Fランク冒険者なのに、最強すぎませんか❓ 世界最強の魔王は、自分をFランク冒険者だと思い込んでいる⁉️

執筆用bot E-021番 

3-1.後半戦

「おっと――ッ。ここで『黄金のたまご』がアラクネの脚を、大量に持ち帰ることに成功しました! 査定金額はなんと1プラチナと50ゴールドッ。これは予想に反してFランク冒険者の『黄金のたまご』が大きくリードかッ」


 魔法で声をおおきくさせた実況の声がひびきわたっていた。「おーっ」と観衆の声があがった。


「ここで新しい情報が入ってまいりました。『黄金のたまご』のパーティを率いているリーダーは、なんとあの勇者の娘ということですッ! さすがは勇者の娘ッ」


 またしても歓声があがる。
 アリルは観衆にたいして、両手をおおきく振っていた。この上なくうれしそうだった。アラクネを倒したのはオレ――だそうだ。オレのあずかり知らぬチカラとはいえ、オレのチカラがアリルに喜悦をあたえることが出来たのだ。そう思うと、オレ自身もうれしかった。


 一方でピピは、ヘキエキしたような表情をしており、ノウノにいたっては何も起きていないかのような無表情だった。


「次に上がって来たのは、あの『かがやける暁』だ――ッ。今大会の優勝候補である『かがやける暁』は、なんとなんとDランク相当に値するミミックを持ち帰ったッ。査定額は脅威の3プラチナッ。これはやはり『かがやける暁』の優勝かッ」


 熱のこもった実況の声がひびく。
 観衆の声もそれにあわせて、さらに大きな声があがっていた。まるで戦がはじまるかのような熱気である。


『黄金のたまご』が暫定2位で、『かがやける暁』が暫定1位という位置づけになった。


「Fランク冒険者の寄せ集めのくせ、アラクネを倒してきやがるとはな」


『かがやける暁』のリーダーのスキンヘッドの大男――ガルダリア・ゴルゴンがアリルにそう言った。


 ゴルゴンは背中に巨大なタワーシールドを背負っていた。長方形型の巨大な盾だ。城塔を背負っているかのような迫力があった。


「そっちこそ、ミミックごときで勝ったつもりでいるんじゃないわよ。私に謝るセリフでも考えておくことね」
 と、アリルはすこしも怯む様子なく言い返している。


「はッ。パーティから追い出されたくせに偉そうな口をききやがって、そっちこそ裸踊りに備えてムダ毛の処理でもしておくことだな」


「ホントに下品な男」


「だったらどうした? お前の大好きなパパに言いつけるか? 勇者の面汚しめ」


「よくも言ったわね。このハゲボウズッ」


「何度だって言ってやるよ。勇者の面汚し。伝説的なSランク冒険者の娘が、Fランク冒険者なんだから、まるで笑い話だぜ」


 アリルを侮辱するようなことを言うなッ――とオレはつい口をはさんでしまった。ゴルゴンに罵倒されているアリルを見ていると、オレのほうまで腹立たしくなってきたのだ。


「なんだお前?」
 と、ゴルゴンは値踏みするような視線を投げかけてきた。ゴルゴンは異様なほど背が高い。一方、オレは男性のなかでも特別高いと言える身長ではない。おのずと見下ろされるカッコウになる。


 割って入ったは良いが、その体格差に怯懦を感じずにはいられなかった。こんな男を相手にアリルは口ゲンカを交わしているのだ。アリルの精神が強靭なのか、それとも、強がっているだけなのか。どちらにせよ、アリルには尊敬の念をおぼえる。


 ゴルゴンはオレの腰にぶらさがっている、銅色のカギに目を留めたようだ。


「はッ。Fランク冒険者か。しょせんザコはザコで群れるってわけだな」


「あんまりレイのことをバカにしないほうが良いわよ。この人は、あんたより強いんだから」
 とアリルがニヤリと笑って、オレの肩をたたいた。


「Fランク冒険者のくせにホザきやがる」


 行くぞ、お前ら――とゴルゴンは自分のパーティをひきつれて、ふたたびダンジョンへと引き返してゆく。どうやらケンカをするつもりはないようだ。ホッとした。殴り合いなんかになったら勝ち目がない。一発で人を殴り殺してしまえそうな図体を、ゴルゴンはしている。


「私たちも負けてられないわよ」
 と、アリルの言葉で、オレたちもふたたびダンジョンへ潜ることになった。


 すでに太陽が下りにはいっていた。
 日没時に大会は終了となる。


『新狩祭』もいよいよ後半戦だ。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品