始まりは水曜日の15時過ぎ
最終日の14時過ぎ(9)
「澪央、資料ありがとね。
データ集めるの遅くなってごめんね」
「ううん、数年前に比べたら全然、早すぎるくらいよ。
さすが、エースだなって思った」
とりあえず放置したらしい。
俺はさりげなく蒼の近くに寄る。
「ありがとう、澪央」
「こちらこそありがとう、蒼」
蒼は人事部の所属。
いわゆる、澪央の日本支社バージョンのポジションだ。
それを知った時はものすごく驚いた。
あんなに抜けてるのに仕事になるとキリッとしてて、これまでに何人もの不正を暴いて、認められるべき人がちゃんと上に伝わるように働きかけてきていた。
横川さんは、機械に強いこともあって、蒼とセットでデータ収集に長けている。
だからよく一緒にいて、関係も疑われるらしいんだけど。
澪央が同期だってわざわざ言って初日から社食に一緒にいたのは、今回の打ち合わせも兼ねていたが、何より、今後蒼がそう言うポジションと悟られずに過ごせるようにするため。
まさかの俺との関係があったから、余計に疑われずに済んだみたいだけど。
「恒田、俺も労えよ」
「え、横川、ありがと」
「ツンデレかよ、お前」
「蒼にはデレデレよ。
こんなに可愛いんだもの」
「なんだそれ」
ここの3人は、久々というのを感じさせないくらい、仲良しだ。
羨ましい。
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