聖剣が扱えないと魔界に追放されし者、暗黒騎士となりやがて最強の魔王になる

つくも

 ラグナは家に帰った。遠征で蒼の魔王国まで行って帰ってくるだけでもそれなりの時間を必要としていた。大体一週間くらいのものだ。
「おかえりなさい。ラグナ」
 リリスが笑顔で出迎えた。
「ただいま」
 それにしても良いものだった。帰る家があるというのは。居心地の良い家。幼少期には経験のした事のない場所だった。
「待ってて。すぐ晩ご飯にするから」
 リリスはそういってエプロンを身につけた。

 それは夕飯時の事。リリスが晩ご飯を作っていた時の事だった。ラグナは一週間以上もの期間遠征していたのは先ほど説明した通りだ。当然、リリスと会うのも一週間以上ぶりである。説明するまでもなくその間の期間何もなかった。何もなかったのはというのは行為の事である。より詳しく言えば性行為だ。つまり。電話などで通話する事はできても、実際の行為は行う事はできない。テレフォンセックスという高難易度のプレイはあるが、流石に些か難易度が高すぎて当然のように行っていない。
 年頃の男がそれだけの期間おかずけされていれば溜まるのは必然と言えた。
「……ちょ、ちょっと、やぁだ」
 リリスに抱きつく。良い香りがする。女の髪というのは。それに柔らかい抱き心地だ。
「い、今料理中」
「しばらくしてなかったんだ。いいだろ」
 後ろから抱きつき、乳を揉む。
「だ、だめだって。それに赤ちゃんに何かあったらその」
「心配するな。母胎に影響がない程度なら問題ない」
「や、やだって万が一があったら」
「ちっ」
 露骨に舌打ちをする。
「も、もう大人しくしていなさい」
「はーい」
 子供か、自分に突っ込みたかった。

 それはリリスの入浴前の事だった。ラグナは我慢ができなかった。着替えを覗く。自分の妻の着替えを。欲求不満な為もはや自制などできない。
 僅かな隙間からリリスの着替えを一挙一動逃さず見つめ続ける。
 服を脱ぐ。そしてブラジャーを外す。ブラジャーからこぼれ落ちるその豊満な乳房。
 おおっ。
 思わず感嘆とした声が漏れそうだった。
 そして次にはパンツに手をかける。
「ラグナ……あなた何やっているの?」
 その覗き行為は既にバレていた。
「……バレていたか」
「視線が痛かったわ」
 リリスは言う。
「……はぁ。一緒に入る?」
「入る」
 即答だった。
「はぁ……」
 リリスは深く溜息をついた。

 ラグナは湯船に浸かる。リリスは髪を洗っていた。リリスの身体はまだ妊娠初期という事もあり見た目に変化はない。お腹が特に出ているわけではなかった。
 ラグナはリリスの身体を凝視した。主にその豊満な乳房を。髪を洗う度に乳房がたゆんたゆんと揺れる。
「……ちょ、ちょっとラグナ。おっぱい見すぎ」
「おっぱいだけではない。尻も視姦していた」
「お、同じ事よ。な、なんで男の人っておっぱいとか好きなのかしら」
 リリスは言う。
 俗説に言うと人間の場合、男女を見分ける上でのシンボルが胸であり、進化の過程で男性は視覚的に胸のある女性を好むようになった、という説がある。胸があるという事は女性らしさを現し、男は視覚的に興奮するらしい。
「わからん。そこにおっぱいがあるからだ」
「わからんって自信を持って言わないで」
「リリス、身体を洗ってやる」
「え? いいよ」
「遠慮するな」
「遠慮とかじゃなくて。やっ」
 リリスの身体をボディーソープで泡立てた手で洗う。
 もみもみと音がする。
「……やだ。おっぱいばかり」
「下も洗ってやるよ」
「そういう事じゃ。やっ」 
 執拗に洗い続ける。リリスは興奮したように短い声を漏らす。
「濡れてきたか?」
「ぬ、濡れてないって」
「濡れてるとか関係ない」
「やだっ。背中に当たってる」
 リリスの背中に当たっていた。何が当たっていたかまでは説明の必要がないであろう。
「もう、無理だ。お前の身体見ていたら余計ムラムラしてきた」
「え?」
 ラグナの下半身は既にエレクトしていた。ペニスが反り立っている。
「……やっ。やだ、もう」
「我慢できん」
「わ、わかった。胸でしてあげるから、それで」
 リリスはそう言った。


