始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

金曜日の19時過ぎ(14)


「蒼さん?
帰りましょう?」

「もう少し」


彼女のこの言葉に弱い。
もう少し、俺も望んでいたりするからだろうか。

しばらくの沈黙。


「…なんで、先週も今週も、資料室に来なかったの?」

「すみません、結構忙しかったんです。
寂しかったんですか?」


ノリで聞いたはずだった。
いつものように、何言ってんの、もう!なんて返しが来たらいいな、なんて。

「うん、寂しかった。
この2週間、ずっと野田くんに会いたくて。
連絡先聞いておけばよかったって思ったよ」


それを聞いた瞬間、どうにも我慢できず立ち上がる。

「野田くん?」


不思議そうな彼女をみて、そして。


「わっ、」


腕を引き立ち上がらせて、強く、抱きしめた。


驚いたような彼女だったが、俺の背中に腕が回った瞬間、自惚れてもいいかな、なんて思った。


SIDE 野田 END



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