ワッチはそんなこと気にしとらん。ワッチは別に、これといったコダワリもありゃせんからな」
と、ピピはすずしい顔をして言った。
「そっか」
『新狩祭』というイベントをともに乗り越えたことで、仲間意識が強くなっているのかもしれない。ピピに嫌われていないということで、大きな安心感をおぼえた。
『オレたちは助けに来てやったんだ。来るなと言うなら、帰らせてもらおう!』
と、冒険者たちはぞろぞろと引き返して行ってしまった。
冒険者を追い返したのは、緑色のアゴヒゲを腰のあたりまで伸ばした男だった。ヒゲは長いが、体躯は筋肉質だった。上裸なので、よくわかる。まるで彫刻のような、美麗な筋肉をしていた。自分もそれぐらいの体躯になりたいものだと憧憬をいだいた。
その男の後ろには多くのエルフたちが並んでいる。
「あいかわらず元気そうじゃな」
と、ピピが親しげにその男に話しかけた。
知り合いなのだろうかとビックリしたのだが、考えてみればここはピピの故郷なのだ。知り合いがいてもなんの不思議でもない。
「ぬぅ。いまさら帰って来おって何のようじゃ。この怠け者めが」
と、男は応えた。
「魔界が開門しそうじゃから、戻って来たんじゃろうが」
「怠け者のピピが、故郷のために戻ってくるとは驚きじゃ。して、そこの者たちは?」
「ワッチの仲間じゃ」
ピピがおたがいのことを紹介してくれた。
この筋肉質なエルフの名は、ダダダ。この男がピピの父親であり、そしてエルフ王であるらしかった。
王さまだと聞いて、ギョッとなった。
オレは田舎の出自なので、礼儀なの知らないのだが、こうして王さまの前に立っているだけでも無礼をはたらいているんじゃないかと心配になったのだ。
それはアリルも同じだったようで、あわてて頭を下げていた。ノウノだけは平然と立っていた。
「良い良い。ワッチの父は、礼儀など気にする男ではない」
と、ピピは言った。
ふんっ――とダダダは鼻息をあらげた。
「頭なぞ下げられても、なんの実りにもならんわ。その信念であり、その行動によってオレは人を見定める。で、冒険者風情がなんの用だ。見たところFランク冒険者のようだが」
と、ダダダは目ざとく、オレたちの腰にぶらさがっている銅色のカギを目に留めたようだった。
「ワッチの手助けに来てくれたんじゃ。ワッチも冒険者をやっておるでな」
怒っているのかと思っていたのだが、ダダダは急に腹をかかえて笑い出した。
「あの怠け者のピピが、まさかホントウに冒険者をやっているとはなっ」
ほかのエルフたちも笑っていた。嘲笑かもしれないが、厭な印象は受けなかった。風が木々を揺するかのような音色は、聞き心地がよかった。
ピピは顔を赤くしていた。
「仕方なかろうが、家を追い出されたんじゃから」
「あれだけ怠けていたのだから、追い出されるのも仕方なかろう。しかし帰郷を拒みはせん。『新狩祭』で優勝したという話も耳にしている。どうやら努力はしておるようじゃしな。お前たちには義があると見た」
入っても良い――ということだった。
さきほどの冒険者たちは追い返されて、オレたちは招き入れられた。いったい、どういう了見なのだろうかと首をかしげた。
エルフたちの住まう都へと足を踏み入れた。
集まっているほとんどが、C級以上の冒険者だろうと思うと心強い。今回はオレの出番はないかもしれない。
しかし――。
そんな冒険者たちと、エルフたちのあいだで口論が起きていた。どうやらエルフのほうは、冒険者の立ち入りを許さないと言っているようだ。
「エルフって、冒険者と仲良くないのか?」
と、オレはピピに小声でたずねた。
「冒険者というよりも、人間とあまり仲が良くないんじゃ。ほれ、人間どもは、木々を切り倒したりするじゃろう。人間はエルフの森の資源を狙っておるからな。戦争というほどにはなっておらんが、互いにあまり良くは思うておらんのじゃろう」
たしかに、森の所有権をめぐって、人間たちのあいだでもよく争いが起きている。
「じゃあ、ピピも?」
内心では、人間が嫌いなのかもしれないと思って尋ねた。
「ワッチはそんなこと気にしとらん。ワッチは別に、これといったコダワリもありゃせんからな」
と、ピピはすずしい顔をして言った。
「そっか」
『新狩祭』というイベントをともに乗り越えたことで、仲間意識が強くなっているのかもしれない。ピピに嫌われていないということで、大きな安心感をおぼえた。
『オレたちは助けに来てやったんだ。来るなと言うなら、帰らせてもらおう!』
と、冒険者たちはぞろぞろと引き返して行ってしまった。
冒険者を追い返したのは、緑色のアゴヒゲを腰のあたりまで伸ばした男だった。ヒゲは長いが、体躯は筋肉質だった。上裸なので、よくわかる。まるで彫刻のような、美麗な筋肉をしていた。自分もそれぐらいの体躯になりたいものだと憧憬をいだいた。
その男の後ろには多くのエルフたちが並んでいる。
「あいかわらず元気そうじゃな」
と、ピピが親しげにその男に話しかけた。
知り合いなのだろうかとビックリしたのだが、考えてみればここはピピの故郷なのだ。知り合いがいてもなんの不思議でもない。
「ぬぅ。いまさら帰って来おって何のようじゃ。この怠け者めが」
と、男は応えた。
「魔界が開門しそうじゃから、戻って来たんじゃろうが」
「怠け者のピピが、故郷のために戻ってくるとは驚きじゃ。して、そこの者たちは?」
「ワッチの仲間じゃ」
ピピがおたがいのことを紹介してくれた。
この筋肉質なエルフの名は、ダダダ。この男がピピの父親であり、そしてエルフ王であるらしかった。
王さまだと聞いて、ギョッとなった。
オレは田舎の出自なので、礼儀なの知らないのだが、こうして王さまの前に立っているだけでも無礼をはたらいているんじゃないかと心配になったのだ。
それはアリルも同じだったようで、あわてて頭を下げていた。ノウノだけは平然と立っていた。
「良い良い。ワッチの父は、礼儀など気にする男ではない」
と、ピピは言った。
ふんっ――とダダダは鼻息をあらげた。
「頭なぞ下げられても、なんの実りにもならんわ。その信念であり、その行動によってオレは人を見定める。で、冒険者風情がなんの用だ。見たところFランク冒険者のようだが」
と、ダダダは目ざとく、オレたちの腰にぶらさがっている銅色のカギを目に留めたようだった。
「ワッチの手助けに来てくれたんじゃ。ワッチも冒険者をやっておるでな」
怒っているのかと思っていたのだが、ダダダは急に腹をかかえて笑い出した。
「あの怠け者のピピが、まさかホントウに冒険者をやっているとはなっ」
ほかのエルフたちも笑っていた。嘲笑かもしれないが、厭な印象は受けなかった。風が木々を揺するかのような音色は、聞き心地がよかった。
ピピは顔を赤くしていた。
「仕方なかろうが、家を追い出されたんじゃから」
「あれだけ怠けていたのだから、追い出されるのも仕方なかろう。しかし帰郷を拒みはせん。『新狩祭』で優勝したという話も耳にしている。どうやら努力はしておるようじゃしな。お前たちには義があると見た」
入っても良い――ということだった。
さきほどの冒険者たちは追い返されて、オレたちは招き入れられた。いったい、どういう了見なのだろうかと首をかしげた。
エルフたちの住まう都へと足を踏み入れた。
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