始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

公表日の20時過ぎ(3)


「そっか、なんとなく話してたくらいだったもんね。

私もその当時は知らなくて、後から聞いた話なんだけどね。
昔、私のことを好きだと言ってくれた人がいて。
その人が人気ある人だったから、女子たちからいじめに遭ったの。
でも、私、気付かなくて、なんでだろう、気のせいかな、とか思ってて。

で、荷物も無くなるし、やっといじめだって分かったときに横川くんが助けてくれたの。
そのあとは、いわゆるいつメンのように接してくれてた。

さっきの言葉はね、昔言ってくれた言葉と同じなの。
1人だって思ってた私に、あぁやって声かけてくれてた。

高校生になって横川くんと同じ考え方の子と仲良くなってね、その子を横川くんに紹介して。
それが、今の横川くんの彼女なんだよ」


可愛いんだよ、なんて言いながら、蒼とその人のツーショットを見せてくれた。

たしかに、蒼は可愛いし外見的にもモテると思うけど、この天然具合もモテる要因だろう。

「話してくれてありがとね、蒼」

「ううん、今こうやってそばにいてくれてありがとう、紫央」


愛しい彼女をもう傷つけたくない。

そう思いながら、ギュッと抱きしめた。


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