最強兄妹の異能破壊
第一話 平穏から不穏へ
「おーい、こう兄。
朝だよ、起きろし」
腰の高さまである透き通った銀髪、水色の瞳を持つ少女はカーテンを開けながらそう投げ掛ける。
制服のスカートからどこか日本人離れしたスラッとした足か伸びている。
カーテンに若干、手が届かないのか少し背伸びをする仕草がまた可愛らしい。
開け放たれた窓から部屋に朝日の暖かい日差しが広がり暗い部屋を明るくする。
「······ふぁあ·······目覚ましセットし忘れたか。 昨日は、徹夜だったからな
どうやら、そのままベッドにインしちまったらしい」
あくびをし、まだ眠そうな黒髪灰色の瞳を持つ少年は、軽く両腕を伸ばしストレッチをしながらそう答えた。
髪色や瞳色は異なっているがどうやら、彼らは兄妹らしい。
「政府からお願いされてた例の件の資料まとめてたの? 」
訪ねると同時にどこからスマホのバイブ音が鳴り出した。
妹はそう言いつつ兄の傍ら、ベットの上に座るとスマホを取り出す。
「あ、指揮官の笹田大佐から詳しい情報来てるみたい」
「てことは、ついに世界各国で動き出したらしいな おい、舞香」
「 ん? 」
「これから、楽しくなるぜ!! 」
部屋には、好奇心を抑えられない少年が右拳を左手のひらに打ち付ける音が響き渡る。
妹があとにすると制服に着替え終えた少年は部屋を出て下へと降りる。
「あら、やっと起きたのね
テーブルにトーストが用意してあるから食べちゃいなさい」
そうなげかけたのは彼らの母親だ。
少女と同様に銀髪に水色の瞳をしていて相応の年齢よりも若く見える。
「へいへい」
どこかまだ気だるそうに返事をしながら少年は椅子に座るとテーブルにおかれたトーストを食べ始めた。
目の前には、彼れの父親が新聞を読みながらコーヒーを飲んでいる。
少年が座る空白の席のとなりには先に降りていた妹が座っている。
頬ずえをつきながらスマホのメッセージのやりとりをしている。
「こう兄、早く食べちゃてよ
私まで遅刻しちゃうからね」
先に朝食を食べ終えた少女は暇潰しに兄の頬をツンツンし始めた。
「分かってるって
うざったいからツンツンすんな」
「は~い」
返事をすると再びスマホをいじりだす。
「なぁ」
「なに、お兄ちゃん?」
「まいど思うんだが、べつ」
「こう兄と一緒にいきたいの!以上」
遮る勢いで放たれたその言葉とは裏腹に視線はスマホへと向けられている。
朝のやり取りを見る限り端からみてもけして仲の悪い兄妹では無さそうだが。
「……そうか、ならいいけどよ」
しばらく沈黙が訪れた。
「そうだ母さん父さん話がある」
「話か······どうした改まって」
父親は、コーヒーを机に置くと新聞を畳み少年に向き直った。
「母さんも、大事な話だから座ってくれ」
「あら、何かしら 分かったわ」
全員が席に座ると少年は勢いよく口を開いた。
「俺と舞香、明日からイギリスに行く」
「 ??? 」
両親ともフリーズしたまま動かない。
「もう一度言うが、明日からイギリスにいくなぁ、舞香」
それを聞くと彼の妹はスマホを机におき両親に向き直る。
「うん、こう兄と一緒に」
今度は満面の笑みを兄に向けそう答えた。
「ど、どうしましょあなた
この子達家出をすると言い出したのよ
しかも、近場じゃなくてそんな遠くに」
「落ち着け、なんか訳があるんだろう?
生まれてこのかた反抗期がなかったこの子達が家出なんかするわけないじゃないか、なぁ智」
「いや、家出ぽいかもな
学校に休学届けも出してあるしさ
それに、今きたは、反抗期
なんか、いまきた」
「な、お前学校は? どうするんだ?」
「そうだな。
用件が片付いたら、ちゃんと学校に復帰するって」
「もちろん、私も」
「そんな事認める訳ないだろう!!
第一、長い期間向こうにいたら復学なんてできるはずない。
そこら辺はどうなんだ!! 」
剣幕せまった父が拳で机を叩いたその瞬間、轟音が鳴り響いた。
玄関から居間まで煙が漂ってくる。
母と父はあまりの出来事にあけっにとらわれた。
「おいおい向こうからお越しくださったみたいだな」
「はぁ、母さんと父さん巻き込みたくなかったなぁ
相手の特性は理解済みだし。
こう兄、ここは私がいってくるよ」
「おう、頼んだぜ
今日が俺たちの始動日だ」
「うん」
うなずくと、妹は椅子から立ち上がった。
『ーーーーaccept,of,begininig』
何かを口走ると玄関へ向かって駆ける
だが、その速さは人間のそれではない。
あまりの速さに風が巻き起こり目で追うことさえままらない。
しばらくすると、男性の悲鳴が聞こえ静まりかえった。
足音が居間へと近づき姿を現した彼女の右手は血まみれだった。
「何?それ……どうしたの舞ちゃん」
「あ、忘れてた。消失《リブート》」
母に指摘され慌てて異能力を行使する。
血まみれだった右手はすっかり綺麗な右手に元通りになり制服に飛び散った血痕も消えていた。
「おいおい、しっかりしろよ
心臓を一突きてところか?
ちゃんと遺体も消失《リブート》したんだろうな」
「もちろん、初めて戦ったから少し気が緩んだだけだし
焔を使う異能者だったか少し制服焦げちゃったよ
玄関はちゃんと直してきました」
「そうかよ まぁ、よくやたぜ舞香
でもな、次の時は俺にやらせろ」
「は~い、と言うか初めからそのつもり」
「ね、何が起きているのかしらあなた」
「−−−−お前たちなんなんだ
本当に私たちの息子、娘なのか」
それに答えるように、最強の兄妹は制服のポケットから政府の発行証を提示する。
(対異能者殲滅機関 日本国家特務少佐 昂崎智)
(対異能者殲滅機関 日本国家特務少佐 昂崎舞香)
「いままで、隠しててごめんな、父さん母さん」
「私も謝る、ごめんなさい」
「でも、これでイギリスにいかなくてすみそうだぜ」
「そうだね、こう兄
······あ、政府の人たち来たかも」
「そうみたいだな」
何がおきたか理解できない両親が方針状態のなか、黒服をきた政府の人が二人、白衣をきた人が一人入ってきた。
そしてひときはは目立つ女性か入ってきた。
黒いロングコートにたいとなスカートをはいている。
凛とした顔立ちは、まるでモデルのようなスタイルに身長と相成って一目見ただけで釘付けになるほどの美貌と色気をかもし出している。
「やぁ二人とも、先日依頼だね
これから本格始動ということで、私が直々に迎えに来たというわけさ」
その女性は口横に人差し指を当て微笑んで見せる。
この日、両親は自らの子供たちがまともじゃないという偽りのない事実を知ったのであった。
そして彼らの両親はなんの前触れもなくその場に倒れ深い眠りに入るのであった。
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