始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

火曜日の12時過ぎ(16)


「俺のことは?」

「え?」


「澪央が大好きなら、紫央は?」

「違った意味で大好きだよ」


ちょっと拗ねたように言う彼が可愛くて、覗き込みながら言ったら、顔を赤くしていた。

可愛い。


「姉さんに嫉妬する日が来ると思わなかったんですけど。
しかも澪央って呼び慣れてる感がものすごい。

紫央って呼んでください」

「紫央」

「やった」

「紫央、大好き」

「待った、それ以上言ったらだめです、だめ。
こっちも見ちゃだめです。

…って、ちょっと待った、ボタン開いてるじゃないですか」


嬉しそうに、恥ずかしそうにしていた彼が、途端に焦ったような声を出す。

忙しいなぁ。


彼の視線を辿ると、確かに第二ボタンまで開いていた。



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