始まりは水曜日の15時過ぎ
水曜日の15時過ぎ(13)
「ーーーさん?蒼さん?」
「わ、ごめん!」
昔のことを思い出していたが、野田くんの呼ぶ声に一気に現実に戻る。
「どうしました?」
「いや、初めて会った日のこと思い出してた」
「あー…、諸々丸見えだった日ですね」
「ごめん、その表現はさすがに恥ずかしい」
あれからだんだんと野田くんと話していくうちに、結構打ち解けた。
今では
「透けてるんで何か着てください」
なんて、真顔で言い出す。
そんなに頻繁じゃないけど、資料室に来てみて私の方が先だったりすると気を抜いて薄着になる。
それをすっかり忘れて野田くんを迎えるわけだが、彼は入ってきた瞬間にそれを言っていつもの席に座る。
完全に女に見られてないな、なんて思うが、もはや指摘してくれるだけでありがたい。
「そして今日も薄着ってどういうことですか?」
「あ…」
やばい、また怒られる。
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