始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

水曜日の15時過ぎ(4)

「そんなのあったかな…」

「ここだよ、ここ」


不思議そうにする彼に、もう1回つつく。

すると、何故かギュッと私を抱きしめる。

え?
なんで?

なんて思っていたら、自身も指でどこら辺か探そうとする。

あぁ、私を持ちかえようとしたみたい。
落とさないように、って律儀だなぁ。

今の格好だと、私は地に足ついていない。

「そうそう、ここ」

「覚えられるかな…あとで見てみます」


場所がわからないらしく、探っていたので指を誘導させた。
多分覚えられないと思うけど…。


「おろしますよ、蒼さん」

「うん、ありがとう」


そのあと、散らばった資料を一緒に拾ってくれた。

優しい。



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