始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

金曜日の19時過ぎ(9)


「蒼さん?
大丈夫ですか?
危うく落ちるところでしたよ…」

「ごめん…、危なかった。
ありがとう、ちょっと外に出てくるね」


ゆっくり離すと、照れたように笑った彼女はフラフラと外に出て行った。

大丈夫かな。
あとで追いかけようかな、なんて思ってその場を後にしようとする…ことはできなかった。

望月さんに捕まったからだ。


「なぁ、野田くんさ、津田、綺麗じゃない?」

「え?
あぁ、そうですね…」


うざい、非常にうざい。
周りも同調している。

蒼さんは綺麗なだけじゃなくて可愛いんだってば。


だが、そこの魅力は俺が知ってればいい、なんて思うあたり、相当惚れ込んでいる。


無意識に蒼さんが出て行った扉を見るが、戻ってくる気配がない。


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