始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

公表日の9時過ぎ(20)


「蒼」

「ん?
あれ、紫央?
どうしたの?
忘れ物?」


津田を呼ぶ声にそこにいたみんなが振り返ると、野田くんが立っていた。

蒼、なんて呼んでいるのを初めて聞いたらしいみんなは何も言えずにいる。


「いや、蒼が忘れ物してる。
ほら、蒼のスマホ。
さっき、ブランケットと資料の受け渡しのタイミングで何故か俺も普通に受け取っちゃったけど。
なんで渡されたのこれ」

「え、わかんない」

「どうしよう、俺もわかんない」


そう言いながらスマホを渡している。

この2人の会話、本当面白いんだよな。
野田くんのツッコミもいい。

「とりあえず、ありがとう。
飴、横川くんにあげたよ」

「うん。
横川さん、これもどうぞ」

「え、いいの?
というか、なんで?
すごい、ハロウィンでお菓子巻き上げる人の気分なんだけど」


「あのカボチャの顔、可愛いよね。
1回掘ってみたいんだよね」

「今度のハロウィンにやろうか。
買ってくるよ」

「うん」


本当、周りが見えなくなるくらいお互いに夢中だよな。


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