Saori's Umwelt (加藤沙織の環世界)

オミィ・ランバード

第34話<Same World> Hades (冥界)

「どうだった? あの二人は」

 沙織と愛染が去った後で、ヤマは、司禄(しろく)と司命(しみょう)に尋ねた。

「はい。藤原愛染は大人物ですね。日本人では、カトゥー、ヤマナカ以来の潜在能力を秘めているようにみえました。きっとKOKにも入団できるでしょう」

「うむ。我もそう思う。加藤沙織はどうだ?」

「十年前のカタストロフィーからアルカディアを救った、女王陛下のお友達ですよね。会えることを楽しみにしておりましたが、思ったよりも子供で驚きました。あれではKOKに入るのは難しいのではないでしょうか? 入れても、何年間かは修行をしなくてはならないと思います」

「確かに」

 ヤマはうなづいた後にしばらく沈黙し、再び、分厚い垂れ下がった唇を、上下に開いた。

「だが、なぜか、我は、あいつの父であるカトゥー以来のワクワク感が止まらんのだ」

「なんといっても女王陛下のお友達。我らが女王陛下の目に狂いがないことを信じましょう」

「うむ。あいつがピンチになった時は、公務を投げ打ってでも、我はあいつの手助けをしてやりたい。それがカトゥーへの手向けにもなる気がする」

 ヤマは遠い目をしてカトゥーのことを思い出していた。

 有名人の娘の入国審査を見に来ていたミーハーな観客達は帰っていき、今では半分ほどしかいない。
 しばらく同じように沈黙を保っていた司命が、そっとヤマに声をかけた。

「その時が来たら、その時考えましょう。それよりも、次の方がもう長いこと待っております」

 ヤマはゆっくりと背筋を伸ばして、司命を見下ろした。

「うむ。そうだな。よし。次の者を呼べい」

「かしこまりましてございます」

 ヤマとその眷属たちは再び通常の業務に戻った。

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