王が住む教室

文戸玲

生徒会長


 それからのおれたちは,意外とすんなりと話は進んだ。
 笑いあっているおれたちの部屋に入ってきた大栗は,円満なおれたちの雰囲気を不気味がっていた。相良が大人たちに「生徒会長に当選することを確実にするために三人で大介をはめようとしていたこと」を要領よく話した。簡単な確認が行われたが,相良が言うのだから大人たちは面食らっていたが信じてはいた。
 おれも自分の意見を言った。不可抗力ではあったが常友に不快な思いをさせてしまったという事実があること,こいつらとはこれからも仲良くできるし,相良を生徒会長として応援したいこと。おれの話はというと終始しどろもどろだったし,大栗なんて怪奇の目で疑り深く,すべての原因はお前だといわんばかりの態度と相槌を打った。それに対して相良はぴしゃりと戒めていた。
 大人たちはどのように説明したのか,はたまたどのようにうわさが広まったのかは分からないが,ここで話したような真相は生徒たちに知れ渡った。意外と面白くない展開だったらしく,話題はいつの間にか消えていった。

 こうして,おれは生徒会長立候補者としての演説をすることなく,生徒会長の座を相良に譲った。


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