始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

最終日の14時過ぎ(2)


「澪央!!」


澪央が驚きの顔とともにバランスを崩す。

俺は思わず名前を叫んで、彼女の元に走り出す。

このままいくと、澪央は尻もちをついてしまう。
赤ちゃんがいるのに、尻もちなんかついたら…どうなるか分からない。

やっと授かれたって話をしていた彼女の顔がいきなり浮かぶ。
その話から、長い道のりだったことを悟った。


幸い、澪央までは1本道。
間に合え。


「澪央!
大丈夫?」

「紫央…、うん、大丈夫。
助かった…ありがとう、紫央」

「よかった…」


いいのか悪いのか、近くの椅子に腕が引っかかったこともあり、地面に倒れるまでにワンクッション挟むことができて、なんとか彼女の下に自分を滑り込ませることができた。

安心のあまり、強く抱きしめる。

まだ心臓が激しく動いている。
よかった、ぶつけたのは腕くらいで、他大丈夫そう。


起き上がらせて、近くの椅子に座らせて、彼女を落ち着かせるために手を握って摩る。

赤ちゃんに影響があったらまずい。





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