始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

木曜日の20時過ぎ(6)


「ごめん、知り合いいるから挨拶してくる。
やばい、先輩なんだけど…いるの気付かなかった…。
ごめん!」

「え、やばくね?
行ってこいよ」


逃げられた。
迫真の演技だったと思う。

そのまま、蒼さんの元へ向かう。

横川さんが俺の存在に気付き、手を合わせて申し訳なさそうにしている。


「津田、珍しく飲み会参加してるんだから、今日こそは彼氏が誰だか言えよー」

「やだ」


相変わらず、望月さんが絡んでいる。

「おい、望月、一旦黙れ。
津田は弱いんだから飲むな。
ほら、水」

「横川くん、ありがとー」


やばい、すでにトロンとしてる。

「お疲れさまです、津田さん、横川さん」


俺が近付いて行くと、この前一緒に昼を食べたメンバーも会釈してくれる。

「え、海外事業部の英語ペラペラなエリートじゃん!
津田と横川、知り合いなの!?」


知らない人は騒ぎ出す。

あくまでも、先輩と後輩、よそよそしく。
部活の先輩の挨拶するかのように、きっちり頭を下げる。


このまま席に戻って…って思い、動こうとした時、蒼さんが立ち上がった。

かと思いきや、抱きついてきた。


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