「ど、どう?……」
 リリスのふくよかな胸にペニスが包まれている。石鹸を泡立てている為か、なんていうかエロかった。
「ああ。気持ちいいよ」
「本当?」
 程なく射精をする。
「きゃっ!」
 リリスの顔に盛大にぶっかけた。
「もう、出し過ぎ」
 しかし、ラグナのペニスはもう既にさっきの勢いを取り戻してた。
「や、やだ。もう」
「リリス。もう我慢できない」
「も、もうラグナったら」
「心配するな。優しくするから」
「それって初めてする時の台詞」
 リリスは言う。
 実際問題母胎に負担のかからない体位だったりすれば妊娠中でも性行為をしても問題ないらしい。出産間際とかになると話は違うだろうが。
 ともかく二人はこの後風呂場で久方ぶりにまぐわった。迂遠な表現を使わずに言えば性行為をしたという事だった。
 たっぷりとリリスの中にラグナは流し込んだ。白い液を。

「それでお兄様」
 リリムとラグナは会っていた。場所は国内の喫茶店だ。
「お姉様と新婚生活は順調ですの?」
 リリムは聞いてきた。
「ん? ああ……順調と言えるかはわからないけど何とかやってるよ」
「そうですの」
 というか軍事行動だったり要するに仕事であまり家に帰ってこれない事が多く。喧嘩らしい喧嘩もいけない。
「今は戦争中ですもの。普通だったらハネムーンとかいってるところじゃないんですの?」
「まあ。普通だったらな。普通だったら。というか魔界のハネムーンってどういうもんなんだ?」
「海辺にリゾート地もありますし。大体海が多いですわね。それからカジノに行ったり。ハネムーンって行っても割とそんなもんですわね。なぜか海に行く事が多いですわね」
「そうか」
 何となくバケーションとかいうと海と常夏の国のイメージがする。
「……そういう事もいけないっていうのは何だか可哀想ですわね」
 リリムは言った。
「そうだな」
「それでお兄様、なんか悩みとかはありませんの?」
「悩みか」
 リリスが妊娠中である事を理由に中々、ヤらせてくれない事か。最近割と無理矢理ヤったが。
「お姉様が妊娠中である事理由に行為をさせてくれない、というのが悩みですの?」
「お前、読心術が使えるのか? そういう魔法を使ったのか?」
「いえ。お兄様の顔を見ていれば何となくわかりますの」
 リリムは言った。
「そこはお兄様、お兄様の欲求不満を解決する事は簡単ですわ」
「簡単?」
「ええ。目の前にいるではないですか。私が。私ももう、昔の私ではないのですわよ」
 リリムは言った。
 確かにあの時は年齢的に若干幼かったから控えめだったかもしれないが。リリムの身体は発育していた。特に胸の当たりは随分と発育したように感じる。
「お姉様がお相手できないのなら私がお相手すればいいだけの事ですわ」
 リリムは妖艶な眼差しでくねっとしたようなポージングで言った。
「し、しかし、お前は妹だ。妹にそんな事をするわけでは」
「妹は妹ですが、当然義妹(いもうと)ですわ。血縁関係がないのですから別に気にする事もありません」
「し、しかし」
「当然、お姉様には内緒にしておきます。お兄様の都合の良い時にだけ抱かれる、都合の良い女でいいんですの。私、まだお兄様に一度も抱かれていませんわ」
「しかし、だな……リリム。俺は魔王になったわけでもない。つまりはまだ一般庶民の域を出ていない。一般的にはそういう行為は浮気に値するじゃないか?」
「そうかもしれません。だから秘密にすると言っているんです。バレたらまあ、離婚ものでしょうね」
 実際問題妻が妊娠中あまりさせてくれずに旦那が浮気する事は多いらしい。一般的に。
「し、しかし。だめだ。俺はリリスを裏切るなんて事はできない」
「……まあ、残念ですわ。そうまでお姉様の事を想っていらっしゃるなんて。お姉様は幸せですわね」
 リリムはコーヒーに口をつける。
「でしたら私を側室に入れてくれた時でも構いません。それまでは処女を守りますわ」
「……気の遠い話だな」
 ラグナは言った。
「いえ。案外その内かもしれません」
 リリムは言った。
「不吉な事言うなよ」
 魔王が代わる。とはつまりは魔王サタンに何かあった場合だ。アスタロトがそうなった時のように。つまりは自分の父親に何かあった時という事になる。
「何があるかわかりません。それが戦争というものですから」
 リリムは言う。
 その言葉の重みを後々知る事になる。


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