始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

1人同士の19時過ぎ(10)


「俺も薄々は気付いていたんですけど、クラスの男子によくパシリのように買い出し頼まれることがあって。

でもそれは、俺が財布持って席を立つと“あ、売店行く?悪いんだけどお茶買ってきてくれない?”って、今手が離せない、みたいな感じで言われるんです。

俺自身も自分の用事のついでだし、って思ってたのもあって、あんまり気にしてなくて。


でも、ある日、俺が頼まれたものをメモって教室を出るタイミングで、澪央が教室に遊びに来たんです。

売店に向かう反対側の方から来たので、教室を出たときには気付かなくて。

で、その日の夜、たまたま見かけたことと、“アンタ、なんで友達の分まで買いに行ってんの?”って言われて。

俺としては本当についでだと思ってたので、そう答えたら“ちゃんとお金返してくれてる?そんなパシリみたいなことしないで自分で行けって言いなさいよ”って。


その時ははいはい、みたいな感じであしらってて。
で、ふと考えたらお金返してもらってないことの方が多いことに気付いたんです。

でも翌日からも、毎日ではないものの頼まれごとしても断れませんでした」


横川さんはグラスを傾けながら、頷いてくれる。

話していて、なんだか心地よかった。



コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品