始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

水曜日の15時過ぎ(3)


…あれ、痛くない。

「…またですか、蒼さん」

「ごめん…野田くん」

やはり、彼が抱き留めてくれたらしい。
初めて会ったときもこんな感じだったな、なんて思いながら、野田くんに謝る。


「本当に…危なっかしいですよね」

溜めて言われた。

正直、これまでも野田くんの前では結構やらかしていることもあって、否定できない。

「ありがとね…ってあれ、野田くんってここにホクロあるんだね」

「わっ、耳元で言わないでくださいよ!
ホクロ?
どこですか?」


ビクッとした彼に、なんだか楽しくなりながら指でつつく。

彼の左側、鎖骨近くにホクロ。
ネクタイを緩めて、かつ、首を傾けてみないと見えない位置だ。


普通に接してても身長差的には気付かないんだけど。



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